講義名 貿易経営論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火4
単位数 4

担当教員
氏名
荒畑 治雄

学習目標(到達目標) 世界市場においてグローバル化が進展している中で、企業は、それぞれの国・地域の需要を取り入れ、グローバル基準の製品やコンテンツ作りを展開するようになってきた。企業がグローバル・ビジネスを展開する場合、自社の得意とする分野で競争優位性を獲得して事業活動を遂行することが重要である。
グローバル市場における日本の企業は引き続き競争力強化を図ることが重要であるという観点から、本講義において、企業が異なる環境や新しい価値観に適応し、グローバルな規模でニーズや課題を把握しながら事業を運営できるような商取引の仕組みを学習し、貿易取引の基本的な形態・原理を習得する。

授業概要(教育目的) 本講義は、国際貿易取引の基本、すなわち輸出入業務、政府の許認可、税関手続き、国際輸送(海上輸送・航空輸送)、代金決済の方式について解説する。さらに、グローパルな規模で普及している国際電子商取引を円滑に遂行するためには、どのような知識を必要とするのか、また、どのような点を改革し、どのような基盤を整備する必要があるかという点について学習して各自が意見を述べることができることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回国際貿易の現状米国・日本・EU・中国・ASEANの経済動向
[準備学習]
上記の諸国・地域の経済及び貿易の:現状を事前に調べておくこと。
第2回海外市場の調査企業が海外市場を選定する場合、取引相手市場を網羅的・科学的に分析して考察する必要がある。
[準備学習]米国・日本・EU・中国、ASEANその他の国・地域の文化や人口・人々の嗜好・価値観を調べる。
第3回貿易取引形態及び取引基本条件企業間による直接取引および総合商社による間接取引、売買契約で取り決める品質・数量・価格条
条件について学ぶ。
[準備学習]
売買を行うために必要な術語や取引の主要条件
についてテキストや参考書を読んでおく。
第4回取引基本条件(2)前回の価格条件の続き、受渡し条件・決済条件の基本的要件について学ぶ。
[準備学習]輸出者・輸入者の義務としてどのような点を留意したらよいかを把握しておく。
第5回Trade Termsの解説(1) 売買される物品の危険移転時点および 売主と買主の権利・義務について学ぶ。
[準備学習]
国内の店頭取引と異なり、貿易取引で は物品の危険移転時点(地点)が異なる。貿易取引における貨物の危険移転はどの時点で行われるかについて
学ぶ。
第6回Trade Termsの解説(2)第5回に続いて第6回も、貿易取引に重要なTrade Terms の内容を説明する。
[準備学習]
貿易取引の中でTrade Terms は重要である。
テキストのpp. 20~26を熟読すること。
第7回決済条件の説明輸出者・輸入者はそれぞれ同国の銀行を通して代金の受払いを行っている。この方法について説明する。さらに、この点の問題点を解説する。
[準備学習]
各国の金融機関の業務について予習する必要が
ある。教科書のpp.29~32を読んでおくこと。
第8回輸出入貿易管理と規制我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とした輸出入貿易管理令の説明を行う。
[準備学習]
貿易取引を規制する政府の許認可について、テキ 
ストの第3章(pp.33~46)を学習しておくこと。
第9回売買契約の成立売買契約の成立、為替手形の内容を解説する。
[準備学習]
売買契約の基本的な意義や内容、為替手形の作成については授業の際に理解しやすいように教科書のpp.47~50を読んでおくこと。
第10回貿易と信用状信用状はどのような企業と取引を行う場合に用いられるのか、信用状の持つ機能について説明する。
[準備学習]
産業革命後から現代に至るまで信用状は代金決済に重要な意義を有してきた。教科書のpp.54~60までを読んでおくこと。

第11回信用状の内容取引に使用される信用状の訳と解説を行う。 
[準備学習]
講義を受けるにあたり、教科書のpp.55~56の信用状の原文を読んで理解しておくこと。
第12回先物為替の予約外国為替の基礎理論、外国為替相場の仕組について説明する。
[準備学習]
国際貿易と為替相場との関係について、教科書の第5章(pp.61~68).を読んでおくこと。
第13回為替危険の防止策輸出入企業と外国為替変動の危険を防止する 
                ために、それぞれの国の銀行との間で行われ
る先物為替相場の予約について解説する。 
[準備学習]
為替相場変動の危険に関係する出版物を読んでおくこと。
第14回国際運送(海上運送)コンテナ運送、在来船による運送についての説明及び現状・問題点を解説する。
[準備学習]
貿易貨物を運送する海上運送について教科書
の第6章国際運送を読んでおく。
第15回中間のまとめ第1回の授業内容から第14回までの授業内内容を説明し、特に重要な点は必ず習得できように把握する。不明確な点について積極的
に質問して知識を深める。
第16回国際貿易と航空貨物運送航空運送の現況や課題について説明する。
[準備学習]
航空貨物運送について教科書の第7章を読
んでおくこと。
第17回海上保険契約海上保険とは何か。輸出者または輸入者が
保険契約を締結する場合について解説する。
また、保険契約締結に必要な課題等を学ぶ。
[準備学習]
国際貿易に利用される海上保険契約の内容について、教科書の第7章(pp.107~116)を読んでから授業を受けること。
第18回海上保険契約海上保険の条件および損害が発生した場合
の事例、解決方法について学ぶ。
[準備学習]    
配布してある海上保険証券、海上損害の事例について調べておくこと。
第19回輸出通関手続き輸出者による輸出申告、輸出許可、保税地域等、輸出通関手続きに必要な業務について説明する。
[準備学習]
グローバル・ビジネスが普及する状況の中で税関の役割が増加している。そのために教科書の第9 章を十分に読んでおくこと。
第20回国際貿易とセキュリティの強化サプライ・チェーン・マネジメントにおける世界の税関による国際貿易のセキュリティの確保について最近の動向を学ぶ。
[準備学習]
米国・EU・日本その他の国の税関による人・貨物のセキュリティ確保について教科書の第Ⅱ部第6章以下を読んでおくこと。
第21回輸入貨物の荷揚げ輸入港および輸入空港における貨物の荷揚形態について説明する。
[準備学習]
輸入者の立場からどのような点を考慮する必要があるかについて問題意識を持って授業に出席すること。
第22回輸入通関手続き輸入申告・輸入許可等一連の輸入通関手
続きについて説明する。
[準備学習]
教科書の第10章を読み、輸入関税の徴収等について予め調べておくこと。
第23回貿易金融取引形態が異なる場合、代金決済の方法も異なる。そこで、いくつかの取引形態を説明して、代金決済のあり方及びその問題点を解説する。
[準備学習]
教科書の第11章,第Ⅱ部第7章をよく読んでおくこと。
第24回貿易金融貿易や投資に対する政策としての各種の保険について説明する。
[準備学習]
世界の多くの国・地域の政治、経済、人々の生活等多くの事柄に関して国内外の書物・文献で調べておくこと。
第25回電子商取引の概要EDIの基本や国際標準を説明する。
[準備学習]
多くの企業がコンピュータを使用した国際貿易取引を行っている。テキストの第Ⅱ部第1章(p.189)以下を読んでおくこと。
第26回国際物流とIT企業の海外進出が増加し、原材料、部品、サービス等も海外調達が増大している。市場における 競争優位性の確保と国際物流との関係を説明する。
第27回国際電子決済ASEAN諸国やアフリカ諸国の経済が成長しており、我が国の企業が積極的に投資を行っている。その事例および電子決済の方式など貿易金融の課題を取り上げて説明する。  
[準備学習]
教科書の第Ⅱ部,第8章(pp.285~305)を読むこと。その他、国際金融論、ビジネスに関連した出版物を読んでおく。
第28回グローバルSCMの形成と電子商取引(1) グローバル・サプライチェーンは企業統合したビジネス・モデルである。本講義ではビジネスの現状、効率的なネットワークの構築、情報共有、電子市場形成、問題点について説明する。
[準備学習]
SCMを形成した企業がお互いに商取引を行う場合のメリットはどのような点にあるのか等について、教科書の第9章(pp.309.~327)までを読んでおく必要があ
る。

第29回グローバルSCMの形成と電子商取引(2) グローバル・SCMを形成した企業が直面するセキュリティの確保について第28回の講義内容との関連から解説する。
[準備学習]
世界の多くの国の企業との取引に発生するリスクを予見し、グローバルSCMの効率性を高めるためにはどのような点を考慮したらよいか、各自が問題意識を持って考えておくこと。
第30回理解度の確認第16回から第29回までの要点のまとめ
授業形式  貿易経営論の従業は、基本的に講義形式をとる。しかし、講義内容によっては学生と討論を行うことがある。学生は、授業に必要な知識を習得して(事前に予習を行って)、積極的に学習する態度を身に着けることが重要である。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 20% 10% 0% 0% 100%
テキスト 荒畑 治雄著『現代国際商取引論』第4版、慶應義塾大学出版会,3000円.
参考文献 授業時に指示する
オフィスアワー(授業相談) 本授業内容について質問のある学生は、当日本館2階講師室にて対応する。以前の授業内容や今後の講義内容に関する質問は用紙に記載して渡すこと。回答は次回の授業後に行う。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 本講を受講する学生は、経済学、経営論、国際ビジネスに関する講義を並行して受講することが望ましい。また、常時、国際貿易に関する内外の出版物・新聞等を熟読する必要がある。 
世界市場においてグローバル化が進展している中で、ASEAN諸国やアフリカ諸国は今後本格的な成長期を迎えることになる。グローバル市場における日本の企業は引き続き競争力強化を図ることが重要である。本講義において、企業が異なる環境や新しい価値観に適応し、地球レベルでニーズや課題を把握しながら事業を運営できるような商取引の仕組みを学習し、貿易取引の基本的な形態・原理を習得する。