講義名 法と経済学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火2
単位数 4

担当教員
氏名
山﨑 福壽

学習目標(到達目標) 1.法や規制がスポーツの試合のルールと同じ効果を持つことを説明できる。
2.スポーツの試合のルールの変更が、プレーヤーの講堂にどのような影響が及ぶかを合理的に推測できる。
3.私たちが法律というルールのもとで合理的に行動していることを自覚できる。
4.もし所有権という重要なルールがなかったら、社会がどのようになるかについて友人と議論できる。
5.市場のルールと代替的なルールについて、それらの利点と欠点を比較できる。
6.法律が、資源配分や所得分配に及ぼす影響について、経済学的な観点から分析できるようにする。
授業概要(教育目的) 法律のあり方が、企業や個人の行動にどのような影響を及ぼすかについて考察したうえで、市場的な解決と法や規制による解決を比較検討する。借地借家法についての議論や、日照権を含む土地利用規制のあり方、環境問題を解決するための司法的解決のあり方、企業再生のための法律の持つ意義、解雇規制の問題点、規制改革のあり方、知的財産権の保護のあり方等の具体的なテーマについても法と経済学の観点から考えて見たい。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンスー講義の進め方講義の全体を説明する
第2回法律と試合のルールの構造について学ぶ身近な例を用いて、ルールがどのように人々の行動に影響を及ぼすかについて解説する。
準備学習、スポーツのルール変更とその後のプレーヤーの行動の変化について調べておく。  
第3回競争メカニズムの機能を学ぶミクロ経済学の市場メカニズムについて復習する。
準備学習、ミクロ経済学の教科書を再読して、競争のメカニズムについて疑問点を整理しておく。
第4回競争メカニズムにおけるプレーヤーである消費者の行動について競争市場での消費者の行動を理解する。
準備学習、競争ルールのもとで、プレーヤーである消費者の行動を説明している需要曲線の仕組みを復習しておく。
第5回競争メカニズムにおけるプレーヤーである企業の行動について競争市場での企業の行動を理解する。
準備学習、競争ルールのもとで、プレーヤーである企業の行動を描いている供給曲線の仕組みを復習しておく。
第6回競争メカニズムの意義について競争メカニズムが資源配分に及ぼす影響を分析する。
準備学習、ミクロ経済学の余剰分析を復習しておく。
第7回競争メカニズムの限界について市場メカニズムの問題点について議論する。
準備学習、外部性、公共財、所得分配という概念を復習しておく。
第8回第1回テスト
第9回所有権と財産権の意味について所有権と財産権の意味について学ぶ。
準備学習、参政権等の市民的権利との差異について復習する。
第10回所有権の経済分析所有権制度や財産権制度が、資源配分や所得分配にどのような影響を及ぼすかについて、経済学の分析道具を用いて解説する。所有権や財産権制度が人々のインセンティブに重要な影響を及ぼすことを明らかにする。
第11回財産権の経済分析所有権制度や財産権制度が、資源配分や所得分配にどのような影響を及ぼすかについて、経済学の分析道具を用いて解説する。所有権や財産権制度が人々のインセンティブに重要な影響を及ぼすことを明らかにする。
第12回所有権や財産権のない世界準備学習、所有権や財産権が保障されていない国々がかつて存在したことを確認しておき、それらの国々で何が生じたかを調べておく。
第13回コースの定理(外部性)Ⅰ公害等の環境問題に対する政府の介入について議論する。
第14回コースの定理(外部性)Ⅱ市場で解決できない問題についても新たな市場を設定することによって、そしてその自由な取引によって、経済の効率性が改善することを解説する。
準備学習、所有権制度と外部性の間の関係について、10回と11回の議論を復習しておく。
第15回第2回テスト
第16回不確実性・保険の「法と経済」Ⅰ私たちの経済社会にとって、不確実性という問題がある。不確実な場合にどのような取引によって、リスクを回避することが出来るかについて解説する。
準備学習、金融の教科書で不確実性について復習する。
第17回不確実性・保険の「法と経済」Ⅱデリバティブという新しい金融商品のあり方について議論する。
準備学習、新しい金融商品にどのようなものがあるか調べておく。
第18回契約と組織の「法と経済」Ⅰ市場型の取引に対して組織は、さまざまな契約によって結ばれている。市場を使わずに契約組織的な取引をすることによって、効率がどのように改善されるか、また企業がどうして存在するかについて考えるために、契約についての解説をする。
準備学習、どのような契約があるか調べておく。
第19回契約と組織の「法と経済」Ⅱ
企業はなぜ存在するのか?
市場型の取引に対して組織は、さまざまな契約によって結ばれている。市場を使わずに契約組織的な取引をすることによって、効率がどのように改善されるか、また企業がどうして存在するかについて考えるために、契約についての解説をする。
準備学習、契約のタイプを調べておく。
第20回契約と組織の「法と経済」Ⅲ
契約はなぜ結ばれるのか?
企業という組織の本質について考える。
準備学習、13回、14回のコースの定理を復習しておく。
第21回契約と組織の「法と経済」Ⅳ
法律と裁判の機能について
契約の必要性とその限界について学ぶ。
準備学習、法律を守るためにどのような制度があるかについて調べておく。
第22回第3回テスト市場型の取引に対して組織は、さまざまな契約によって結ばれている。市場を使わずに組織的な取引をすることによって、効率性がどのように改善されるかについて考えるために、契約についての解説をする。契約を守る意義と裁判所の意義について考える。
第23回借地の「法と経済」借地借家法の経済効果について考える。これらは借地借家人のためになっているのだろうか?
第24回借家の「法と経済」借地借家権と不動産投資信託(REIT)の関係について考える。
準備学習、REITについて調べておく。
第25回解雇規制の「法と経済」労働者に対する解雇はきびしく制限されているために、非正規雇用者が増加しているメカニズムを明らかにする。
準備学習、正規雇用者と非正規雇用者の差異を調べておく。
第26回地震対策の「法と経済」災害復興と対策は重要なテーマである。これらについて議論する。
準備学習、仮設住宅について学習しておく。
第27回環境問題の「法と経済」環境問題は、市場が解決できない問題の一つである。外部性が発生するときに市場がうまく機能しないことを解説する。また、環境問題を解決するために、どのような市場的取引を導入すべきか、あるいは税や政府の役割について考えてみたい。
第28回第4回テスト
第29回理解度の確認
第30回まとめまとめ
授業形式 講義と討論
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 0% 40% 10% 100%
評価の特記事項 討論に参加することが条件
テキスト 未定
参考文献 岩田・八田『住宅の経済学』日本経済新聞社ほか
オフィスアワー(授業相談) 月曜日14:40~15:30。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ ルールの変更が私たちの行動にどのような影響を及ぼすかについて、考えてみてください。ミクロ経済学の知識が必要です。