講義名 法律学概論≪教職科目≫ ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木6
単位数 4

担当教員
氏名
末澤 国彦

学習目標(到達目標) 教職課程であることから,本講義では中学校・高等学校の公民科・地歴科の科目の中に出てくる法律に関連する多岐にわたる重要な問題を取り上げて概説する。そして,教職に就いた際に正確な内容の授業が進められるような知識の涵養を目標とする。
授業概要(教育目的) 前期では主に公民科,その中でも裁判を中心とする現代法システムの概要と生命倫理と法に関する問題についての講義を行う。後期では、主に地歴科,その中でも近代日本の歴史の中で西欧型の法システムがどのようにして継受されたか,また現代の憲法を頂点とする法体系がどのように確立したかについての講義を行う。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス1年間の講義の方針についての説明を行う。
第2回法の社会的機能法に古くから備わっている伝統的な機能に加え,20世紀に新たに加わった機能,さらに現代社会で注目され始めた最新の機能はどのようなものかについて説明する。
第3回法と国家国家を構成する領土・国民・国家権力について日本はどのようなシステムになっているのかについて説明する。
第4回法と裁判法システムの中枢的位置を占めるのが裁判制度であるが,日本の裁判制度はどのようになっているのかについて説明する。
第5回裁判所の組織日本の裁判所には,どのようなものがあり,どのような事件を担当するのかを説明する。
第6回裁判の特質裁判制度は,重要な法的紛争解決手段であるが,いろいろな制約原理があるためシステム自体に限界がある。それらが,一体どういうことなのかについて説明する。
第7回裁判にかかわる人々いわゆる法曹三者と呼ばれる,裁判官,検察官,弁護士はそれぞれどのような職務を行うのかについて説明する。
第8回裁判員制度①一般市民が刑事裁判に参加する裁判員制度について,制度の目的・裁判員の選任方法について説明する。
第9回裁判員制度②一般市民が刑事裁判に参加する裁判員制度について,公判手続・問題点について説明する。
第10回安楽死と尊厳死①生命倫理と法に関する問題で,安楽死・尊厳死がどのようなものなのかを説明する。
第11回安楽死と尊厳死②安楽死と尊厳死に関する判例と立法がどのようになっているかを説明する。
第12回脳死と臓器移植①生命倫理と法に関する問題で,脳死・植物状態・臓器移植の概念について説明する。
第13回脳死と臓器移植②脳死・臓器移植法がどのような内容かについて説明する。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ。
第15回中間のまとめまとめ。
第16回日本史の中に見られる法の問題①古代の律令,中世の初期武家法,戦国家法の特色と時代背景やさまざまなトピックについて説明する。
第17回日本史の中に見られる法の問題②近世の徳川幕府法の特色と時代背景やさまざまなトピックについて説明する。
第18回日本史の中に見られる法の問題③明治期を前期・中期・後期に分け,それぞれの時代背景と基本政策および制定された主要な法について説明する。
第19回日本史の中に見られる法の問題④大正期と昭和期について,それぞれの時代背景と基本政策および制定された主要な法について説明する。
第20回大日本帝国憲法の制定東洋初の本格的憲法である大日本帝国憲法の制定過程,およびその内容・特色について説明する。
第21回内閣と枢密院行政機関としての内閣の当初の権限,憲法制定による権限の変化,また天皇の諮問機関である枢密院の権限について説明する。
第22回帝国議会東洋初の議会である帝国議会の構成・権限はどのようなものであったかについて説明する。
第23回明治憲法下の司法制度裁判所構成法に基づく近代的司法制度の概要と,司法官の人材上の近代化の過程,さらに弁護士制度の歴史について説明する。
第24回民法典の編纂と法典論争フランス民法を母法とした,いわゆる旧民法典の特色とその編纂過程で勃発した法典論争の概要と評価について説明する。
第25回条約改正の実現幕末に欧米各国と結んだ不平等条約の改正交渉の過程と対外的政策の変化の過程について説明する。
第26回日本の対外政策条約改正実現と日清・日露戦争ををきっかけに日本が帝国主義国家へと変貌してゆくことについて説明する。
第27回現行刑法の制定と治安法制明治40年,それまでの刑法を全面改正して現在施行されている刑法が制定された。この現行刑法の特徴と労働運動・農民運動の発展に伴い制定された各種の治安立法・言論統制法について説明する。
第28回普通選挙法と治安維持法大正デモクラシーの流れの中で,衆議院議員選挙が普通選挙化されたが,その過程はどのようなものであったか,また普通選挙に伴い社会主義勢力の議会進出を防ぐ目的で治安維持法を制定し,治安立法の強化を図ったことについて説明する。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ。
第30回まとめまとめ。
授業形式 講義形式で行う。また,重要なポイントは板書を行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
40% 0% 40% 20% 0% 100%
評価の特記事項 小テスト・定期試験は,内容だけでなく誤字・脱字のチェックも行う。
テキスト 前期は、使用しない。
後期のテーマについては,プリントを配布する。
参考文献 高橋雅夫編『Next教科書シリーズ 法学』弘文堂,2200円.
オフィスアワー(授業相談) 水曜日14時30分~19時40分,木曜日14時30分~19時40分,講師室にて行う。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 受講を希望する学生は,既に「法学」を履修済みであることが望ましい。もし履修済みでない者は,今年度「法学」を履修することを条件とする。
また,授業終了時に次回のテーマをアナウンスするので,テキスト等をあらかじめ一読してほしい。また,板書事項が多くなるので,きちんとノートを取ること。