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学習目標(到達目標) |
「産業組織論」は、現代資本主義における市場の役割について分析・研究するものである。産業組織論がどのような学問であり、どのような役割を果たしているか、現代の産業・市場のあり方を身近な問題として理解し、説明できることを目標とする。それは市場における自由競争か産業政策などによる規制が必要かなどを考える。こうした問題は、効率中心の新自由主義の考え方や政策に対して国民全体の視点からの幸せを基本に置き、ルール無き競争社会が引き起こす諸問題について産業組織論的に考えることができる。こうしたことから現代資本主義経済社会の中心的問題について考えるようになる。 |
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授業概要(教育目的) |
現代の市場は、ミクロ経済学で習う完全競争市場ではなく、きわめて高度に寡占化あるいは独占化した市場である。また、現実の企業はそれぞれに特徴を持ち、相互依存関係にある。企業間競争は技術革新の競争や価格競争によって激しく変化し、産業再編成を余儀なくされたりしている。そこで、個々の産業・企業の競争状況を示す「市場構造」に関連させて、企業の価格設定や技術開発・投資行動に関連する「市場行動」、その結果としての利潤率や市場の効率性などを表す「市場成果」の基礎的な概念の相互関連を論じ、よりよい産業組織の実現ために規制か規制緩和か、あるいは「独占禁止法」をはじめとする産業政策にも言及する。 |
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授業計画表 |
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回 | 項目 | 内容 |
第1回 | 前期「産業組織論Ⅰ」の概要と市場構造における「製品の差別化」について
| 製品差別化の意義と方法など
| 第2回 | ブランド製品がなぜ生まれるのか-製品差別化と競争 | 製品差別化の実態、広告・宣伝費の役割など | 第3回 | 競争が行われにくいのはなぜか
| 参入障壁の形成とその要因
| 第4回 | 市場の成長とプロダクト・ライフサイクル論、 | 商品にも命があり、成長するときも衰退するときもある | 第5回 | 産業再編成と企業の統合化 | 合併(M&A)、提携、系列化、下請けなど | 第6回 | 企業の統合化と企業の多角化、
| 企業の多角化は何をもたらすか、産業組織への影響 | 第7回 | 産業組織のグローバル化と多国籍企業、 | 世国際的産業再編成と国際競争力
| 第8回 | 「市場行動」の概念と価格設定行動の原理 | 新古典派の価格理論と市場の原理
| 第9回 | 価格理論の展開 | ゲームの理論の展開,目標利潤率設定,フルコスト原理と産業組織
| 第10回 | 管理価格と自由競争 | プライス・リーダーシップと参入阻止価格論、コンテスタビリティ理論など、
| 第11回 | 投資行動と研究開発(R&A)活動 | 技術革新,特許制度など
| 第12回 | 市場成果の基準と社会的費用, | 資源配分の効率性とX非効率,測定法と実態、 | 第13回 | 利潤の源泉 | その他の成果と市場支配力,その実証
| 第14回 | 産業組織政策
| 規制と規制緩和はなにをもたらすか、独占禁止法と公正取引
| 第15回 | 情報化社会と産業組織の変化、今後の課題など | 情報化社会と産業組織の変化、今後の課題など |
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授業形式 |
少人数の特長を生かして院生の産業組織に関する興味や学習レベルに応じて、授業の形式を考えたい。
また、理論的な問題と産業の具体的な事例を取り合わせながら講義を進める予定である。可能な限り新しいデータや講義内容についての補助用のプリントを配布して理解を深めるようにしたい。上に述べたような問題に関して産業組織論の研究の現在の到達点を示しながら、皆さんが興味を持つ産業の組織に関連する課題をどのように分析するか、情報と方法論を提供しながら理論的・実証的分析と政策的含意について皆さんと一緒に考えたい。
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評価方法 |
定期試験
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レポート
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小テスト
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講義態度
(出席)
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その他
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合計
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0% |
0% |
0% |
80% |
20% |
100% |
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テキスト |
三宅忠和著『産業組織論の形成』桜井書店,2009年
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参考文献 |
新庄 浩二 編『現代産業組織論』[新版]有斐閣ブックス,2003年.その他必要であればその都度紹介する。 |
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オフィスアワー(授業相談) |
授業時間の前後 あるいは、事前にアポイントを取れば適時 |