講義名 法学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水2
単位数 4

担当教員
氏名
中村 良

学習目標(到達目標) 本講義では、以下の①から⑤の項目を達成することを目標とする。
①法学についての基礎的な知識をみにつける。
②身近な問題を法的視点で捉える事ができる。
③②の問題を法に基づいて解決方法を説明できる。
④②の問題を法的に予防する方法を説明できる。
授業概要(教育目的)  身近な紛争を念頭に法的制度について説明し、「紛争」を法的に処理、予防(回避)する方法について、受講生とともに考察する。
 前期は、主として民法を中心に、適宜商法・会社法にも触れながら講義する。
 後期は、①知的財産権を律する法律、②経済法、③最後に刑事法領域について講義する。
 本講義を通じて、受講生が「紛争(問題)予防・解決」に法的なアプローチができるようになることを目的とする。 
授業計画表
 
項目内容
第1回受講ガイダンス
導入 
 授業の概要、目的、達成目標、事前準備、授業の進め方、ノートのとり方、成績の評価方法について説明を行うので出席すること。
「法」とは何か、「法学」を勉強する意義
【準備学修】 特になし
第2回契約を結ぶことができる者 権利と義務の主体であるための資格「権利能力」について、自然人の場合について学ぶ。権利能力の始期と終期、失踪宣告と胎児の例外について理解し、さらに有効に契約を締結するために必要とされる「意思能力と」と「行為能力」について学ぶことで、契約を結ぶことができる者とできない者の違いについて説明することができるようになる。
【準備学修】
 胎児に私たちと同じような権利を与える必要はあるか。「必要がある」と考えられる場合と、「必要がない」と考えられる場合を想定し、その理由を簡単にまとめること。
第3回「法人」の働き 自然人と並び権利・義務の主体と認められる「法人」について、法人の種類、法人の根本を定める定款、法人の組織のほかに、特にわが国の経済活動を支える株式会社の特徴について説明することで、経済活動における「保法人」の存在意義、および一般法である民法と特別法である会社法の関係について説明できるようにする。
【準備学修】
 法人の種類にはどのようなものがあるか調べる。
第4回「契約の成立」 「契約」は、「申込み」と「承諾」の意思表示が合致して成立するが、その内容が不確定な場合や違法な場合は契約の効力が認められない。意思表示、「申込み」と「承諾」、契約の一般的有効要件、無効と取消しについて学ぶことで、実社会で活用されている様々な契約が成立する場合、成立しない場合、成立後に効力が否定される場合について、基本的なプロセスについて説明することができる。
【準備学修】
 「コンビニでお菓子を買う=売買契約」というように、自分の日常生活がどのような契約によって成り立っているのか、わかる範囲で具体的に書き出す。
第5回契約社会から保護される者 私的自治の原則が支配する現代社会では、すべての者が理性的・合理的に判断し行動できる能力を備えていることが前提になっているが、現実の社会には判断能力が不十分な者がいることも事実であり、保護する必要がある。どのような場合に制限行為能力者となるのか、制限行為能力者となった場合の効果、旧無能力者制度などを学ぶことから、現代社会における成年後見制度について説明することができる。
【準備学修】
 第2回の講義ノート・レジュメを見直すこと。判断能力が不十分なことが原因で起こった事件や事故について調べる。
第6回契約と意思表示 契約は、両当事者の意思表示が合致することで成立する。その意思表示に何らかの問題がある「意思の不存在(心裡留保・虚偽表示・錯誤)」と「瑕疵ある意思表示(詐欺・強迫)」について、どのような態様を想定しているのか、それぞれの原則と例外を学ぶことで、一見意思が合致していても契約が取消し・無効になる場合を説明することができる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること(民法93条から96条までを読み、各条文がどのような状況を想定しているのか考える)。
第7回時効制度 一定期間他人の物を占有するとその権利を取得したり(取得時効)、一定期間権利を行使しないとその権利を失ったり(消滅時効)する時効制度について学ぶことで、一見すると不道徳にも思える時効制度の存在意義について理解し、説明することができる。
【準備学修】
 不道徳とも思える時効制度が認められる理由を考える。
第8回物権と債権 物権の持つ排他性・直接性・絶対性という性質を債権と比較し、さらに物権法定主義、公示の原則、物権と債権の公示方法、公信の原則などの基礎知識から、経済活動における物権と債権の意義を説明することができる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 法務省のHPから「不動産登記のABC」部分を読んでおく。
第9回物的担保 担保物件全般の基礎知識を理解したうえで、「抵当権」を例に債権を回収する方法としての担保物件の仕組みや、経済界の要請により発展した譲渡担保や所有権留保の制度から、実社会における経済活動の一端を知ることができる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 民法369条を読み、条文がどのような状況を想定しているのか考える。
第10回人的担保 人的担保の仕組みと保証債務の法的性質という基礎知識を学んだうえで、債権を回収する方法として広く社会で利用されている「保証」と「連帯保証」の仕組みを通し、実社会における経済活動の一端を知ることができる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 民法446条、同452条、同453条、同454条を読み、各条文がどのような状況を想定しているのか考える。
第11回商法の概要 商人の営業、商行為その他商事については商法が適用され、商法に定めがない事項については商習慣に従い、商習慣がないときは民法が適用されることを、法定利率などの具体例から学ぶことで、商法が適用される範囲を説明することができるようになる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 商法514条と民法404条を読み、利率に違いがある理由を考える。
第12回裁判による権利の実現 権利は裁判を通じて実現しなければならず、自力救済は原則として禁止されている。国の力を利用した債権回収方法である裁判制度について、一般債権の回収と抵当権の実行を例に、民事訴訟と民事執行の手続きの概要について学ぶことで、紛争の解決方法について説明することができるようになる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 裁判所のHPから「裁判所手続の案内」の「民事事件」部分を読んでおくこと。
第13回親と子 母は子を分娩した女性であり、その女性が婚姻しているときは夫が子の父と推定されるという民法の規定を理解したうえで、生殖補助医療の進歩による代理懐胎や、女性の再婚禁止期間の裁判例を読み解くことで、現代の親子の問題について説明することができるようになる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 民法772条2項を読み、その存在意義を考える。
第14回相続 相続が開始し、法定相続人に法定相続分が相続されるという、相続に関する基礎知識を理解したうえで、全血兄弟と半血兄弟の相続分に差があることや、非嫡出子の相続分が嫡出子の二分の一であることが違憲とされた判例を理解することで、現代の相続の意義を説明することができる。
【準備学修】
 レジュメを読んでくること。
 民法887条から同890条を読み、法定相続人はどのような者か調べる。
第15回前期まとめ(復習) 14回の講義で学んだことを総括し、生活の中に予想される紛争を予想し、その法的対応について考えることができるようにする。
【準備学修】
 レジュメと講義ノートの全体を読み直す。
第16回知的財産と法①(導入・特許権)知的財産とは何か。法的にどのように保護されているか概観する。
特許権について事例をあげながら概要を説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第17回知的財産と法②(著作権)著作権について、事例をあげながら概要を説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第18回知的財産と法③(商標・意匠)商標・意匠について、事例をあげながら概要を説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第19回不正競争防止法不正競争防止法について、事例をあげながら概要を説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第20回「営業秘密」の保護
「営業秘密」の意義・保護について説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第21回不当な取引制限(カルテル・入札談合)の規制
独占禁止法の主要な規制の一つである不当な取引制限に対する規制について事例をあげながら説明する。審決の読み方等にも言及する。受講生には、問題点の把握、回避方法(相談を含む)について勉強してもらう
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第22回私的独占の規制・企業結合規制独占禁止法の主要な規制の一つである私的独占・企業結合規制について事例をあげながら説明する。審決の読み方等にも言及する。受講生には、問題点の把握、回避方法(相談を含む)について勉強してもらう。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第23回不公正な取引方法の規制独占禁止法の主要な規制の一つである不公正な取引方法に対する規制について事例をあげながら説明する。審決の読み方等にも言及する。受講生には、問題点の把握、回避方法(相談を含む)について勉強してもらう。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第24回表示規制食品・商品等の表示をめぐる法律について説明する。最近の事件を紹介しつつその限界についても検討する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第25回金融市場規制株式市場に対する規制(株価操作・内部者取引等の規制)について事例を紹介しながら説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第26回犯罪と法①「犯罪」とは何か、事例を紹介しながら説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第27回犯罪と法②
どのような「罪」があるか、事例を紹介しながら説明する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第28回犯罪と法③どのような「罪」があるか、事例を紹介しながら説明する。裁判員制度についても言及する。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第29回内部告発「内部告発」の法的な取り扱いと「内部告発者」保護等について
説明する。受講生には、「告発」することの影響についても考えてもらう。
【準備学修】レジュメを読んでくること。
第30回後期授業・全授業のまとめ(復習)レジュメとノートを必ず持参する事
これ迄の授業を振り返り、授業の要点の復習をおこなう。
授業形式 講義形式
受講生の発言を歓迎する。
レジュメを事前に読んで、わからない単語等は調べてくること。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 50% 0% 0% 100%
評価の特記事項 小テストを複数回実施する。
小テストと定期試験を合わせて評価する。
テキスト EcoLinkに掲載されているレジュメを毎回各自で印刷して持参すること。
参考文献 授業中に適宜説明する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 1回目のガイダンスに出席すること。
毎回授業の前にレジュメを読んで、分からない単語等調べておくこと。
新聞・テレビ等のニュースに関心をもつこと。
この講義は「経済学部」の「法学」である事を意識して講義を行う。
受講生が興味を持って受講するよう配慮する。