講義名 美術史 ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 水2
単位数 2

担当教員
氏名
真道 洋子

学習目標(到達目標) 日本と経済的にも社会的にも関係が深く、特に近年国際情勢の中で注視されているイスラーム地域には、様々な宗教や地方固有の文化が共存し、相互に影響を及ぼし合っている。この講義では、イスラーム地域の物質文化に着目してイスラームへの理解を深めるために、以下の到達目標を設定する。
①イスラームの美術品や工芸品の具体的事例について説明できる。
②①を通じてイスラームの実践理論や他宗教との価値観の相違を説明できる。
③イスラーム認識を深め、自分の言葉で意見をまとめられる。
授業概要(教育目的) 主に美術史と考古学の観点からイスラームに関連する物質文化について概観する。授業前半ではイスラーム時代の建築、美術品、工芸品、日常用品など全般を対象としてその概要や特徴について概説し、そこから読み取れる文化や社会などについて考察を進める。また、イスラーム地域は西はイベリア半島から東はアジア地域にまで広がっており、それぞれの地域ごと時代ごとに地域的特徴がある。そこで、授業後半では、現地調査で得られた資料や現在中東地域で起きている諸問題についても触れながら、各地域の概要について順次解説し、地域的相違や特徴から異文化理解できるように努める。
授業計画表
 
項目内容
第1回イスラームと美術工芸


イスラームに関わる美術史と考古学のガイダンスに基づき、講義の目的を理解する。
【準備学習】イスラームに関するニュースなどに目を通しておくこと。
第2回イスラームの美術工芸美術工芸品を通じたイスラーム地域へのアプローチの仕方について学習する。
【準備学習】テキストの序を読んでおくこと。
第3回イスラーム建築イスラームの宗教施設、モスク、マドラサ、聖者廟などについて学習する。
【準備学習】モスクとは何か調べておくこと。
第4回書と絵画さまざまなアラビア語書体の発達とクルアーンおよび写本などに描かれた絵画について学習する。
【準備学習】ネットなどを通じてクルアーンの読誦を聞いておくこと。
第5回工芸1(土器と陶器)金属器と土器・陶器などの工芸品の中でとくにイスラーム陶器を中心に学習する。
【準備学習】イスラーム時代の土器や陶器を見たり、画像を検索して観察しておくこと。
第6回工芸2(ガラス器)ガラス製容器と装身具類について学習する。
【準備学習】教科書の『イスラームの美術工芸』該当箇所を読んでおくこと。
第7回アラビア半島とイスラームイスラームの誕生と拡大を理解するためアラビア半島の歴史と背景について美術工芸品とともに概観する。
【準備学習】イスラーム関連の図書に目を通しておく。
第8回シリア・パレスチナの建築と美術工芸シリア・パレスチナにおけるとくにイスラームとキリスト教など多宗教との関について工芸品を通じて学習する。
【準備学習】現代のシリア情勢などに関するニュース記事などを読んでおくこと。
第9回イラク地域建築と美術工芸アッバース朝の中心であった現在のイラク地域におけるイスラーム文化の展開について学習する。
【準備学習】イラク・イラン地域にどのよな都市があるか調べて列挙しておくこと。
第10回エジプト建築と美術工芸ナイル地域の物質文化の変容をフスタート遺跡の発掘調査を通じて学習する。
【準備学習】フスタート遺跡について調べておくこと。
第11回北アフリカとイベリア半島の建築と美術工芸チュニジアからモロッコ、イベリア半島に広がる地中海世界の中でのイスラーム的展開を理解する。
【準備学習】北アフリカにある国を確認しておくこと。
第12回イラン及び中央アジアの建築と美術工芸サーサーン朝ペルシャなどのアラブ以外の伝統を継承する諸国のイスラーム文化の特徴について理解する
【準備学習】イラン及び中央アジアにある国について調べておくこと。
第13回トルコの建築と美術工芸ビザンティン帝国とイスラームの関係及びオスマントルコについて学習する。
【準備学習】イスタンブールについて調べておくこと。
第14回アジア地域への広がり中国および東南アジア出土のガラス器や中東地域出土の中国陶磁などを通じて東西交流を学習する。
【準備学習】中国陶磁にどのような種類があるか、画像を参考に調べておくこと。
第15回理解度の確認授業全体のまとめもしくは教条試験を実施する。
【準備学習】14回分の授業の総復習をしておくこと。
授業形式 スライドやビデオ教材、実物資料などビジュアルな資料を用いて講義を行い、随時感想や質問を受け付けフィードバックする。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 0% 0% 30% 10% 100%
評価の特記事項 評価の基準は定期試験であるが、出席率も重視する。
テキスト 『世界史リブレット76イスラームの美術工芸』真道洋子、山川出版社
随時配布資料あり。
参考文献 『すぐわかるイスラームの美術』桝屋友子、東京美術
『『アラビアンナイト』の国の美術史』小林一枝、河出書房新社
オフィスアワー(授業相談) 授業終了後、教場にて質問や相談を受け付ける。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 授業では画像資料を多用するので、テキストや参考書で各自内容を補足確認すること。イスラーム地域にある国の国名と位置を把握しておくこと。また、現代のイスラーム世界のニュースなどにも関心を払っていてください。