講義名 国際協力論　≪◇学部≫
講義開講時期 前期
曜日･時限 金３
単位数 2

担当教員
氏名
鳥海　直子

学習目標(到達目標) これまでの援助潮流・援助理念を踏まえた上で,国際協力の基本的な考え方や仕組みについて学ぶ。また,具体的な事例の学びを通じて,国際協力の現場で行われている活動を多面的に理解する。さらに新興援助国による支援,官民連携など,国際協力の現場で見られる最新の動向についても学ぶ。その上で,開発途上国の自立的発展を支援するためには何が必要か,様々な角度から検討し,自分なりに国際協力の在り方について考えられるようになる。
授業概要(教育目的) 本講義は,国際協力のマクロ的な動きや仕組みに関する主要なテーマについて解説し,それに続けてミクロの観点からそのテーマに関連する具体的な協力の事例を,ビデオ等も用いて説明しより理解を深める。国際協力という必ずしも正答が１つとは言えない分野で行われている様々な試みを学ぶ中で,生徒が国際協力をより身近に感じ,そのあり方について多面的に考えられるようになることを目標とする。
授業計画表
 
回項目内容
第1回国際協力とは何か政府開発援助（ODA)を中心に日本の国際協力の歴史,概要を説明する。
日本の国際協力の背景について理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第2回貧困とは何か国際協力が最重要課題として掲げ,国際的な開発目標の中心課題である貧困削減。貧困を多面的にとらえる視点について解説する。世界の貧困状況と削減に向けた試みについて理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第3回国際協力の事例①：貧困削減におけるマイクロファイナンスの役割貧困削減の有効な手段の１つとされているマイクロファイナンスについて説明する。マイクロファイナンスが果たしてきた役割について理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第4回貧困層のリスク管理行動～金融的側面から～貧困層が生きていく上で直面するリスクにはどのようなものがあるのか、またどのように対応しているのかを、金融的な側面に焦点を当てて紹介する。そのうえで、第3回講義と合わせて、「貧困層による金融サービスへのアクセス」について、多面的に理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第5回国際社会における国際機関の役割や変遷、援助潮流について第2次大戦後,主に先進諸国が率いてきたこれまでの国際協力の変遷について紹介する。国際協力がその時々の経済・社会状況に影響されながら行われてきたことを理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第6回国際協力の事例②：日本の人造り協力国際協力の重要な柱であるキャパシティー・ディベロップメント(能力開発）を理解するために,日本の国際協力が力を入れてきた人造り協力の具体的な事例を紹介する。個人,組織,制度・社会レベルでの能力開発の重要性について理解する。
準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第7回キャパシティーディベロップメントの課題第6回講義を受けて,途上国によるキャパシティーディベロップメントに向けた試みと,抱える課題について説明する。そのうえで、国際協力を実施する上でのさまざまな制約や課題についての理解を深める。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第8回国際協力の事例③：農村開発途上国の大多数が居住する農村部。アフリカの事例を基に、人々がそこにある資源を如何に活用し、生計の維持向上に努めているかを理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第9回国際協力の新たな担い手①新たな開発パートナー諸国の現状と課題BRICsを初めとする「新たな開発パートナー諸国」の出現は、伝統的な援助国だけではなく、援助される国々にもさまざまな影響を与えてきた。新たな開発パートナー諸国による国際協力の現状と課題について説明する。その背景や、伝統的な援助国の協力との違いについて理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第10回国際協力の新たな担い手②民間の担い手の現状と課題NGO/NPOに加えてCSRやBOPビジネスの一環として国際協力に取り組む民間企業等の活動の現状と課題を説明する。その上で政府開発援助との違いについて理解する。
【準備学習】　講義資料には予め目を通しておくこと。
第11回平和構築と復興支援日本の国際協力の重点課題の１つに位置付けられてきた「平和の構築」。平和構築・復興支援の概念を説明した上で,具体的な支援について紹介する。復興支援対象国とそうでない途上国向けの支援の違いについて理解する。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと。
第12回国際社会の中での今後の日本の役割講義で取り上げた内容を踏まえて,今後日本が国際社会の中で果たしうる役割について考える。
【準備学習】　講義資料に予め目を通しておくこと
第13回講義のまとめこれまでの講義の総復習 【準備学習】すべての講義資料に目を通し、疑問点、質問点があればまとめておくこと。
第14回理解度の確認要点のまとめ
第15回まとめまとめ
授業形式 パワーポイントによる講義を行う。毎回レジュメをEco Linkにアップロードするので,各自印刷し事前に目を通してから出席すること。必要に応じて､追加資料を配布する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
（出席） 		その他 合計
66% 0% 20% 14% 0% 100%
評価の特記事項 出席点(1点Ｘ14回）,小テスト2回（10点Ｘ2回）,前期期末試験66点。
テキスト 講義資料をEco-Link上で配布。
参考文献 下村恭民他（2009）『国際協力（新版）』有斐閣, 2100円.
坂井秀吉他(2014),『現代の開発経済学』,ミネルヴァ書房,3,800円.
ポール・ポラック(2011),『世界一大きな問題のシンプルな解き方』, 英知出版、2,200円＋税.
三井久明・鳥海直子編/著(2009),『よくわかるマイクロファイナンス～新たな貧困削減モデルへの挑戦～』,DTP出版、1554円.
授業時にその都度提示する.
オフィスアワー(授業相談) 講義時間終了後も適宜質問を受けます.
事前学習の内容など，学生へのメッセージ 講義後は可能な限り講義中に紹介した参考文献にも目を通し,理解を深めることを推奨する.講義中の私語は他の学生の迷惑になるので,退室を要求する場合がある.講義を受ける中で,それまで馴染みのなかった途上国のニュースに関心を持つようになったとの声も聞かれる.国際協力に関心のある学生と共に学んでいきたいと考える.