講義名 統計学Ⅰ ≪◇学部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 金5
単位数 2

担当教員
氏名
大澤 秀雄

学習目標(到達目標) 「基礎統計」で学んだ基本的な概念をさらに進めて,多変量統計分析の初歩を理解するために,本講では次の項目ついて達成することを目標とする。
1. 想定したモデルに観測データが適合するものかを分析できる。
2. 独立した母集団における差を論じることができる。
3. 複数の母集団における差を検定し,実際に分析することができる。
4. 基礎統計で学んだ相関・回帰分析を実データで実践できる。
5. 基本的な統計分析の概念を理解し,さらに高度な多変量の分析法への足掛かりとすることができる。
授業概要(教育目的) 基礎統計を学んだ学生が,より実用的な統計分析力を身につけることを目的とする。統計的推定・仮説検定・相関分析・回帰分析の理解があることを前提とするので,基礎統計を履修済みであることが必要である。これらの素養がないと内容の理解が困難と思われる。目標にあるように,多変量の統計処理を行うので,Excel で分析表を作成することにより多変量統計分析の基本的考え方を理解することが目的である。現在,さまざまな統計ツールが使われ比較的簡単に統計結果は得られるが,それを使いこなすためには理論的な理解が求められる。本講ではそうした真の分析力をつけることが主たる目的である。

授業計画表
 
項目内容
第1回基礎統計知識の確認(アンケート)本講義を受講するための必要な基礎統計理論の事項を確認し,Excel での簡単な計算演習を解説する。
[準備学習] 統計分析における推定と仮説検定を復習しておくこと。
第2回適合度の検定観測された現象が想定の理論モデルに準ずるものかを検定する分析法を解説する。
[講義項目] カイ2乗分布/モデルの適合度/変量の独立
[準備学習] 事象の出現割合を Excel で計算しておくこと。
第3回独立性の検定2因子に伴って起こる現象が因子間の組み合わせに依存するものかを検定する分析法を解説する。
[講義項目] 独立因子に関する適合度検定
[準備学習] 因子の独立とは何かを説明できるようにしておくこと。
第4回母集団の格差--母分散比の推測 独立した2つの母集団の母分散に差が生じているかを分析する手法を解説する。
[講義項目] 等分散の検定/F分布
[準備学習] 母分散の推定量について説明できるようにしておくこと。
第5回母集団の格差--母平均差の推測独立した2つの母集団の母平均に差が生じているかを分析する手法を解説する。
[講義項目] 標本平均差の確率分布/t分布
[準備学習] t分布のグラフを描き,母平均の推定・検定での利用について説明できるようにしておくこと。
第6回適合度検定・母集団の格差のまとめ 適合度検定および等分散と平均差の検定のデータ処理演習を各自実践する。
 [準備学習] 5回までの内容をまとめ,Excel を利用して統計処理の実践ができるようにしておくこと。
第7回分散分析--1元配置3つ以上の集団の母平均に有意な差があるかを検定する分析法を解説する。
[講義項目] 1 元配置法/変動の分解/因子と水準
[準備学習] 変動とはどのような統計値であるかを説明できるようにしておくこと。
第8回分散分析--2元配置(非反復)2因子それぞれの複数水準組み合わせにより繰り返しのないデータから各因子の水準間に有意な差があるかを検定する分析法を解説する。
[講義項目] 繰り返しのない 2 元配置法/クロス表
[準備学習] 前回の分析手法を説明できるようにしておくこと。
第9回分散分析--2元配置(反復)2因子それぞれ複数水準の組み合わせにより繰り返しのあるデータから各因子の水準間の差および水準の組み合わせによる交互作用効果があるかを検定する分析法を解説する。
[講義項目] 繰り返しのある 2 元配置法/交互作用効果
[準備学習] 前回の分析手法を説明できるようにしておくこと。
第10回相関・回帰分析(1)2変量データの相関を Excel で分析する表を作成する。
[準備学習] 相関分析の手法を説明できるようにしておくこと。
第11回相関・回帰分析(2)2変量データに対して,回帰分析を Excel で実践する表を作成する。
[準備学習] 回帰分析の手法を説明できるようにしておくこと。
第12回分散分析,相関・回帰分析のまとめ分散分析,相関・回帰分析のデータ処理演習
第13回総合演習(1)12回までの理解度の確認(試験を兼ねる)
第14回総合演習(2)統計学Iの理解度の確認
第15回まとめ まとめ
授業形式 基本的に講義形式とPCによる演習で進める。実際にデータ処理を行うことにより,理解が深まるので,毎時限問題演習を行い,提出させる予定である。講義内容は状況に応じて変更もありうる。講義においては安易にツールを使うのではなく,それぞれの課題についてその基本的な考え方に基づき分析のためのフォームを作りあげる。そのうえで何が分析されたかをレポート形式でまとめるという手順で進める。内容的にも毎時間積み上げていくので,欠席した場合はその時間の講義内容を自学自習してもらいたい。また,必ず連絡を取ることを求める。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 20% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 講義で出されるレポート, 講義中に作成する Excel のファイルはすべて提出すること。総合演習は試験も兼ねる。
テキスト 大澤秀雄著『新・基礎から学ぶ統計学』梓出版社.
オフィスアワー(授業相談) 火曜日13時から16時まで, 8号館受付で守衛の方を通じて連絡を取ること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ この講義は「基礎統計」で学んだ「推定・検定」についての理解があることを前提とする。従って,「基礎統計」の単位を取得したうえで受講することを求める。具体的には, 正規分布, t分布, カイ2乗分布への理解があり,それらの統計表が使えること。統計的推定および検定手法を理解し, 特に P 値による検定を使えること。相関・回帰分析の内容がわかっていることである。以上の内容の理解がなければ, この講義の受講は困難である。また, Excel を使って統計処理を行うので, 毎回その操作を繰り返し行い, 統計手法とともに十分理解しておくこと。1 回の欠席が致命的になることを肝に銘じてもらいたい。