講義名 経済学史 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月3
単位数 4

担当教員
氏名
塚本 隆夫

学習目標(到達目標)  講義の目的は,経済学の「時代制約」を認識することです。経済学の「歴史」を検討することで、普遍性を持つとされる「科学としての経済学」のなかに隠された「時代制約」を解き明かします。
 講義では,「科学としての経済学」が,どのような社会の状況から生み出されてきたのかを,歴史に沿いながらを検討します。それぞれの時代の経済学者が,当時の「重要問題」をどのように考えたのかを,分析の視点とします。
 受講生は講義を通じて、経済学者が提示した経済学説と,その当時の社会経済状況との間の強い関係を見出すことができるようになります。
授業概要(教育目的)  科学としての経済学は,「市場経済体制」の成立とともに,重商主義,フランス重農主義をへて,18世紀の後半にイギリスのアダム・スミスの経済学へと発展しました。スミスの経済学は,自由放任の経済学と評価されました。
 スミスの経済学は,リカードとマルサスに引き継がれます。両者が、産業革命とフランス革命を背景に,どのような経済学説を展開したのかを検討します。
 イギリス主流派に対して,異論を提示したドイツ歴史学派、マルクスの経済学説へと、検討を広げていきます。
 このような経済学の進化過程を解き明かすことで、経済学には歴史制約があることを示します。
授業計画表
 
項目内容
第1回オリエンテーション
授業計画の説明
授業をどのように進めるかを説明します。
「経済学史」とはどのような学問・科学なのか
経済学史の研究手法について
経済学説と時代背景の関連
「科学としての経済学」とはどのような意味か
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第2回市場経済体制の形成その1市場経済体制とは,とはどのようなもので、どのような歴史的過程を経て形成されたのか
市場経済体制を非市場経済体制と比較しながら、その特質を検討する。
数学的解釈と歴史的考察
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第3回市場経済体制の形成:その2経済学説と時代背景の関係を,市場経済体制の形成過程から考えます。
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第4回市場経済体制の形成:その3私有財産権・貨幣・余剰生産物の歴史的考察,市場経済に特有なエトスを考えます。
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第5回イギリス重商主義:その1重商主義とは何か
「富」とは何か
どうすれば「富」を獲得できるのか
重商主義の経済学説,取引差額説、貿易差額説
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第6回イギリス重商主義:その2
イギリス重商主義は、なぜ産業革命の「温床」となることができたのか。
貿易差額説、就業差額説
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第7回イギリス重商主義の意義とその限界重商主義批判
ヒュームと貨幣数量説
ステュアートは何を主張したのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第8回フランス重商主義:その1フランスの重商主義は,なぜ重農主義を生み出したのか。
コルベール政策とはどのようなものか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第9回フランス重商主義:その2コルベール政策の限界とフランス重農主義の思想背景
フランス啓蒙主義
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第10回フランス重農主義:ケネーの経済表ケネーの「経済表」を解読する
「経済表」からどのようなことが読み解かれるのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第11回アダム・スミスの経済学と時代背景18世紀のイギリス社会が抱える問題は何であったのか
スミスは,その問題にどう取り組んだのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第12回スミス『国富論』:その1「富概念」と分業論スミスにとって「富」とはどのようなものなのか
なぜスミスは「分業」を強調したのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第13回スミス『国富論』:その2「2つの労働価値説」スミスの二つの「労働価値説」
投下労働と支配労働
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第14回授業時に「中間試験」を行います。授業時試験を予定しています。
第15回これまでの整理これまでの整理
第16回スミス『国富論』:その3「自然価格と市場価格」スミスの「労働価値説」から「自然価格」,「市場価格」を再検討します。
スミスの価値論の謎を解明します
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第17回スミスの『国富論』:その4「経済成長論」スミスの経済成長戦略
資本蓄積論
富裕の自然の経路スミス経済学の貢献と時代制約
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第18回スミス以降のイギリス古典派経済学の展開スミス以降のイギリスとフランス
産業革命とフランス革命は経済学に何をもたらしたのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第19回マルサス「人口論」貧困は何故に生じるのか
貧困は解決できるのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第20回リカード対マルサス「穀物法論争」農産物は自給すべきか,それとも輸入すべきか
農産物の輸入自由化がイギリス国民経済もたらすのは,繁栄か、それとも衰退か
「保護貿易」と「自由貿易」のメリット・デメリットを考える
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第21回リカードの経済学体系リカードの分配論,地代論,利潤論
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第22回リカードの経済成長論と国際分業論差額地代、比較生産費説
経済成長で得するのは誰か
なぜ自由貿易は必要なのか
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第23回イギリス古典派経済学の整理リカードとマルサスの経済思想の比較検討
同じ時代、同じ状況なのに、二人はなぜ違うヴィジョンを描いたのか。
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第24回ドイツ歴史学派の背景19世紀前半のイギリスとドイツ
国民経済学
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第25回リストの経済学:その1リストの国民経済学とは
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第26回リストの経済学:その2経済発展段階説
保護貿易論
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第27回マルクスの経済学:その1資本主義経済の問題
労働価値説の洗練化
人間労働の二面性
剰余価値とは
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第28回マルクスの経済学:その2資本主義経済と恐慌
マルクスの意義
Eco-Linkにある「講義レジュメ」や「宿題」で予習・復習を行った上で、授業に出席してください。
第29回授業時に「学年末試験」を行います。授業時試験を予定しています。
第30回一年間の講義の整理一年間の講義の整理
授業形式 授業は,「講義」と,受講生との「討議」を通じて行います。
Eco-Linkを使って資料・宿題等を配布します。これを使って、予習・復習をして、授業に出席してください。
授業時に何回か小テストを行います。
受講生の理解度に応じて,講義の進度を調整します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 10% 10% 10% 100%
評価の特記事項 出席・小テスト・宿題の成績が基準を満たさない場合、中間・学年末の定期試験等の結果にかかわらず、単位が認定されない場合があります。
テキスト J.R.コモンズ著、中原隆幸訳『制度経済学』ナカニシヤ出版。
参考文献 ハイルブローナー『入門経済思想史 世俗の思想家たち』ちくま学芸文庫。
松原隆一郎『経済思想史』新世社。
これ以外にも参考文献等を授業中に指示します。
オフィスアワー(授業相談) 月曜日4時限
事前に,面談予約を取って下さい。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ この科目は「専門科目」です。
受講生が,「経済史」,「ミクロⅠ」,「マクロⅠ」の履修を終えていることを前提に授業を進めます。
受講生は,授業該当箇所のテキストを事前に読了して,討議に応じられるようにして,授業に臨んで下さい。
Eco-Linkで授業資料や宿題等を配布します。これらをプリント・アウトして、授業に持参してください。
Eco-Linkにある資料や宿題にある「用語」「概念」等について受講生に知識が不十分な場合、自分でネット等を使って、事前に調べておいてください。
随時,授業中に小テストを実施します。