講義名 計量経済学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月3
単位数 4

担当教員
氏名
山本 拓

学習目標(到達目標) 1.経済学では経済変数間の関係を理論的(抽象的)に学ぶが,計量経済学を学ぶことにより,実際のデータを用いて,それらの理論を数量的に把握・検証できるようになる。
2. 例えば,所得と消費の関係,あるいは失業率と賃金上昇率の関係を実際のデータを用いて推定できるようになる。またさらにその関係の強さを客観的に評価できるようになる。
3. これらは回帰分析という統計的手法であるが,これらの分析をエクセルを用いて行えるようになる。
4. 回帰分析という手法は,経済データのみを対象とする訳ではなく,さまざまな他の分野のデータ間の関係を捉えることにも適用することが可能となる。
授業概要(教育目的)  データに基づいた実証分析のための代表的な統計的手法は回帰分析と呼ばれる方法であり,「計量経済学」ではこの手法の習得を主たる目的とする。
 具体的には,まず回帰分析の考え方を学び,次に実際のデータを用いて回帰分析をエクセルで行う方法を学ぶ。
 さらに,回帰分析の結果を統計的にどのように判断・評価するかという考え方を学ぶ。その後,回帰分析のより進んだ手法を学ぶ。
 最終的には,各自が自分の関心を持つ経済活動・社会活動についてのデータを集め,回帰分析を適用し,その影響関係についての実証分析のレポートを作成できるようになることを目指す。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス計量経済学についての概略を解説する。講義の進め方ならびに成績評価の方法について説明する。
【準備学習】テキスト第1章を読んでおくこと。
第2回データの整理1和記法の復習を行う。平均,分散,標準偏差を解説する。対応したエクセルでの計算法を学ぶ。
【準備学習】テキスト2.1節,2.2節を読んでおくこと。
第3回データの整理2共分散,単相関係数,単相関係数の概念を解説する。対応したエクセルでの計算法を説明する。分散,共分散等の簡便な計算法について解説する。度数分布表,ヒストグラムについて解説する。
【準備学習】テキスト2.2.節,2.3節を読んでおくこと。
第4回最小2乗法1最小2乗法(OLS)の考え方とその導出法を解説する。導かれる回帰直線,理論値,残差について説明する。
【準備学習】テキスト3.1.1節,3.1.2節を読んでおくこと。
第5回最小2乗法2エクセルでの最小2乗法の計算法を学ぶ。残差の重要な性質について解説する。
【準備学習】テキスト3.13節,3.2.1節を読んでおくこと。
第6回最小2乗法3決定係数の説明。決定係数の解釈,単相関係数との関係についての解説する。実例を紹介する。
【準備学習】テキスト3.2.2節を読んでおくこと。
第7回最小2乗法4最小2乗法のまとめ。実証分析例を紹介する。
【準備学習】テキスト3.3節を読んでおくこと。
第8回小テスト1,単回帰分析1第1回から第7回を対象として小テストを行う。終了後,基準化変量の考え方を解説する。
【準備学習】テキスト4.1.1節を読んでおくこと。
第9回単回帰分析2偏差値,正規分布を解説する。回帰係数の正規分布に基づく検定を解説する。
【準備学習】テキスト4.2.1節,4.2.2節,4.2.3節を読んでおくこと。
第10回単回帰分析3正規分布からt分布を導出する考え方を解説する。回帰係数のt検定を解説する。
【準備学習】テキスト4.2.4節,4.2.5節を読んでおくこと。
第11回単回帰分析4説明変数選択の方法としてのt検定を解説する。エクセルの分析ツールの使用法を学ぶ。エクセルの結果の見方を学ぶ。
【準備学習】テキスト4.3節を読んでおくこと。
第12回単回帰分析5t検定を評価するp値について解説する,実例の紹介を行う。データを用いてエクセルでの回帰分析の練習を行う。
【準備学習】テキスト4.4節,4.6節を読んでおくこと。
第13回単回帰分析6最小2乗推定量の理論的側面を解説する。すなわちモデルの仮定,モデルとデータの対応,最小2乗推定量の統計的性質等を解説する。
【準備学習】テキスト4.5節を読んでおくこと。
第14回小テスト2,多重回帰分析の基礎1
第8回から第13回を対象として小テストを行う。テスト終了後,多重回帰分析について概略を説明する。
【準備学習】テキスト5.1節を読んでおくこと。
第15回中間のまとめまとめ。
【準備学習】第1回から第14回までのテキスト対応部分を読んでおくこと。
第16回多重回帰分析の基礎2エクセルを用いた多重回帰分析の練習を行う。多重回帰分析の単回帰分析に基づく解釈を説明する。
【準備学習】テキスト5.2節,5.3節を読んでおくこと。
第17回多重回帰分析の基礎3自由度修正済み決定係数について解説する。決定係数で注意すべきことについて解説する。
【準備学習】テキスト5.4節,5.5節を読んでおくこと。
第18回多重回帰分析の基礎4説明変数の過不足とその影響について解説する。多重回帰分析の実証例を紹介し,エクセルでの練習を行う。
【準備学習】テキスト5.6節,5.7節を読んでおくこと。
第19回モデルの関数型モデルの関数型について解説する。具体的には,フィリップス曲線,賃金プロファイル等を取り上げて,エクセルを用いて関数型の効果の確認を行う。
【準備学習】テキスト7.1節を読んでおくこと。
第20回ダミー変数1ダミー変数とは何かを解説する。一時的ダミーを説明する,エクセルでの練習を行う。
【準備学習】テキスト7.2節前半を読んでおくこと。
第21回ダミー変数2,遅れのある説明変数定数項ダミー変数,係数ダミー変数を解説する。遅れのある説明変数を解説する。エクセルでの練習を行う。
【準備学習】テキスト7.2節後半,7.3節を読んでおくこと。
第22回F 検定1F検定の考え方を解説する。回帰係数の0制約の検定について説明し,エクセルでの練習を行う。
【準備学習】テキスト8.1節を読んでおくこと。
第23回F 検定2回帰係数間の線型制約の検定を解説する。対応したエクセルでの練習を行う。
【準備学習】テキスト8.2節を読んでおくこと。
第24回F 検定3構造変化の検定,エクセルでの練習。
【準備学習】テキスト8.3節を読んでおくこと。
第25回多重共線性多重共線性の問題と解決法について解説する。
【準備学習】テキスト7.4節を読んでおくこと。
第26回物価指数とは物価指数の考え方について解説する。ラスパイレス型指数ならびにパーシェ型指数を紹介する。
【準備学習】テキスト6.1節読んでおくこと。
第27回デフレーターデフレーターとは何かについて解説する。名目変数と実質変数について解説する。
【準備学習】テキスト6.2節,6.3節を読んでおくこと。
第28回小テスト3第16回から第27回までを対象として小テストを行う。
第29回要点のまとめ小テスト3の結果をふまえて,第16回以降の要点の整理を行う。
第30回まとめまとめ。
授業形式 基本は講義であるが,統計手法の紹介に伴って,並行的にエクセルを用いて,実際にデータをどのように分析・処理するかを学ぶ。なお,必要に応じて講義のレジメ・資料をEcolinkにアップロードする。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 30% 40% 25% 5% 100%
評価の特記事項 レポート提出は2回(10点満点+20点満点),小テストは3回(10点満点2回+20点満点1回)行う。
テキスト 山本拓・竹内明香著『入門 計量経済学』新世社,2500円+税.
参考文献 山本拓著『計量経済学』新世社,3300円+税.
縄田和満著『Excelによる統計入門(Excel2007対応版)』朝倉書店,2800円+税.
オフィスアワー(授業相談) 月曜 15時-16時, 18時-18時半。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 本講義は,理科系の内容であり,エクセルの練習を含めて積み上げ方式である。ゆえに欠席をすると次回以降の理解に致命的なマイナス影響を与えるので,留意されたい。