講義名 産業組織論　≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日･時限 水５
単位数 4

担当教員
氏名
手塚　広一郎

学習目標(到達目標) この講義を通して，１）受講者が「産業組織論」の枠組み(や考え方）を理解し，２）それをつかって現実の政策に応用できるようになることを目標とします．その際，３）競争政策のもつ意義と課題について考えることができるようになることも，目標とします．
加えて，講義の内容にはミクロ経済学Ⅰ，Ⅱの内容の復習も含まれており，本講義を受けることでこれらのミクロ経済の理解を深めてもらうことも，目標としてあげられます．
授業概要(教育目的) 本講義では，産業組織論の主要なトピックについて，詳しく説明/解説します．内容としては，いくつかのまとまりによって構成されます．ひとつは，ミクロ経済学の企業（生産者）の理論についての復習を行います．もうひとつは，不完全競争市場として独占市場・寡占市場についてより詳細な内容を講義します．最後に，不完全競争市場の下での独占禁止政策について，関連するトピック（戦略的参入阻止，垂直的取引制限，特許など）を紹介します．
授業計画表
 
回項目内容
第1回ガイダンス通年にわたる講義のガイダンスを行います．

【準備学習】これまでミクロ経済学を受けた授業の内容を簡単に確認しておいてください．

*本講義は30回にわたるものであるため，講義内容や事前準備については，授業の進捗状況や受講者の反応を見て変更することがあります．
第2回産業組織論とは何か？　～産業組織論の目的と分析の範囲～産業組織論とミクロ経済学の関係などについて述べます．

【準備学習】「産業組織論」とは何かを以下に挙げた参考分権などで簡単に調べてみてください．
第3回産業組織論における分析の基礎的枠組み　～S-C-Pパラダイム～産業組織論の基本的な分析枠組みであるS-C-Pパラダイムについて説明します．

【準備学習】以下に挙げた参考文献などからＳ－Ｃ－Ｐパラダイムという言葉が何かを調べてみてください．
第4回ミクロ経済学における企業の理論　（その１）　生産関数と企業のとらえ方ミクロ経済学で学んだ企業の理論について復習します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅰで使用したテキストのうち，井堀（第６章）または西村（第６章）を見ておいてください．
第5回ミクロ経済学における企業の理論　（その２）　様々な費用概念ミクロ経済学で学んだ企業の理論について復習します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅰで使用したテキストのうち，井堀（第５章）または西村（第７章）を見ておいてください．
第6回ミクロ経済学における企業の理論　（その３）　利潤最大化行動ミクロ経済学で学んだ企業の理論について復習します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅰで使用したテキストのうち井堀（第５章）または西村（第７章・８章）を見ておいてください．
第7回完全競争市場と経済厚生完全競争市場のもつ意味について確認します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅰで使用したテキストのうち，井堀（第７章）または西村（第９章）を見ておいてください．
第8回市場の諸類型と経済厚生　－独占，寡占，独占的競争，完全競争市場市場の分類と経済厚生の関係について解説します．

【準備学習】独占市場，寡占市場，独占的競争市場とは何かをあらかじめ簡単に調べておいてください．
第9回独占市場の特徴と企業行動独占市場における企業行動について説明します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅱで使用した（あるいは使用している）テキストのうち，井堀（第９章）または西村（第10章）を見ておいてください．
第10回独占市場と経済厚生独占市場における経済厚生について述べます．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅱで使用した（あるいは使用している）テキストのうち，井堀（第９章）またはニス村（第10章）を見ておいてください．
第11回市場の画定と市場集中「市場の画定」と「市場の集中」それぞれが持つ意味について説明します．

【準備学習】第10回の講義の中で示した疑問について，考えておいてください．
第12回参入障壁と退出障壁参入・退出障壁について説明します．

【準備学習】「参入障壁」の具体的な例を考えておいてください．
第13回製品差別化による競争製品差別化に焦点を当てて解説します．

【準備学習】現実の製品差別化の事例をあらかじめかんがえておいてください．
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ

【準備学習】これまでのノートを見直しておいてください．
第15回中間のまとめまとめ
第16回合併と垂直的取引制限合併などの経済厚生に与える影響を講義します．

【準備学習】新聞記事などからこれまでの企業合併の事例を調べてみてください．
第17回ゲーム理論の基礎（その１）　～ゲーム理論の考え方～ゲーム理論の基礎的な内容説明します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅱで使用した（あるいは使用している）テキストのうち，井堀（第10章）またはニス村（第14章）を見ておいてください．
第18回ゲーム理論の基礎（その２）　～非協力ゲームとナッシュ均衡～ゲーム理論の基礎的な内容を説明します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅱで使用した（あるいは使用している）テキストのうち，井堀（第10章）または西村（第14章）を見ておいてください．
第19回寡占市場における競争（その１）　～クールノー競争～寡占市場にゲーム理論の枠組みを当てはめたモデルを紹介します．

【準備学習】ミクロ経済学Ⅱで使用した（あるいは使用している）テキストのうち，井堀（第11章）または西村（第10章）を見ておいてください．
第20回寡占市場における競争（その２）　～ベルトラン競争とその他の寡占市場のモデル～寡占市場にゲーム理論の枠組みを当てはめたモデルを紹介します．


【準備学習】ミクロ経済学Ⅱで使用した（あるいは使用している）テキストのうち，井堀（第11章）または西村（第10章）を見ておいてください．
第21回カルテルの形成と安定性カルテルや企業間の協調行動を取り上げて，その安定性について，ゲーム理論の枠組みを当てはめて説明します．

【準備学習】「囚人のジレンマ」を現実の事例に当てはめて考えてみてください．
第22回戦略的参入阻止行動とコンテスタブル市場の理論（その１）戦略的参入阻止の問題を取り上げます．

【準備学習】独占禁止法の「私的独占」とは何かをできる範囲で調べてみてください．
第23回戦略的参入阻止行動とコンテスタブル市場の理論（その２）コンテスタブル市場について説明します．

【準備学習】航空産業が自由化された理由を考えてみてください．
第24回不完全情報と広告広告が経済厚生に与える影響について紹介します．

【準備学習】経済学の視点から，なぜ「広告」が存在するのかを考えてみてください．
第25回研究開発活動と特許研究開発と特許について経済的な枠組みでの分析を紹介します．

【準備学習】なぜ特許や知的所有権が問題になるのかを考えてみてください．
第26回市場成果の計測手法とその評価実証的な面から市場成果の評価について解説します．

【準備学習】事前に配布する予定のプリントの市場シェアの計算などを見ておいてください．
第27回独占禁止政策独占禁止政策について法的な観点も含めてご紹介します．

【準備学習】独占禁止法違反の事例を調べてみてください．
第28回直接規制政策とその課題　経済的規制および社会的規制とそのあり方に関わる問題について説明します．

【準備学習】「規制」とは何かを参考文献などで調べておいてください．
第29回理解度の確認第16回以降の要点のまとめ

【準備学習】これまでの講義ノートを見直しておいてください．
第30回まとめまとめ
授業形式 授業は講義形式で行います．なお，出席状況を把握するために時に簡単なクイズを行い，あわせてレポート（または小テスト）も行う予定です．
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
（出席） 		その他 合計
70% 20% 0% 10% 0% 100%
評価の特記事項 講義態度について，担当教員から受講者に対して要請した基礎的な事柄（私語厳禁など）が守られていない場合には，該当する受講者の単位取得が認められないことがあります．
テキスト テキストは使用しません．
参考文献 井手秀樹・鳥居昭夫・竹中康治『入門・産業組織論』有斐閣，2010．
泉田成美・柳川隆『プラクティカル・産業組織論』有斐閣アルマ，2008．
小田切宏之『新しい産業組織論』有斐閣，2001．

ただし，準備学習としてミクロ経済学Ⅰ・Ⅱなどで用いたテキストを用います．
井堀利宏『入門・ミクロ経済学』第２版.
オフィスアワー(授業相談) 月曜日13：00～14：30をオフィスアワーとします．必ず事前にメール等でアポイントをとってください．
事前学習の内容など，学生へのメッセージ 産業組織論は，ミクロ経済学の応用分野といえます．そこで，皆さんがミクロ経済学Ⅰ・Ⅱなどで勉強してきたことについて，具体的にどのように当てはめて考えるか，ということに焦点を当ててお話します．事前学習として，講義で取り上げる内容に関連した事例を新聞等でチェックしてみてください．
なお，ミクロ経済学については，その都度復習しながら進めます．