講義名 西洋経済史 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金5
単位数 4

担当教員
氏名
山下 雄司

学習目標(到達目標) 1.イギリスの産業衰退の要因を多面的に説明できる。
2.イギリスの産業衰退を参照基軸として,他国を相対比較できる。
3.大量生産システムが生まれたアメリカの背景を知り,同システムが他国にどのように波及,適応していったのか説明できる。
4.大量消費が人々の生活をどのように変えたのか説明できる。
5.大英帝国がどのような経済構造の上に成り立っていたのか説明できる。
6.帝国主義と世界の一体化がどのように進展したのか説明できる。
7.一国史にとどまらず資本主義システムの視点から19~20世紀初頭を説明できる。
8.1~7に関する諸議論を説明できる。
授業概要(教育目的) 資本主義の経済構造は産業革命以降どのように形成され,どのような問題を内包していたのか。本講義では,前期にイギリス経済の発展と衰退要因を多面的に分析し,イギリス的特質を把握することで思考の軸を作る。後期は,これを参照機軸に,後発国(アメリカ・ドイツ)によるイギリスへのキャッチアップと,これらの国の経済体制の形成過程を,大量生産を視点にして考察する。さらに,各国史の枠にとどまらず世界的な広がりを持つ資本主義をどのように理解するのか,多様な議論や理論を解説し,現代の国際関係や経済構造の形成要因を読み解く力を養い,将来を展望する視座の獲得を目指す。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス
西洋経済史を学ぶ目的と成績評価方法
【準備学習】
シラバスを熟読しておくこと。
第2回経済史の枠組み経済史の課題・対象・方法
【準備学習】
事前に渡すプリントの該当箇所を予習すること。
第3回産業革命の歴史的意義
産業革命に関する古典的議論について解説する。
【準備学習】
事前に渡すプリントの該当箇所を予習すること。
第4回イギリス型経済システムの特徴1自由放任的な経済政策と多角的決済システムについて解説する。
【準備学習】
事前に渡すプリントの該当箇所を予習すること。
第5回イギリス型経済システムの特徴2中小企業優位の構造・流通組織・信用制度について解説する。
【準備学習】
事前に渡すプリントの該当箇所を予習すること。
第6回パブリックスクール「イートンでの生活」ジェントルマン養成機関を紹介し、反産業主義文化がいかに形成されたのか解説する。
【準備学習】
イギリスにおいて産業に従事することが社会的にどのように理解されていたか調べておくこと。
第7回イギリス産業の衰退1文化史的アプローチを含め,衰退に関する諸議論や産業と金融の関係について解説する。
【準備学習】
絶対的衰退と相対的衰退の意味の違いを調べておくこと。
第8回イギリス産業の衰退2新技術導入への対応がなぜ遅れたのか,制度の硬直化について解説する。
【準備学習】
新技術の導入を拒む理由は何か?身の回りの事例で考えておくこと。
第9回イギリス産業の衰退3同時代人は衰退をどのように理解し,どのように対応しようとしていたのか解説する。
【準備学習】
図表・統計資料を確認しておくこと。
第10回産業衰退への対応チェンバレンによる関税改革運動の帰結とエドワード時代の特徴について説明する。
【準備学習】
自由貿易と保護貿易の意味を調べておくこと。
第11回実業教育の振興実業教育制度はどのように整備されたのか,またその目的は達成されたのかについて解説する。
【準備学習】
現在の私たちの教育制度において実業教育とは何を指すか調べておくこと。
第12回イギリス経済団体の特殊性産業の組織化がどのように進められ,どのような効果があったのか解説する。
【準備学習】
経団連,商工会議所は何をする組織か調べておくこと。
第13回20世紀以後のイギリス経済動向1戦間期から第二次世界大戦後の産業動向と企業の戦略と組織の変化について解説する。
【事前準備】
一般的な企業合併の目的を調べておくこと。
第14回20世紀以降のイギリス経済動向2サッチャー政権下の改革について解説する。資料動画を観て、設問に解答すること。
【準備学習】
サッチャリズムとは何か調べておくこと。
第15回中間のまとめまとめ
第16回ガイダンス
前期の復習と後期講義のポイント
【準備学習】
講義5回目を踏まえ、イギリス産業の特徴を再確認しておくこと。
第17回大量生産システム再考1
アメリカでなぜ大量生産システムが開花したのか,アメリカ的特質を解説する。
【準備学習】
多品種少量生産と少品種多量生産の違いを調べておくこと。
第18回大量生産システム再考2
大量生産を可能とする基盤である工作機械,冶具,ゲージの重要性について解説する。
【準備学習】
現在の社会で手作業が不可欠な産業とは何か,考えておくこと。
第19回フォーディズムとアメリカ経済フォードシステムシステムは画期的であったのか,最近の研究成果をもとに解説する。
【準備学習】
フォードシステムとは何か調べておくこと。
第20回世界に伝播する大量生産システムヨーロッパ各国にて大量生産システムがどのように導入されたのか解説する。
【準備学習】
各国が大量生産体制を構築しようと試みた理由は何か考えておくこと。
第21回大量生産システムのその後
工場労働が当時の人々にどのように理解されていたのか解説する。また、現在の多様な生産方式を解説し,資料動画を観て,設問に解答する。
【準備学習】
現在の工場がどのような生産体制を採用しているか調べておくこと。
第22回大量消費と生活の変化大量生産に伴い大量消費社会が到来し,人々の生活はどのように変わったのか解説する。
【準備学習】
現在のわれわれの生活において大量消費はどのような問題を引き起こしているか,考えておくこと。
第23回後発国工業化の論理ガーシェンクロン理論・キャッチアップ型工業化について解説する。
【準備学習】
後発国が工業化をする場合,どのような条件が必要か考えておくこと。
第24回技術盛衰と特許制度イギリス・アメリカ・ドイツの経済覇権を技術と特許制度から考察する。
【準備学習】
特許とは何か,事前に調べておくこと。
第25回大英帝国とインド1イギリス本国とインドの経済関係について解説する。
【準備学習】
帝国主義時代の植民地化を図表で確認しておくこと。
第26回大英帝国とインド2インドの低開発化・鉄道敷設と英系企業の進出について解説する。
【準備学習】
図表・統計資料を確認しておくこと。
第27回大英帝国とインド3投資市場としてのインドの重要性とインド資本の勃興について解説する。資料動画を観て,設問に解答する。
【準備学習】
講義24,25回目を復習すること。
第28回理論のまとめ1帝国主義論,自由貿易帝国主義について解説する。
【準備学習】
事前に配布する資料プリントを読んでおくこと。
第29回理論のまとめ2 従属理論から世界システム論までの流れを解説する。
【準備学習】
事前に配布する資料プリントを読んでおくこと。
第30回まとめまとめ
授業形式 講義はサブノート・配布資料をもとに,板書,プレゼンテーション,映像資料の鑑賞(リアクションペーパーの提出)というサイクルで進める。通年で用いる図表や統計などの配布資料の一部は、学生がエコリンクからダウンロードし活用することを求める。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 20% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 リアクションペーパー(動画鑑賞時の設問への回答,感想)を出席点とします。
テキスト ①湯沢威編『イギリス経済史』有斐閣,2625円.
②馬場哲他『エレメンタル欧米経済史』晃洋書房,2800円.
参考文献 テーマに応じて紹介します。
①横井勝彦編『日英経済史』日本経済評論社,2940円.
オフィスアワー(授業相談) 水曜3限。初回講義で伝えるメールアドレスを利用して事前に日時を決めておくこと。日時の相談は講義終了後でも良い。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 講義内で紹介する参考文献を読むこと,キーワードについて事前に調べてあることを前提として講義を進めます。なお,講義の進め方,評価方法の詳細は初回講義でお話ししますので「必ず」参加してください。