講義名 農業経済論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金1
単位数 4

担当教員
氏名
吉田 俊幸

学習目標(到達目標) 食料・農業・農村問題について、市場経済的な側面と非市場経済的な側面が存在する実態を把握すると同時に、経済理論により理解し、説明できる。さらに、食料・農業・農村問題の解決には政策が不可欠であり、その理論と限界を理解し、説明できるようにする。
授業概要(教育目的) 食料・農業・農村問題は、21世紀において人類が直面する課題であり、市場メカニズムだけでは解決できない。食料は人類の生存に不可欠な財であり、土地利用型産業であり地域性と環境と結びついているからである。他の産業とは異なり、地域・環境面での制約がある。市場メカニズムの限界とそれを克服するための政策の必要性と理論、効果を明らかにする。さらに、農産物貿易においても、他の産業の貿易とは大きく異なり、グローバル化の限界についても説明する。また、環境・安全性についても農業分野は先進であり、他の産業分野に影響を与えることを理解できるようにする。
授業計画表
 
項目内容
第1回はじめに講義の概要と狙いをシラバスにもとづき説明する。
第2回経済発展と農業・農村(1)農業・農村が他産業・都市との違い及び経済発展にともなう農業部門の相対的縮小と農村人口の減少を解説する。
第一回に配布するプリントを読んでおくこと。
第3回経済発展と農業・農村(2)経済発展にともなう食料支出・消費の変化を解説する。食料消費の所得弾力性、エンゲル係数低下の法則と消費内容の変化を解説する。
第2回に配布するプリントを読んでおくこと。  
第4回農産物生産の不安定性と農産物の価格変動の特徴(1)農産物生産の不安定性と価格変動の激しさについて、価格弾力性の低さから説明する。不足時の価格暴騰、豊作時の豊作貧乏と工業製品との違いを理論的に解明する。
第3回に配布するプリントを読んでおくこと
第5回農産物生産の不安定性と農産物の価格変動の特徴(2)蜘蛛の巣定理により、農産物価格は市場均衡点に向かうのではなく、分散することを説明する。そのため、農産物価格・所得安定が必要なことを明らかにする。
第4回に配布するプリントを読んでおくこと

第6回農業生産拡大における増産の限界と環境問題農産物生産における収穫逓減の法則、技術的最大可能収量と経済的最適収量について解説する。
第5回に配布するプリントを読んでおくこと
第7回農業における経営組織(1)日本だけではなく先進国は家族経営が主体であること及びその理論について説明する。土地利用型農業における規模拡大が困難なことを解説する。
第6回に配布するプリントを読んでおくこと
第8回農業における経営組織(2)家族経営のもとで兼業農家が広範に存在する背景と近年増加している企業的経営について説明する。農地問題についても各国の実態から説明する
第7回に配布するプリントを読んでおくこと
第9回農地問題と地代について農地の土地純収益と地代、差額地代について解説する。農地価格の抑制のための政策についても説明する。
第8回に配布するプリントを読んでおくこと
第10回農産物と資材の流通と農協農産物と資材の流通において先進資本主義国では農協の地位が大きい。その背景と要因について述べる。
第9回に配布するプリントを読んでおくこと
第11回食料消費の変化と外部化経済発展にともない食料消費形態が変化し、外部化が進展していることとその要因、農産物流通の変化について述べる。
第10回に配布するプリントを読んでおくこと
第12回農業生産のアグリビジネス化資本主義の発展にともない農業生産は高度技術集約型産業に変化したこと、それにともない農業生産が商品経済にくみこまれていくことを解説する。同時に、農村社会に格差が生じることを説明する。
第11回に配布するプリントを読んでおくこと
第13回理解度の確認これまでの要点をまとめる。
これまでの配布資料と講義内容を確認し、質問事項を整理すること。
第14回小テスト前期の内容について、簡単なテストを行う。
第15回中間のまとめまとめ
第16回人口増と食料問題20世紀、21世紀における人口爆発と食料問題について説明する。
新聞等で食料問題について、調べておくこと。
第17回食料について需給と分配について世界の食料需給と分配問題、飢餓と飽食の併存について解説し、その背景について解説する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと。
第18回農産物貿易の特徴農産物貿易は工業製品とは異なり、そのため、需給に応じて、国境調整を行っていることを具体的に明らかにする。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと
第19回経済発展と農業政策(1)食料増産政策資本主義の初期には低価格で食料増産政策が課題となり、その達成が資本主義発展の基礎であることを明らかにする。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと


第20回経済発展と農業政策(2)農業政策-格差是正政策資本主義発展により農業と他産業との格差が生じ、格差是正が課題となり、格差是正政策が展開することを説明する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第21回格差是正政策と保護政策及び国境調整先進資本主義国での格差是正政策の内容及び国境調整策について説明する。同時にその問題点を解説する。現在、格差是正政策を実施している中国、タイについて説明する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第22回経済発展と農業政策(3)食料・農業・農村政策農業保護政策の是正におけるWTO体制の影響と意義について説明する。それに伴う、アメリカ、EU,日本の対応に説明する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第23回環境問題と農業の近代化農業の近代化にともなう農業・農村問題の発生と環境問題について説明する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第24回農業・農村のもつ多面的機能農業・農村のもつ多面的機能に理論と各国の政策ちついて解説する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第25回EUの農政改革EUにおける最近の農政改革について、その背景・理論について解説する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第26回アメリカの農政改革アメリカの最近の農政改革について、その背景・理論について解説する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第27回日本の食料・農業・農村の現状と課題(1)-食料と安全性食料自給率と安全性について解説し、その政策を説明する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと

第28回日本の食料・農業・農村の現状と課題(2)-農業・農村の現状

農業生産と農村の現状を解明し、その解決策について説明する。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと
第29回日本の食料・農業・農村の現状と課題(3)-今後の展望最近の日本の食料・農業・農村政策の推移と課題を明らかにする。
前回に配布したプリントを事前に読んでおくこと
第30回まとめ後期を中心に要点をまとめる。
これまでの配布資料と講義内容を確認し、質問事項を整理すること。後期を中心であるが、前期についても質問事項を整理すること。
授業形式 講義形式で行います。授業内容の理解度を確かめるペーパー求めることがある。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 30% 20% 0% 100%
評価の特記事項 小テストは前期授業時に行う試験をさします。
テキスト 毎回、レジメ、資料を配布する。
参考文献 莚開津典生・鈴木宣弘『農業経済学』岩波書店、『食料・農業・農村白書28年版』農林水産省、
オフィスアワー(授業相談) 金曜日2限終了後、事前にアポイントをとること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 日頃から新聞、雑誌等で食料・農業問題について、情報を得て、考えるようにする。