回 | 項目 | 内容 |
第1回 | ガイダンス | 1.通年講義の概要について説明する
2.前期計14回の授業と前期試験について詳細説明する
3.社会保障論と社会保障制度の歴史について概要説明する
4.社会保障制度の課題を実際の例示で解説する
【準備学習】
本日配付した印刷物「社会保障」(講師執筆)を熟読し ておくこと。
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第2回 | 社会保障制度のしくみ | 社会保障制度の必要性が認識され、国として本格的な 取組みを開始する契機となった「社会保障制度に関する 勧告」(1950)、更に「国民皆保険・皆年金」(1961)に 焦点をあて、戦後の混乱の余波が色濃く残る時代背景の 中でも着々と続行された社会保障制度の礎構築の歴史を たどる。憲法の条文中で見られる社会保障関連の表現に
ついても触れる。
【準備学習】 |
第3回 | 社会保険のしくみ | 1.社会保障制度の根幹を占める社会保険という仕組みにつ いて概観する。傷病を始めとする保険事故、被保険者と
保険料、保険者、保険給付、利用者負担などの構成要素 について説明する
2.社会保障制度体系の中での「保険」の位置づけについて
説明する
【準備学習】 |
第4回 | (1)医療保険
-基本的なしくみ- | 1.医療保険の基本的なしくみについて把握する。
2.難しい専門用語ではあるが、現物給付、償還払(療養費 払い)、医療保険者、診療報酬支払方式などに触れる
3.わが国の国民皆保険の構造、加入する医療保険の種類、 保険者、被保険者、保険料等のしくみを説明する
【準備学習】
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第5回 | (2)医療保険
-給付概要―
| 1.医療保険を通じて給付される法定給付の範囲、受診時の
患者一部負担、高額療養費制度のしくみについて説明
2.給付サービスの価格表である診療報のしくみ、傷病手当 金を始めとする金銭給付、保険診療と保険外診療を組合 わせる混合診療について問題点を含めて説明する
【準備学習】 |
第6回 | (3)医療保険
-高齢者医療制度-
-国民医療費-
-医療提供体制- | 1.高齢者医療を特別に設ける理由は何か、必要性と特徴を 把握する。旧老人保健制度から新高齢者医療制度への移 行についても学ぶ。
2.わが国の医療費の構成について国民医療費の分析結果を みる。病院・診療所・薬局など医療提供体制についても
現状と問題点について解説する
【準備と学習】
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第7回 | (4)介護保険
-基本的な仕組み― | 1.介護保険が創設された経緯、社会的背景について把握。
2.制度の枠組みを概観しつつ、要介護状態、保険者、被保険者、保険料、財政構造のしくみについて学ぶ。
【準備学習】 |
第8回 | (5)介護保険
-保険給付- | 1.要介護認定の手続きと給付の内容について、具体的な内 容や特徴を含め、また医療保険との比較検討も試みる。
2.制度運用の状況についても統計資料を用いて説明する
3.居宅介護支援、地域包括支援センターなど、最近の介護 保険の周辺事情についても一部詳しく説明する
【準備学習】 |
第9回 | (6)年金保険
-基本的なしくみー | 1.年金保険の存在意義と具体的なしくみについて把握す る。老後所得保障制度の根幹といわれるが「制度100年 の安心」は担保されていのか等について話題提供する
2.国民皆年金1(1961~)のしくみと過去の制度改正及び
複雑極まる現行制度の基本的枠組みについて説明する
【準備学習】 |
第10回 | (7)年金保険
-被保険者、保険料、保険者-
-老齢年金、給付水準-
| 1.年金保険制度体系を正確に把握したうえで、国民年金と 厚生年金の双方について、被保険者の種別とそれに応じ た保険料負担の実際(ルール)について学ぶ。
2.受給者数が最多で代表的な老齢年金について、国民年金 と厚生年金に分けて「受給資格」、「年金額の算定方 式」について概要を説明する。
【準備学習】
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第11回 | (8)労働者災害補償保険
| 1.人を雇って事業を行っている事業主の業務上災害に対す る無過失責任を基盤に置いた労災保険の特徴(他の社会 保険とは異なるルールを採用)を中心に説明。
2.具体的には適用範囲、保険料負担、給付内容と水準につ いて学ぶが、社会問題化している「過過労死」や「過労 自殺」などについても検討材料に加えて説明する
【準備学習】 |
第12回 | (9)雇用保険 | 1.雇用保険の基本的なしくみについて、被保険者、保険 料、受給要件、給付内容・水準などの実際を把握する
2.もともとは失業保険と称されていた当該保険。現に雇 用保険を利用できない人々を対象とした求職者支援制度
について、その役割機能を説明する
【準備学習】 |
第13回 | (10)近年における社会保険改革 | 1.「少子・高齢・多死社会」の進展、同時に繰り広げられ る経済構造の変革によって生み出される非正規雇用の拡 大と雇用の不安定化、更にはそれらを素地として浮き彫 りになる厳しい財政状況など、社会保険各制度はいずれ も大胆な改革要請に応える必要性に直面している。外国 における取組状況を含め、対応の実際を説明する
【準備学習】 |
第14回 | 理解度のまとめ | これまでの要点のまとめ |
第15回 | 中間のまとめ | まとめ |
第16回 | 前期講義の復習と評価 | 1.前期講義のポイントについて再確認する
2.前期試験実施結果について講評する
3.夏季休暇中に作成した「レポート」の提出を受付ける
4.通常国会における社会保障関連法案の審議について振り 返り、ポイントを説明
【準備学習】
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第17回 | 先進国と発展途上国における社会保障制度の課題と展望 | 1.社会保障制度を本格的に実施している国と地域を挙げて
それぞれが持つ特徴や財源構成、給付水準、利用者負 担、施設・人的配置の状況(提供体制)について説明
2.発展途上国における社会保障制度の実際と改革課題に
ついて実例を挙げて説明
【準備学習】
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第18回 | (1)外国における社会保障制度の実際と政策課題
-ドイツ①- | 1.わが国の医療保険制度の範とされたドイツ制度。改革に 次ぐ改革の実際(変容ぶり)を検証しつつ、説明
2.公的医療保険(介護保険)制度と民間医療保険制度の
併用で「国民皆保険」を達成している状況と課題につい て、「公的医療保険中央連合会」作成の資料をもとに
輪郭を説明
【準備学習】 |
第19回 | (2)外国における社会保障制度の実際と政策課題
-ドイツ②- | 1.公的介護保険の創設(1995)に至るまで20数年間の国民 的議論、雇用主サイドの制度導入反対論(当時)の理由 などに触れる
2.施行後3ヵ月は「(保険料)負担あって給付なし」、施設 入所給付は制度施行から1年半後とし、在宅介護給付を 優先させた経緯、ほとんど保険料収入だけで実施運営さ れる制度設計についても詳細に触れる
【準備学習】
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第20回 | (3)外国における社会保障制度の実際と政策課題
-アメリカー | 1.今回の大統領選でも争点となった「オバマケア」につい て「撤廃」を声高に叫んだトランプ氏。政権交代後はど のような対応で臨んでいるのか、説明を加える
2.公的制度であるメディケアとメディケイドの歴史を振り 返る中で、給付限度など現実的な課題についても説明
【準備学習】 |
第21回 | (4)外国における社会保障制度の実際と政策課題
-フランス- | 1.医療保険制度に焦点をあてる。わが国と同じ、社会保険 方式を採用している同国の保険運営の実態を配付資料を 通じて確認する。「患者一部負担」にも触れ、重点給付 (代替薬がない場合は負担免除)の実際と問題点、
2.医療提供体制の日仏比較を示しつつ、患者の受診行動に 伴う不便さなどについて特徴を押さえて説明する
【準備学習】
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第22回 | (5)外国における社会保障制度の実際と政策課題
-オランダ- | 1.実験国家などと称されることもあるオランダ。効率的を 飛び越した特異な政策手法も見て取れる同国の医療保険 制度の概略を説明する
2.介護分野の研究(国際比較研究含む)にも意欲的に取り 組むオランダの介護事情についても言及、解説する
【準備学習】
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第23回 | (6)外国における社会保障制度の実際と政策課題
-北欧諸国- | 1.北欧諸国の社会保障という言い回しは正確ではないとさ れる。各国により、政策手法が異なるところが少なくな いからだが、授業ではスウェーデンを取り上げ、同国の 医療保障制度の輪郭と医療提供体制の工夫の実際をみる
2.北欧4ヵ国の統計年報の実際に触れる。言葉の壁を排除 した見事な統計技術についても説明を加えたい
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第24回 | (7)外国における社会保養制度の実際と政策課題
-ロシアー | 1.ISSA(国際社会保障協会)が主催したロシア・モスク ワ会議 (2007)に遡り、明らかにされたロシアの保健 医療事情、医学部運営上の問題点、アルコール依存症と 平均寿命低迷という社会問題
2.社会問題と化している「入院ウェイティング・リスト」
と待ち時間の長大化について説明する |
第25回 | (1)国際機関による社会保障せいどへの取組み
OECD(経済協力開発機構) | 1.フランス.パリに本部を置く当該機構の発足時からの歴 史、加盟国の少なさ故に「クラブ的色彩」が濃いとい う特色にも触れ、得意とする保健医療政策に関する情報 発信(OECD-Health Data)について詳細を解説する
2. 過去に注目を集めた「経済危機後の保健医療制度の優 先課題」など、当該分野への取組みと成果を解説する
【準備学習】 |
第26回 | (2)国際機関による社会保障制度への取組み
ISSA(国際社会保障協会)
ILO(国際労働機関) | 1.当該協会の前身となった共済組合及び疾病基金国際会議 (1927)を経て、再建会議の決定のもと現在のISSAとな った(1947)小史について触れる。2015年現在の加盟国 157、340団体の活動実績について説明する
2.ベルサイユ条約に基づき創設された(1919)ILOの歴史 的発展と「ILOの社会保障」を近年の活動実績からその 存在意義の重要性についても説明する
【準備学習】
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第27回 | (3)国際機関による社会保障制度への取組み
EU(欧州連合) | 1.英国のEU離脱や経済の混迷が続く加盟国の取り扱いな どで揺れるEU(欧州連合;27ヵ国加盟)の社会保障制度 改革をめざす活動の実際について説明する
2.OECDと同様に「社会保障関連データ」のとりまとめに 成果を挙げている。統計技術の高度化は常に注目に値す る。実例を挙げて説明。発展の推移について概観する
【準備と学習】
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第28回 | (4)国際機関による社会保障制度への取組み
WHO(世界保健機関)
| 1.スイス・ジュネーヴに本部を置くWHOは、もともと国際 連合の専門機関として設置された(1948)。授業では、WHO憲章による健康とは、「完全な肉体的、精神的及び社会福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」とする定義について、その哲学を再確認する
2.「国際保健規則」(IHR)に基づく「国際的に脅威となる公衆衛生緊急事態」(WHOへの報告義務)について解説する
【準備学習】
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第29回 | 理解度の確認 | これまでの要点のまとめ |
第30回 | まとめ | まとめ |