講義名 中小企業論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月5
単位数 4

担当教員
氏名
和田 耕治

学習目標(到達目標)  20世紀において進展した資本の集中・集積に伴う企業の大規模化は、大量生産・大量消費型の社会をつくりあげ、我々の生活を飛躍的に豊かにしました。しかしながら、近年においては、大企業支配型の社会の問題性も顕在化するようになり、20世紀型生産体制の変革の必要性が唱えられています。
 変革に関するその回答のひとつは、中小企業型社会の構築があげらます。中小企業の柔軟性ある専門化による協業は、大量生産、大量消費型のフォーディズムにとって代わる可能性を秘めています。本講義では大企業体制がもたらした大量生産、大量消費型社会の問題点を問意識しつつ、歴史的、空間的な広がりのなかで中小企業の位置付けを考えます。
授業概要(教育目的) 本講義では、以下の項目に関する理解を深めることを教育目的とする。
1.中小企業の定義と地位
2.中小企業観の変遷
3.中小製造業の実態と問題
4.ベンチャービジネス
5.中小商業の実態と問題
6.まちづくり
7.中小企業政策の変遷と課題
8.中小企業と労働
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンスⅠ内容講義
プランと中小企業論を学ぶ意義の説明
Ⅱ準備学習
特にありません
第2回中小企業で働くということⅠ内容
中小企業で働く意義について、説明します
Ⅱ準備学習
働くことをイメージしてきてください
第3回日本における中小企業の定義と地位 Ⅰ内容
1.事業所数
2.従業員数
3.出荷額
Ⅱ準備学習
事業所統計、経済センサスを調べきてください
第4回中小企業の定義と地位(欧米)Ⅰ内容
1.EU
2.アメリカ
3.イギリス
4.ドイツ
Ⅱ準備学習
欧米の資本主義発展の歴史を再確認してきてください
第5回中小企業の定義(アジア)Ⅰ内容
1.中国
2.韓国
3.台湾
Ⅱ準備学習
東アジア諸国の資本主義発展の歴史を再確認してください
第6回下請分業構造の類型Ⅰ内容
1.問屋制下請
2.工場制下請
3.構内下請
Ⅱ準備学習
経営形態の発展段階を再確認してください
第7回業種別下請分業構造  Ⅰ内容
1.自動車産業
2.電機産業
Ⅱ準備学習
トヨタ生産方式を調べてきてください。
第8回産業集積の理論Ⅰ内容
1.旧集積論
2.新集積論
Ⅱ準備学習
経済地理学の知識を再確認してください
第9回産業集積の類型 Ⅰ内容
1.大都市加工型集積
2.企業城下町型集積
3.産地型集積
Ⅱ準備学習
大田区、豊田市、瀬戸市の産業を調べてきてください
第10回中小製造業の海外進出(その1) Ⅰ内容
1.わが国製造業の海外投資
2.産業空洞化の進展 
Ⅱ準備学習
産業空洞化を調べてきてください
第11回中小製造業の海外進出(その2)Ⅰ内容
海外現地法人の可能性と東アジア製造業の位置づけの変化
Ⅱ準備学習
開発経済学、国際経済学の知識を再確認してください
第12回ベンチャービジネスの定義Ⅰ内容
1.清成論
2.松田論
3.金井論
Ⅱ準備学習
ベンチャービジネスをイメージしてきてください
第13回ベンチャーブームの展開と支援政策 Ⅰ内容
1.第1次ベンチャーブーム
2.第2次ベンチャーブーム
3.第3次ベンチャーブーム
Ⅱ準備学習
1970年代以降の日本経済の発展を再確認してきてください
第14回都市型産業論をめぐる議論の展開Ⅰ内容
1.ニュービジネス
2.アーバンビジネス
3.大都市零細企業論
Ⅱ準備学習
大都市はなぜ活力があるかを考えてきてください
第15回ベンチャーキャピタルとインキュベーションⅠ内容
1.ベンチャーキャピタル
2.インキュベーション
Ⅱ準備学習
創業支援をイメージしてきてください
第16回商業集積 Ⅰ内容
1.商業集積のタイプ(商圏)
2.商業集積のタイプ(都市類型)
3.商業集積のタイプ(形成理由)
Ⅱ準備学習
身近な商業集積をイメージしてきてください  
第17回中小商業の現状 Ⅰ内容
1.減少する小売店
2.中小小売業を取り巻く環境の変化
3.現在、中小商業で起きていること
Ⅱ準備学習
商業統計、経済センサスを調べてきてください 
第18回スーパーとコンビニ  Ⅰ内容
1.高度成長期のスーパー
2.安定成長期のコンビニエンスストア
Ⅱ準備学習
ダイエーとセブンイレブンジャパンについて調べてきてください
第19回大規模小売店舗法の規制緩和と廃止 Ⅰ内容
1.大規模小売店舗法(昭和48年施行)
2.大規模小売店舗法の規制緩和
3.小売商業振興政策
Ⅱ準備学習
独占禁止法、経済法の知識を再確認してきてください 
第20回商店街の活性化と学生Ⅰ内容
1.広島本通り商店街
2.高知帯屋町商店街
Ⅱ準備学習
事例研究ですので、特にありません
第21回商店街活性化と地域資源Ⅰ内容
1.帯広市
2.函館市
3.豊後高田市
Ⅱ準備学習
事例研究ですので、特にありません
第22回中小企業政策の展開(その1)Ⅰ内容
1.戦後復興期 1940年代後半-50年代前半、経済民主型中小企業政策
2.高度成長期 1950年代後半?60年代前半、産業構造政策型中小企業政策
Ⅱ準備学習
戦後経済史の知識を再確認してきてください  
第23回中小企業政策の展開(その2)   Ⅰ内容
3.高度成長期末から安定成長期 1970-80年代、多様化する中小企業政策
4.バブル経済崩壊以降 1990年代以降
Ⅱ準備学習
戦後経済史の知識を再確認してきてください  
第24回1999年の中小企業基本法の改正 Ⅰ内容
1.中小企業基本法の改正
2.中小企業新事業創出促進法の制定
Ⅱ準備学習
六法で法律の内容を調べてきてください
第25回中小企業基本法改正以降の中小企業政策(その1)Ⅰ内容
1.新連携
2.地域資源活用促進プログラム
Ⅱ準備学習
24回の授業を理解すること  
第26回中小企業基本法改正以降の中小企業政策(その2)Ⅰ内容
3.農商工連携促進法の制定
4.中小企業憲章の制定
Ⅱ準備学習
24回の授業を理解すること
第27回中小企業の取引公正化Ⅰ内容
1.下請代金支払遅延等防止法
2.下請企業振興法
Ⅱ準備学習
六法で法律の内容を調べてきてください
第28回中小企業と労働Ⅰ内容
1.中小企業企業における労働問題
2.中小企業における労働政策
Ⅱ準備学習
中小企業の労働問題をイメージしてきてください
第29回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式  講義はスライドを用いた形式で実施します。また、講義で使用したスライドは、エコリンクにアップしますので、受講者は必ずダウンロード、印刷するようにして下さい。講義では準備学習よりも、復習を重要視します。講義で得られた知識が実際の社会でどのように関連性があるかを常に創造力を働かせてイメージする訓練を心掛けてください。
 また、本講義では受講者の理解を促進するために視聴覚教材を使用します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 10% 0% 10% 100%
評価の特記事項 定期試験(B試験)、小テスト、講義態度により、評価します。
テキスト 講義中に使用するスライドをテキストにしますので、必ず、エコリンクからダウンロードするようにして下さい。
参考文献 授業の都度、参考となる文献を紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 兼担なのでオフィスアワーはありません。
相談のある人は、授業終了後に対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  経済学部の学生なので、経済学の理論はよく勉強しておいてください。中小企業論は多様な経済学の理論の知識があれば、より深い理解ができます。受講者諸君は、3年生以上なので、とくに前提科目に対する要求はしませんが、以下の科目が理解度を促進する関連科目となります。
 経済学(マクロ、ミクロ)、経済政策論、経営学、産業組織論、経済史、日本経済論など