回 | 項目 | 内容 |
第1回 | 経営学の意義と目的 | ここではまず、(1)「経営学」とはどのような学問であるか、(2)いかなる経緯で登場してきたのか、(3)その目的、(4)その意義・重要性、そして、(5)「経済学」では、何が不足しているのか等について、経済社会の構造変化・変質の流れとの関連において理解させる。
[準備学習]
「経営学」を学ぶにあたっての、「自己の関心と目的」を、箇条書きで800字程度に整理してくること。(パソコンを使ってword 文書にまとめ、記憶媒体に保存するとともに、プリントアウトしたものを2部持参し、1部を学籍番号・氏名を記載して最初の講義時間に提出すること)。
[復 習]
講義時に提出したレポートに、今回の講義において学んだこと、辞書やインターネットを利用して調べたこと、新たに気づいたことなどを加えて2000字程度に整理して、記憶媒体に保存するとともに、2部をプリントアウトし、1部を第2回の講義時に提出すること。
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第2回 | 経営学への誤解、現代における課題、学習と研究の方法 | 「学問」は、断片的知識の非論理的な集積ではありえない。ここでは、(1)「経営学」への日常的誤解、(2)競争激化の現代において、「経営学」に課せられる解決課題及び期待、(3)「経営学」の学習と研究の方法、について理解させる。
[準備学習]
第1回の講義後に示した復習の結果を、word 文書(2000字レポート)にまとめて提出できるようにしてくること。
[復 習]
第1回の講義に関連して講義時に提出したレポートに、今回の講義において学んだこと、辞書やインターネットを利用して調べたこと、新たに気づいたことなどを加えて3000字程度に整理し、記憶媒体に保存するとともに、2部をプリントアウトし、1部を第3回の講義時に提出すること。
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第3回 | 伝統的経営学における「経営」の認識と限界 | ここでは、[1]経営学の出発点となったF.W.テーラーの『科学的管理法』、[2]H. ファヨールの『管理原則論』、[3]メイヨ-とレスリスバーガーらによる『人間関係論』について概略を講義するとともに、それぞれの意義と限界を理解させる。
[復 習]
上記の経営学の三つの経営学説について、それぞれの要点を整理するとともに、今回の講義において学んだこと、辞書やインターネットを利用して調べたことなどを2400字程度に整理し、記憶媒体に保存するとともに、2部をプリントアウトし、1部を第4回の講義時に提出すること。
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第4回 | 現代経営学における「経営」の認識 | ここでは、C.I.バーナードのThe Functions of the Executiveによる『近代的組織論』について、概要を講義し、理解を求めるとともに、現今の経済社会において求められている「経営学」の方向について理解させる。
[復 習]
上記の「バーナード経営学」について、概要を1500字以上に整理するとともに、そこにおける「経営」の意義とび限界について学んだことを整理してくること(要提出)。
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第5回 | 本講での「経営学」の全体像 | ここでは形式的にはドラッカーのThe Practice of Managementに基づいて「経営学(マネジメント)」の全体像について理解させる。加えて、「人」である「経営者」が知識と判断と行動をもって実践しているマネジメントを脅かすものとして、「オートメーション」について正しい理解を促す。
[復 習]
(1)上記の「ドラッカー経営学」について、概要を1500字以上に整理しておくこと。
(2)身近に見られる「オートメーション」の例を観察して、「経営(management)」 の努力とはどのような関係になっているのかについて考察し、2000字程度に整理して、次回の講義時にレポートを提出すること。
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第6回 | 「ビジネス」とは何か。「企業」とは何か。 | 「ドラッカー経営学」は、基本的には「ビジネス能力論」、「経営者能力論」「働く人と仕事の管理能力論」の三部に分けて知識が体系化されている。
ここでは「経営(MANAGEMENT))」の対象とされる「ビジネス」と「企業」について正しい理解を求める。特に「ビジネス」は“金儲け”論(利潤の極大化論)、あるいは積極果敢で、危険な“投機”論と混同されやすい。「『所有』と『経営』との必然的分離」、「生活を目的とした『生業(なりわい)』と「何らかのミッション(社会的使命)をもって「価値(value)」を創出し続けている『企業』との峻別」を通して、「経営(MANAGEMENT)」の意義の現代的理解を求める。
[復 習]
今回の講義において学んだことを基本として、「現代におけるビジネス」について、幾つかの性格に分けて体系的に把握してみるとともに、1000字程度にまとめてレポートすること(要提出)。
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第7回 | 最近における日本と世界のビジネス | ここでは「経営学」への関心を高めることを目的に、一旦、「学問の世界」から「実践の世界」に目を転じて、常に、より大きな「価値の創造」を目指している「ビジネスの深さ」と「経営のダイナミズム」について、正しい理解を求める。またこれとは反対に、「企業不祥事」と呼ばれる事例についても基本的な問題点を理解させる。
[復 習]
現代において、あなたが魅力的と考えるビジネスを、テレビ報道番組などから拾い上げて、どのような意義とどのような将来継続性がありうるかについて考察してみること(要提出)。
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第8回 | 経営学を学ぶための基本的な態度・姿勢・視点の確認 | ここでは「経営学」について、これまでに学んできたことの整理と確認を行う。
[準備学習]
簡単な理解度チェックを予定しているので、準備をしてくること。そのガイダンスは前回までの講義の中でを行う。
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第9回 | ビジネスの本質とそのマネジメント (1)マーケティング | ここではビジネスの源泉として、顧客と市場の発見、開拓、創造などの活動を総称する「マーケティング(marketing)」について、グローバルな観点から好事例に基づいて全体の理解を深めることを求めさせる。
[準備学習]
最近の経済ニュースやビジネス系テレビ番組の中から、企業が「大きな市場、多数の顧客」の創造に取り組んでいるケースを取り上げて考察し、2000字程度にまとめてレポートすること(要提出)。
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第10回 | ビジネスの本質とそのマネジメント (2)イノベーション | ここではビジネスの源泉として、「イノベーション(innovation・革新、創新)」の活動に着目する。製品、技術、サービス、配送サービス、提供方法などの革新事例に基づいて、全体の理解を深めることを求める。加えて近年におけるオープン・イノベーションの動向についても考察と理解を求めさせる。
[準備学習]
最近の経済ニュースやテレビ番組の中から、企業が「社会に大きな変革をもたらしている事例」を3点を拾い出して、2000字程度にまとめてレポートすること(要提出)。
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第11回 | ビジネスの本質とそのマネジメント (3)生産性の改善・向上 | ここではビジネスの第三の源泉として、「生産性(productivity)の改善・向上」の取り組みに焦点を当てる。「生産性」そのものの概念について理解を深めるととに、IT(情報通信技術)、ICT(Information and Communication Technology、AI(人口知能)、ビジネス・システムなどについて、好事例に基づいて全体の理解を深めることを求める。加えてソーシャル・イノベーション(social innovation)の動向についても考察と理解を求める。
[準備学習]
最近の経済ニュースやテレビ番組の中から、企業が「生産性の改善・向上」に取り組んでいる例(3点以上)を取り上げて、それぞれについてコメントしてみよ。
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第12回 | ビジネスの本質とそのマネジメント (4)その他の手法 | ここでは、これまでにビジネスが追い求める課題として考察した、①マーケティング、②イノベーション、③生産性の改善・向上、に加えて、④物的資源と財的資源(資金)、⑤利益、⑥マネジメントの能力、⑦人的資源、⑧社会的資源の、より有効な活用について理解させる。特に近年における企業の資金調達の方法として、『合併(Mergers)・買収(Acquisitions』や、『クラウドファンディングCrowdfunding)』の新しい動向などを含めてその方法と特徴を理解させる |
第13回 | ビジネス本質とそのマネジメント(5)ビジネスの諸相 | ここでは業種を大きく分けて、商業、製造業、及びサービス業について理解を深める。販売(大売り・卸売りと小売り・個売り)、物通・サプライチェーン、生産事業と生産方式の原理、ホスピタリティ事業とサービスの本質などについて、「ミッション」と「バリュー」と「ビジョン」の観点からの理解を求め、関心を広げさせる。
[準備学習]
トヨタ自動車株式会社のHPに『トヨタ自動車75年史』がある。文書で読んで、ここから学ぶべきことを10点以上レポートすること。
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第14回 | ビジネスと経営者 | これまでに学んだ「ビジネスの本質とそのマネジメント」について、その総括的な理解を求めるとともに、そのマネジメントの責任者たる「経営者」を「経営学」はどのように認識しているかについて確認する。 |
第15回 | 経営学の基礎に関する確認 | これまでに学んだことについて、「経営学」の基礎的の理解がどのように進んだかを確認する。
[準備学習]
これまでの講義におけるノートや配布資料、さらにそれぞれが提出したレポートについて整理を済ませておくこと。
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第16回 | マネジャーを対象としたマネジメント (1)経営者の概念 | ここでは「所有」から分離された「経営」とその責任者である「経営者」について、その本質的理解を促す。特に、[1]“有能で責任感のある”経営者像、[2]“制度”ないしは”器官ないしは機関”としての経営者、[3]組織内の“層あるいはチーム”としての経営者(個人経営者から組織的経営陣へ)、[4]組織の内外における“利害調整者”としての経営者、などについて理解を深めさせる。
[準備学習]
「経営者とは何か。経営者が果たすべき機能と責任とは何か」について考えさせられる事例を、日々のニュースの中から3点、拾い上げて3000字程度にまとめてレポートすること(要提出)。
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第17回 | マネジャーを対象としたマネジメント (2)目標設定と自己コントロール | 「マネジメント」は、「上から決められたノルマ」や「報告と手続きの制度」による「支配」「統制」「管理」の方法とは異質のものである。むしろ、どこからも強制されなくても動く、いわば自律性(autonomy)こそがマネジメントの最大の特質である。ここではP.F.ドラッカーのいう「目標設定とセルフコントロール」の概念について理解を求める。 |
第18回 | マネジャーを対象としたマネジメント (3)組織文化 | マネジメントは単に部下に働きやすい環境の職場を提供することだけでなく、マネジャーが自らの機能を発揮しやすい組織を整えていくことが課題となる。その基礎となるのが「組織文化(組織の精神)」である。組織に、内外に向かって表明する「経営理念」も大きな役割を果たす。従業員の賃金・給与の支給制度だけでなく、経営者を対象とした「報奨と報酬」の制度、昇進の制度、そして上司のリーダーシップなどが、その組織の風土を決定づけるものである。ここではこの「組織文化」のマネジメントについて理解させる。
[準備学習]
好感をもっている企業数社について、どのような「経営理念」を掲げているかを調べて、3000字程度にまとめてみること。(要提出)。
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第19回 | マネジャーを対象としたマネジメント (4)ガバナンス | ここでは、「経営者」は、一つの組織の経営に責任を有する存在であるとはいえ、“社会の一機関”としての役割を果たすことが求められていることから、いわば“強権による個人的支配者”として振舞うことは、一般には許されていない。経営者の行動には、常にガバナンスがかかっている。憲法・民法・労働法をはじめとする多くの法規制とコンプライアンス(compliance)、コーポレート・ガバナンスの確保、国際的観点からのグローバル・コンパクト(The United Nations Global Compact)など、種々の制約がある。これらについて理解を深める。 |
第20回 | マネジメントのための組織構造 (1)組織の組み立て | 経営のための組織は様々に組み立てられるが、ここでは、(1)個人組織と会社組織(特に株式会社制度、LLC(Limited Liability Company、有限責任会社)、その他)、(2)組織化の原理(分業と協業の体制)、(3) 連邦型組織と機能別組織、(4)集権的組織と分権的組織、などについて、どのようなメリット、デメリットを伴うのかについて理解させる |
第21回 | マネジメントのための組織構造 (2)大企業、小企業、成長企業 | ここでは、事業の効率的な展開に当たってどのような組織形態を選択すべきかの課題について考える。大規模化を求める大企業か、限定された顧客や市場の要求に応えるための小企業か、成長分野を開拓する成長企業かの別、さらには、組織のアライアンス(alliance)、組織間関係(Inter organizational Relations)の意義と動向についても理解を深める。 |
第22回 | 事例研究 | ここではすぐれた企業を事例にして、「経営(management)」の総合的分析を試みる。 |
第23回 | WORKER とその仕事のマネジメント (1) 人の雇用 | ここでは「人を雇う」ことの本来的意味、特に「雇用の維持」が持つマネジメント上の意義について理解する。さらに、近年における職場へのロボット、人工知能の導入と影響、について理解を深める。 |
第24回 | WORKER とその仕事のマネジメント (2) 人的資源管理(HRM) | ここでは、(1)伝統的な「人事・労務管理」から「人的資源管理(Human Resource Management)」への移行の本質的意味、(2)「命令・服従」による「掌握と支配」の論理からの脱却、(3)従業員のやる気に “火を点ける(imspiration)”ことについて理解を深める。
[準備学習]
わが国で“経営の神様”と呼ばれている松下幸之助、そして稲盛和夫について、そのマネジメントの基本的姿勢などを4000字程度に整理してみよ(要提出)。
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第25回 | WORKER とその仕事のマネジメント(3)「最高の仕事」へのモティベーション | 人が「輝く」ための職場の環境条件は何か。(1)「最低の仕事」に向かわせる要因と、「最高の仕事」に向かわせる環境要因、(2)「最高の仕事」へのモティベーションの二つに分けて考察する。加えて、モティベーションの基本について、これまでに明らかにされてきた理論と学説を理解させる。
[準備学習]
「働く意欲」がかき立てられる要因にはどのようなものがあるか、また反対に「働く意欲が奪われる要因にはどのようなものがあるか、自己の体験をもとに、深く考察してみること。
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第26回 | WORKER とその仕事のマネジメント (4)経済的次元 | 「人はなぜ働くのか」。グーグルが定めた「ワーク・ルールズ」について、以下のように紹介されている。「グーグルのカラフルなオフィスは非常に有名で、グーグルの福利厚生、人事制度には数々の伝説のようなものがある。昼食も夕食も全て無料、社内でクリーニングが出せる、移動美容室が来る、など。本書で明らかにされているが、グーグル社員が亡くなった場合に遺族は社員の死後10年間、給与の50%が支給される、といった制度まである。」 労働の条件や環境、中でも賃金・給与などの経済的条件は、どのように重要視されるべきだろうか。話題と資料を提供しながら、「人はなぜ働くのか」について理解を深める。 |
第27回 | 世界の経営者は今、何を追求しているか | ここではまた、「学問」の世界から「実践」の世界に目を移し、世界の経営者は、今、何を追求しているかについて、至近の事例に基づいて考察し、「経営」と「経営学」への関心を高める。
[準備学習]
配布資料に基づいて、これからの「経営」と「経営者」の課題について、学びとるべきだと考えることを整理してみること。(5000字程度)
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第28回 | 本講義を通じての「経営学」の要点の整理と確認 | これまでに学んだことについて、「経営学」の基礎の習得がどのように進んだかを確認する。
[準備学習]
これまでの授業におけるノートや配布資料について整理を済ませておくこと。
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第29回 | 新時代に要求される「経営」と「経営者」のありかた | これからの「経営」と「経営者」の課題について、以下の3点から考えていただく。
(1)仕事、意思決定
(2)明日の経営者の育成
(3)責任の自覚
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第30回 | 理解度の総合的把握 | これまでに学んだことについて、正しく理解されたかどうか総合的な確認を行う。 |