講義名 経営史 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月2
単位数 4

担当教員
氏名
松本 純

学習目標(到達目標) 本講義では,産業革命の母国イギリスの経営史を中心に取り上げ,さらに日本とアメリカの経営史を俯瞰する。また,各国企業もしくは企業家による様々な活動が,どのような経緯を辿って今日のような形になるに至ったのか分析する。企業間の国際比較,さらには企業・企業家を取り巻く社会・文化なども視野に置く。
授業概要(教育目的) 欧米の企業経営史と日本が歩んできた歴史を絶えず比較しながら,講義を聴いてもらいたい。日本経営史に立ち返って考えてみた場合,明治維新期の産業革命には政府・官僚・外国人教師など,企業もしくは企業家の範囲を越えた利害,さらに国境をも越えた利害が大きな役割を果たした。本講義を通じて,日本の経営環境,イギリス・アメリカと日本との相違,加えて日本が国際関係の中で体得した国際経営のあり方などを学んでほしい。
授業計画表
 
項目内容
第1回講義概要
授業の受け方と成績評価の仕方を理解する。
【準備学習】
シラバスを読んでおくこと。
第2回イギリス経営史の対象・視点日本企業の創設背景と比較しながら,イギリス経営史の対象・視点を解説する。
【準備学習】
配布資料に該当する時代の高校日本史および世界史を復習しておくこと。
第3回イギリス産業革命(1)定義イギリス産業革命とは何か,要点を理解する。
【準備学習】
「革命」「近代化」という言葉について,あらかじめ理解しておくこと。
第4回イギリス産業革命(2)戦略商品産業革命がイギリスに到来した根拠について,戦略商品という観点から解説する。
【準備学習】
安部悦生『経営史』日経文庫の序章および1章を読んでおくこと。
第5回イギリス産業革命(3)根拠産業革命がイギリスに到来した根拠について,貿易,市場,消費などの側面から解説する。
【準備学習】
角山栄『茶の世界史』中公新書,本田創造『アメリカ黒人の歴史』岩波新書などを読んでおくことがのぞましい。
第6回イギリス産業革命(4)発明と革新性イギリス産業革命期における各産業の発明をふりかえって,いかなる点に革新性があったのか理解する。
【準備学習】
米倉誠一郎『経営革命の構造』岩波新書の,イギリス企業について書かれた部分を読んでおくこと。
第7回イギリス産業革命(5)綿業綿業の技術革新について解説する。
【準備学習】
配布資料に書かれた各発明品について,その概要を調べておくこと。
第8回イギリス産業革命(6)蒸気機関
ワットによる蒸気機関の改良および,共同経営者ボウルトンについて解説する。
【準備学習】
配布資料に書かれた各発明品について,その概要を調べておくこと。
第9回イギリス産業革命(7)製鉄業
製鉄法,およびその改良について解説する。
【準備学習】
配布資料に書かれた各発明品について,その概要を調べておくこと。
第10回イギリス産業革命(8)鉄道業その1
トレヴィシックについて解説する。
【準備学習】
配布資料に書かれた各発明品について,その概要を調べておくこと。
第11回イギリス産業革命(9)鉄道業その2スティーブンソン親子について解説する。
【準備学習】
配布資料に書かれた各発明品について,その概要を調べておくこと。
第12回イギリス産業革命(10)初期の分散的小工場戦略
イギリス産業革命期の企業について,具体的な企業形態や企業戦略について説明する。
【準備学習】
第7回の講義内容について,復習しておくこと。
第13回イギリス産業革命(11)後期の大量生産戦略イギリス産業革命期の企業について,具体的な企業形態や企業戦略について説明する。
【準備学習】
第12回の講義内容について,復習しておくこと。
第14回イギリス産業革命にまつわる人々(1)オーウェン
オーウェンについて,その業績を解説し,評価を行う。
【準備学習】
オーウェンがどのような評価をされているか,あらかじめ調べておくこと。
第15回イギリス産業革命にまつわる人々(2)オードリーオードリーについて,その業績を解説し,評価を行う。
【準備学習】
オードリーがどのような評価をされているか,あらかじめ調べておくこと。
第16回イギリス産業革命(12)取引所経済産業革命期の取引所経済について,解説する。
【準備学習】
中川敬一郎『イギリス経営史』東京大学出版会を読んでおくことがのぞましい。
第17回イングランド銀行と割引商社
シティ・オブ・ロンドン,およびイングランド銀行と,産業革命との関わりについて解説する。
【準備学習】
飯田隆『図説 西洋経済史』日本経済評論社を読んでおくことがのぞましい。
第18回南海泡沫事件とロイズ・オブ・ロンドン南海泡沫事件の概要を説明する。さらに,コーヒーハウスを通じた株取引,コーヒーハウスから生まれた保険組合ロイズについて解説する。
【準備学習】
小林章夫『コーヒー・ハウス』講談社学術文庫を読んでおくことがのぞましい。
第19回ヴィクトリア時代のロンドン(1)大衆消費社会の幕開け
百貨店の誕生や地下鉄の開業に沸いた19世紀末~20世紀初頭のロンドンについて,解説する。
【準備学習】
ハロッズについて,あらかじめ調べておくこと。
第20回ヴィクトリア時代のロンドン(2)ロンドンの社会問題と夏目漱石ヴィクトリア時代の社会問題について取り上げ,同時期のロンドンに留学していた夏目漱石の足跡にもふれる。
【準備学習】
授業内でヴィクトリア時代の社会問題について取り上げた映像資料を紹介するので,あらかじめ見ておくこと。
第21回イギリス経済の衰退(1)イギリス型経済システム
産業革命後の繁栄期から一転,イギリス製造業は19世紀末より慢性的衰退期に突入する。なぜ衰退に至ったのか,イギリス製造業と金融業が抱える構造的問題を根拠に解説する。
【準備学習】
横井勝彦『日英経済史』日本経済評論社の第5章を読んでおくこと。
第22回イギリス経済の衰退(2)反産業主義文化イギリス製造業の衰退を,教育制度が媒介した反産業主義文化を根拠に解説する。
【準備学習】
横井勝彦『日英経済史』日本経済評論社の第1章を読んでおくこと。
第23回イギリス実業教育振興運動(1)揺籃期
イギリス教育制度に内在する問題に焦点をあて,反産業主義文化に反する概念としてのイギリス実業教育振興運動について,解説する。
【準備学習】
パブリック・スクール、オックスブリッジが誕生した流れについて,あらかじめ理解しておくこと。
第24回イギリス実業教育振興運動(2)「下からの」実業教育振興
イギリス実業教育振興運動を「下からの」振興と位置づけ,いかなる発展を辿ったのか解説する。
【準備学習】
第2回および第3回の講義内容について,復習しておくこと。
第25回日本の実業教育振興運動:「上からの」実業教育振興イギリス実業教育振興と日本の実業教育振興を比較しながら各国の特徴を把握し,それぞれの特殊性について理解する。
【準備学習】
横井勝彦『日英経済史』日本経済評論社の第2章を読んでおくこと。
第26回アメリカ経営史の対象・視点経営史学の母国がなぜアメリカだったのか,なぜアメリカでビジネススクールが設立されたのかについて考察しながら,アメリカ経営史の対象・視点を解説する。
【準備学習】
配布資料に該当する時代の高校日本史および世界史を復習しておくこと。
第27回イギリス人の挫折とアメリカン・システムロンドン万国博覧会(1851年)でイギリス人を驚愕させたアメリカン・システムと呼ばれる生産方法と,アメリカ機械産業の発展について解説する。
【準備学習】
ロンドン万国博覧会について,あらかじめ理解しておくこと。
第28回アメリカにおける工業化の進展(1)フォードアメリカの工業化について,自動車産業を事例として解説する。ここではフォードを取り上げる。
【準備学習】
鈴木直次『モータリゼーションの世紀』岩波現代全書を読んでおくことがのぞましい。
第29回アメリカにおける工業化の進展(2)ゼネラル・モーターズアメリカの工業化について,自動車産業を事例として解説する。ここではゼネラル・モーターズを取り上げる。
【準備学習】
鈴木直次『モータリゼーションの世紀』岩波現代全書を読んでおくことがのぞましい。
第30回全体の総括講義全体をふまえて受講生に何を理解してもらいたかったのか,最後に総括する。
授業形式 毎回,エコリンクから配布資料をダウンロードしていただき、その資料に基づいて授業を進めます。必要に応じて,PowerPointのスライドやテーマに関連した映像資料を使用します。各授業の前後には,必ず参考文献を紹介します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 20% 0% 10% 0% 100%
評価の特記事項 本講義では定期試験の結果を重視し、レポートはこれを補佐する目的で実施します。
出席のチェックは必要に応じて実施します。
テキスト 配布資料をテキストとします。
参考文献 横井勝彦編『日英経済史』日本経済評論社,2940円.
安部悦生『経営史』日経文庫,903円.
米倉誠一郎『経営革命の構造』岩波新書,890円.など。
オフィスアワー(授業相談) 月曜2時限および水曜4時限授業終了後,声をかけてください。学生の都合を聞いた上で相談をお受けいたします。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 私語は厳禁です。また,部活動や課外活動等による欠席は通常の欠席とみなし,レポート等救済措置は一切講じません。