講義名 簿記Ⅱ ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金2
単位数 4

担当教員
氏名
挽 直治

学習目標(到達目標)  本講義では,株式会社会計に関する個々の会計処理方法と計算過程を修得するとともに,なぜ,そのような会計処理が行われるのか,それは国際的にも要請されているのか,その背景と根拠について修得することを目標とする。また,貸借対照表と損益計算書を正確に解読することができることも学習の到達目標とする。
 
授業概要(教育目的)  本講義では,簿記Ⅰの学習内容を踏まえ,発展・個別論点について網羅的に検討する。とくに株式会社会計については,企業会計基準委員会(ASBJ)が発表した各会計基準,内閣府令,財務諸表等規則ならびに法務省令,会社計算規則の内容に関する知識を一層深めながら,簿記会計の応用力の増進を図ることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回講義ガイダンスと簿記Ⅰの範囲に関しての予備テストを行う。小テストの日程,期末試験についてのガイダンスを行う。なお,簿記一巡の手続を正確に理解しているかを問う予備テストを行うので,予め簿記Ⅰの内容について復習しておくこと。電卓を忘れずに持参すること。
第2回予備テストを返却する。予備テストの問題を再検討するとともに,報告式の損益計算書を作成する。試算表,決算整理,貸借対照表,損益計算書の一覧表である8桁精算表の作成についての復習を行う。損益計算書(報告式)の基本フォームを修得する。
【準備学習】第1回目の講義において配布する課題を解答しておくこと。
第3回現金・預金取引の基礎。現金に含まれるものと含まれないものとを整理する。現金の範囲,銀行勘定調整表の作成,当座借越の会計処理。当座預金勘定残高と銀行の帳簿残高がなぜ一致しない場合があるかを理解する。
第4回有価証券取引に関する基本事項を修得する。なぜ,社債券の取得に際し,端数利息が発生するのかを理解する。有価証券の範囲,有価証券(社債券)の取得と売却の会計処理。
【準備学習】簿記Ⅰの範囲内に関する有価証券取引について復習しておくこと。
第5回有価証券の評価基準とは何か。切放し法と洗替え法の相違点を理解する。保有目的ごとの有価証券の期末評価基準についての理解を深める。
第6回債権・債務取引について,相互の取引関係を正確に理解しているかを問う。債務保証と未決算勘定の会計処理。保険会社から保険料を受け取るまで,どのような会計処理を行うのかを理解する。
第7回手形取引(約束手形,為替手形)の基本問題を復習する。手形の裏書譲渡,自己指図為替手形と自己宛為替手形の意義と記帳。
【準備学習】約束手形,為替手形に関する取引について,それぞれの振出人,名宛人の関係を復習しておくこと。
第8回手形の譲渡・割引を行った場合,手形の遡求義務を負うことがありうる。その際どのような記帳を行うかを修得する。また,所有している手形が不渡りになった場合の一連の取引を整理する。不渡手形の会計処理と偶発債務の記帳法を修得する。
第9回棚卸資産の評価基準と評価方法について,「棚卸資産の評価に関する会計基準」にもとづいて修得する。棚卸資産の評価基準に関する国際的動向,棚卸資産の評価方法と売上原価の関係を検討する。
【準備学習】棚卸資産の評価方法は簿記Ⅰの範囲であることから,復習をしておくこと。
第10回商品の特殊売買取引(1)商品の売買取引には複数の販売形態が存在する。会計処理はその形態に応じて行われることを理解する。実現概念および販売形態別の収益の認識基準に関して検討する。
【準備学習】商品の特殊売買取引は複雑な内容が含まれているため,予め十分に学習をすることが望ましい。
第11回商品の特殊売買取引(2)販売代金を分割して回収する割賦販売,得意先が商品を試用し買い取りの意思を示した時に売買取引が成立する試用販売について修得する。割賦販売,試用販売に関する販売形態の特徴を整理し,複数の記帳法を修得する。
第12回固定資産取引(1)有形固定資産は使用することにより,その価値は減少していく。こうした事象について,どのような会計処理を行うことが必要であるかを理解する。有形固定資産の取得原価に係る配分の意義,配分方法ならびに無形固定資産の意義について検討する。
第13回固定資産取引(2)有形固定資産を取得しある期間使用した後に外部に売却あるいは除却することがある。その際に行われる会計処理を理解する。固定資産の取得・売却・除却の会計処理を修得する。なお,圧縮記帳についても検討する。
【準備学習】第12回目の講義において配布する課題を解答しておくこと。
第14回これまで学習してきた範囲について,総合問題の演習を行う。既習の内容すべてに関しての問題演習を行う。簿記一巡の手続を正確に理解しているかを問う。
【準備学習】小テストの内容および配布資料についての疑問点をまとめておくこと。
第15回中間のまとめまとめ
第16回講義ガイダンスと中間試験の返却を行う。小テストの日程,期末試験についてのガイダンスを行う。中間試験を返却し,解説と講評を行う。
第17回リース取引についての基本事項を修得する。 ファイナンス・リース取引およびオペレーティング・リース取引のそれぞれについて整理検討する。
第18回企業は時価の変動により利益を得ることを目的とするほかに,満期まで所有することを意図して,また支配関係の目的のために有価証券を保有することがある。こうした投資有価証券の会計処理について修得する。満期保有目的の債券の会計処理(償却原価法)を修得する。
第19回連結会計についての基本事項(1)を修得する。連結の範囲,非支配株主持分,のれん等連結会計に関わる基本事項を修得する。
第20回連結会計についての基本事項(2)を修得する。連結財務諸表の意義を理解したうえで,その作成手続を把握する。
【準備学習】第19回目の講義において配布する課題を解答しておくこと。
第21回税効果会計と何か,その概要を修得する。企業会計上の利益と税務上の課税所得が異なっていることから,どのような事象が発生しているのか,その調整法について修得する。
第22回株式会社は設立に際し,株式を発行し出資者から資金を調達する。また,事業規模を拡大するために新たに資金調達をすることがある。個人企業の取引との相違点を理解して一連の会計処理を修得する。株式会社は設立と増資に際し,会社法においてどのような法規制がなされているのかを検討する。
【準備学習】練習問題を解答のうえ講義に臨むこと。
第23回純資産の部のうちの株主資本について,資本金,資本剰余金,利益剰余金の各項目の会計学と会社法上の意義を踏まえ理解を深めていく。また,繰越利益剰余金の処分について修得する。資本と利益の峻別の意義について考察するとともに,繰越利益剰余金の処分に関する会計処理を会社法を踏まえ検討する。
【準備学習】練習問題を解答のうえ講義に臨むこと。
第24回株式会社会計に関する簿記一巡の手続を正確に理解したうえで決算整理を行う。
一定の会計期間の経営成績と一定時点の財政状態を明らかにするため,期末の帳簿を締め切り整理する一連の手続を修得する。
第25回これまで学習してきた会計処理手続にもとづいて試算表を作成する。期中の未処理事項,決算整理手続の記帳を正確に理解しているかを問う。
第26回損益計算書と貸借対照表の相互関係を理解し作成を行う。損益計算書と貸借対照表の作成表示に関する問題演習を行う。
第27回損益計算書と貸借対照表のフォ-ムについて十分に習得していることが基本となる。修得していない場合,一層の鍛錬が必要となる。各項目の表示方法を企業が開示した財務諸表をもとに検討する。
第28回総合問題演習(1)計算結果だけではなく,会計基準を正確に理解しているかを問う。既習の内容すべてに関しての問題演習を行う。
【準備学習】小テストの内容および配布資料についての疑問点をまとめておくこと。
第29回総合問題演習(2)総合問題演習の解答と解説を行う。また適宜質問の時間にあてる。財務会計の知識を含め,総合的な簿記会計の処理手続・表示方法に関して問う。
第30回まとめまとめ
授業形式  簿記の上達は一方的に講義を受けるだけではなく,自ら練習問題を解き,問題点を明らかにして習得するほかない。本講義では,問題解決能力を向上させるため,練習問題の解答練習を繰り返し行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 25% 1% 4% 100%
評価の特記事項 講義中,積極的に質疑応答した学生に対しては,加点評価する。
テキスト 渡部裕亘・片山覚・北村敬子編著『検定簿記ワークブック2級(商業簿記)』中央経済社,700円(税別).
参考文献 中央経済社編『新版会計法規集(第8版)』中央経済社,2,268円(税込).
伊藤邦雄『新・現代会計入門(第2版)』日本経済新聞出版社,3,500円(税別).
渡部裕亘・北村敬子・石川鉄郎編著『テキスト上級簿記』中央経済社,3,200円(税別).
オフィスアワー(授業相談) 金曜日,2時限終了後,本館2階
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  簿記の科目は性質上,期末試験の直前に網羅的内容を詰め込むことは困難であり,会計学の基礎をしっかりと築くための重要なステップであることを忘れないでほしい。なお,簿記Ⅰをすでに履修済であることが望ましい。