講義名 原価計算論Ⅱ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 水2
単位数 2

担当教員
氏名
高橋 賢

学習目標(到達目標) ものづくり企業における管理会計の概要を学び,実践への応用および新しい理論の創出の基礎固めを行うことができるようにする。
授業概要(教育目的) 本講義では,ものづくり企業に必要な固定費管理,リスク評価,品質コストマネジメント,工程シミュレーション,アメーバ経営などについて,基本書を輪読しながら問題点を洗い出し,議論を進めることで,実践への応用力,新しい理論の創出の基礎作りを行っていく。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクションものづくり企業における管理会計の特質は何か。
第2回日本的経営における機会損失管理と固定費管理(1)京セラのアメーバ経営の特質について,特に速度連鎖の効用,アメーバ経営導入の前提について議論する。
第3回日本的経営における機会損失管理と固定費管理(2)トヨタ生産方式のムダ排除に対する会計的効果について,その意義と限界について議論する。また,機会損失管理の重要性についても議論する。
第4回投資評価における統合的リスク評価の可能性三井住友銀行のケースを基にして,プロジェクトファイナンスにおける投資とリスクの評価について議論する。
第5回工程シミュレーションと管理会計工程シミュレーションにおける生産コストのフィードフォワードコントロールについて,従前のフィードバック管理との対比で議論する。
第6回アメーバ経営の多様性と採算表比較(1)京セラが始祖であるアメーバ経営について,これまで導入された事例を基に,先行研究の検討を通じてその導入の前提条件を議論する。
第7回アメーバ経営の多様性と採算表比較(2)カズマのケースを用いて,進化経営としてのアメーバ経営の本質について議論する。
第8回アメーバ経営の導入効果の検証予定難易度向上と速度連鎖効果の観点から,アメーバ経営導入の効果について議論する。
第9回高品質と低コストの同時追求高品質と低コストという一見するとそう反する目標を同時に追求するためにはいかなる経営思想が必要かを,ケースを基に議論する。
第10回ソフトウエア開発における品質コストマネジメント製造装置メーカーの事例を元に,品質コストマネジメントの実践的な有効性について議論する。
第11回中国におけるものづくり企業の管理会計ハイアール社の事例を元にして,ものづくりにおいて世界で重要な地位を占める中国企業の管理会計の状況について議論する。
第12回生産管理の課題への臨床会計学からの接近(1)実践学問である会計学に対して,「臨床会計学」というアプローチが近年いわれているが,それが果たしてどのようなものであるのか,その概要を議論する。
第13回生産管理の課題への臨床会計学からの接近(2)臨床会計学が,限界利益管理や機会損失の管理にどのような役割を果たすのかについて議論する。
第14回テキストマイニング技術を応用した工場診断テキストマイニングを用いて工場管理と工場診断を行うにはどのような方法論が適切かについて議論する。
第15回まとめ講義で行った議論を通じて,ものづくり企業における管理会計の基本思考は何であるのかを総括する。
授業形式 毎回テキストの所定の箇所を予習してもらい,疑問点を4~5個探してもらう。それを授業時に全員に配付してもらい,それを基に全員で議論をする。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 20% 0% 80% 0% 100%
評価の特記事項 議論への参加を重視する。
テキスト 上總康行・長坂悦敬(2016)『ものづくり企業の管理会計』中央経済社
参考文献 適宜指示する
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 予習の段階では,用語等自分で調べられるものは徹底的に調べてもらう。その上で,ロジックで不明な点を授業での議論のポイントとして上げてもらう。