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学習目標(到達目標) |
アメリカ制度派経済学の展開に寄与したJ.R.コモンズの経済学説・思想の特質を理解します。
アメリカ制度派経済学者たちは,19世紀後半から20世紀前半の激変するアメリカ資本主義が産み出す問題に取り組み、その解決を模索しました。コモンズは、独占段階に到達したアメリカ資本主義の特質が、集団行動とそのワーキング・ルールからなっている、と考えました。コモンズは独占資本主義の問題を、独自の「適正価値」の理論をもって解決を図ろうとしました。コモンズの主著『制度経済学』の解読を中心に、この問題を検討します。この作業を通じ,制度派経済学の基本思想と、その後の制度学派の展開を考察します。
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授業概要(教育目的) |
いわゆる「アメリカ旧制度派経済学」を取り上げ,検討します。
最初に,この経済学が産み出された19世紀後半から20世紀前半のアメリカ経済の状況を概観します。その際、次の2点に注目します。
(1)当時のアメリカ経済が抱える問題がどのようなものであったのか。
(2)この問題に対し,既存の経済学は、どのように対応したのか。
こうした時代背景を踏まえ、コモンズの『制度経済学』を精読し、コモンズの経済学説・思想を解明します。本年度は、コモンズのヴェブレン批判を中心に検討をすすめます。
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授業計画表 |
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回 | 項目 | 内容 |
第1回 | 授業計画の説明 | アメリカ制度派経済学の概要と、アメリカ資本主義経済の展開。 | 第2回 | 制度派経済学の時代背景:その1 | 19世紀後半のアメリカ資本主義経済の動向。
当時の経済学の潮流。 | 第3回 | 制度派経済学の時代背景:その2 | 20世紀前半のアメリカ資本主義経済の動向。
大企業体制の進行。
| 第4回 | ヴェブレンの進化論的経済学 | 制度派経済学の基本的枠組みとしてのヴェブレン経済学 | 第5回 | コモンズの集団行動の経済学 | コモンズの経済学は、「集団行動の経済学」として知られている。コモンズ経済学の特質を把握する。 | 第6回 | コモンズの『制度経済学』の解明 | コモンズの『制度経済学』をベースに、コモンズ経済学の枠組みを探る。 | 第7回 | コモンズの「ヴェブレン批判」:その1 | コモンズは、どのような理由でヴェブレンの経済学を取り上げたのかを、考察する。 | 第8回 | コモンズの「ヴェブレン批判」:その2 | コモンズに従えば、ヴェブレンの貢献は無形財産の概念を経済学に取り入れたことである。この意味を検討する。 | 第9回 | コモンズの「ヴェブレン批判」:その3 | コモンズは、ヴェブレンの限界をどのように考えたのかを検討する。 | 第10回 | コモンズの「適正価値」:その1 | コモンズの「適正価値」とはなにかを検討する。 | 第11回 | コモンズの「適正価値」:その2 | コモンズの「適正価値」と資本主義分析の関係を検討する。 | 第12回 | コモンズの「ゴーイング・コンサーン論」 | コモンズの「ゴーイング・コンサーン」の特質を検討し、それが現代資本主義を分析用具であることを考察する。 | 第13回 | コモンズの「グッド・ウィル論」 | コモンズの"good-will"概念を検討する。 | 第14回 | コモンズの現代資本主義論 | これまでの検討を踏まえ、コモンズの制度経済の特質を明らかにする。 | 第15回 | まとめ | まとめ
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授業形式 |
テキストに基づく講義および受講生の報告とそれに基づく討議を中心に進めます。
受講生の理解度に応じて、講義の進行を調整します。 |
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評価方法 |
定期試験
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レポート
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小テスト
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授業への
参画度
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その他
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合計
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0% |
50% |
0% |
0% |
50% |
100% |
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評価の特記事項 |
受講生の報告と討議を評価の対象とします。単位認定レポートの提出を求めます。 |
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テキスト |
中原隆幸訳『制度経済学』ナカニシヤ出版、2015。
英文原書を使う場合もあります。 |
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参考文献 |
コモンズの著作が、いくつか邦訳されています。それらを参考にして下さい。また講義の進行に合わせて、必要な参考文献を随時紹介します。 |
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オフィスアワー(授業相談) |
月曜日4時限目
事前にメール等で面談の予約を取って下さい。 |
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事前学習の内容など,学生へのメッセージ |
「経済学史」について、学部レベルの基本的な理解ができていること。
ミクロ・マクロ理論について、学部レベルの理解ができていること。
英語文献を使います。
受講生には,前期開講の「経済学史Ⅰ」も受講していることを強く希望します。 |