講義名 哲学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木3
単位数 4

担当教員
氏名
大沢 啓徳

学習目標(到達目標) 本講義では、以下の能力を身につけることを目的とします。
1.哲学史の基本的な知識(著名な哲学者の思想や哲学独特の専門用語)を自分自身の言葉に置き換えて,正しく説明できる。
2.一つの事柄に対する複数の解釈を知ることで,価値観の多様性を理解できる。同時に、その多様性の背後にある共通性をも承認できる。
3.哲学的な文章を独力で読解できるようになる。
授業概要(教育目的) 西洋哲学史を概観しながら,東洋の思想も見ていきます。なるべく多くの文章に触れて,哲学の雰囲気を感じ取ってもらいます。それぞれの哲学者が示した具体的な思想について説明するとともに,何故にその問題を考えざるをえなかったのかという,時代的背景や内面的な動機にも光をあてていきます。
授業計画表
 
項目内容
第1回哲学とは何か(1)
「哲学」という学問の意味ならびに講義全体の意図を説明する.
【事前学習】2時間
シラバスを読み,とくに参考文献について調べておくこと。
【事後学習】2時間
配布プリントをよく読み,疑問点を明らかにしておくこと。疑問点はいつでも遠慮なく教員に質問にし,曖昧なままにしておかないこと。

第2回哲学とは何か(2)倫理,芸術,宗教との類似と相違を通して「哲学」を説明する。
【事前学習】2時間
初回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
配布プリントをよく読み,疑問点を明らかにしておくこと。
第3回ソクラテス以前のギリシア哲学(1)ソクラテス以前の哲学(タレス,ヘラクレイトスなど)について説明する。
【事前学習】2時間
第2回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
配布プリントをよく読み,疑問点を明らかにしておくこと。「根源」について考えること。
第4回ソクラテス以前のギリシア哲学(2)ソクラテス以前の哲学(デモクリトス,パルメニデスなど)について説明する。
【事前学習】2時間
前回の復習をしておくこと。
【事後学習】2時間
配布プリントをよく読み,疑問点を明らかにしておくこと。ギリシア哲学と現代との共通点を調べること。
第5回ソクラテスソクラテスの生涯と哲学史におけるその存在意義を説明する。
【事前学習】2時間
第4回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
ソクラテスの裁判について調べること。
第6回プラトン(1)プラトンの生涯について説明する。『饗宴』を読む。
【事前学習】2時間
第5回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
プラトンがソクラテスから継承したものの意味を調べること。
第7回プラトン(2)プラトンの思想について説明する。「魂の三部分」「イデア論」「洞窟の比喩」「哲人王」など。
【事前学習】2時間
第5回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
イデア論について調べること。
第8回プラトン以降のギリシア哲学アリストテレス,ストア派,エピクロス派,新プラトン主義について説明する。
【事前学習】2時間
第7回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
ストア的な生き方とエピクロス的な生き方の相違について調べること。
第9回孔子(1)孔子の生涯について,また老荘思想について説明する。
【事前学習】2時間
第8回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
『論語』を実際に手にとって読むこと。
第10回孔子(2)『論語』の文章を読む。
【事前学習】2時間
前回の復習をしておくこと。
【事後学習】2時間
孔子の志について想うこと。『論語』の文章を熟読玩味すること。
第11回ブッダ(1)ブッダの生涯と原始仏教の成立について説明する。
【事前学習】2時間
第10回の授業で配布したプリントを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
配布プリントを熟読すること。
第12回ブッダ(2)仏教の基本的な思想(縁起,八正道など)について説明する。
【事前学習】2時間
前回の復習をしておくこと。
【事後学習】2時間
日常のなかにある仏教用語について調べること。
第13回イエス(1)人間イエスの生涯とキリスト教の成立について説明する。
【事前学習】2時間
第12回の授業で配布したプリントを読んでおくこと.
【事後学習】2時間
『聖書』を実際に手に取って読んでみること。
第14回イエス(2)キリスト教の基本的な思想について説明する。
【事前学習】2時間
前回の復習をしておくこと。
【事後学習】2時間
「一匹と九十九匹」の意味についてよく調べておくこと。
第15回確認試験と解説授業を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
【事前学習】2時間
これまでの講義内容をよく復習しておくこと。
【事後学習】2時間
自分の解答と解説の相違を調べること。
第16回デカルトデカルトの生涯,「我思う故に我在り」「心身二元論」,哲学史における存在意義について説明する。
【事前学習】2時間
シラバスと参考文献を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
心身問題について調べること。
第17回スピノザスピノザの思想について説明する。
【事前学習】2時間
第16回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
「運命愛」について調べること。
第18回パスカルパスカルの『パンセ』を読む。
【事前学習】2時間
第17回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
『パンセ』を手にとって読んでみること。
第19回モンテーニュ
モンテーニュの『エセー』を読む。
【事前学習】2時間
第18回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
モンテーニュとパスカルとの共通点と差異について調べること。
第20回カント(1)カントの理論哲学について説明する。
【事前学習】2時間
第19回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
「超越論的」の意味について調べること。
第21回カント(2)カントの道徳哲学について説明する。
【事前学習】2時間
前回の授業内容を見直しておくこと。
【事後学習】2時間
「定言命法」について調べること。
第22回カント(3)
カントの美学について説明する。
【事前学習】2時間
第21回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
自然の美しさを味わうことと道徳意識の連関について反省すること。
第23回ショーペンハウエル
ショーペンハウエルの文章を読む。
【事前学習】2時間
第22回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
ショーペンハウエルのエッセイを読んでみること。
第24回ニーチェ(1)ニーチェの生涯について説明する。
【事前学習】2時間
第23回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
ニーチェの生涯について自分自身で調べておくこと。
第25回ニーチェ(2)ニーチェ思想の主要な概念について説明する.「ルサンチマン」「善悪の彼岸」「永遠回帰」など。
【事前学習】2時間
前回の復習をしておくこと。
【事後学習】2時間
自分自身のなかにある「ルサンチマン」について調べること。
第26回ベルクソン
ベルクソンの思想について説明する。
【事前学習】2時間
第25回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
「質と量」「言語化」の問題について調べること。
第27回ヤスパースヤスパースの思想について説明する。
【事前学習】2時間
第26回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
「実存的交わり」について反省を深めること。
第28回日本の思想(1)夏目漱石,柳宗悦の思想について説明する。
【事前学習】2時間
第27回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
柳宗悦「どうしたら美しさがわかるか」を再読すること。
第29回日本の思想(2)佐藤初女の生涯について説明し,その文章を読む。
【事前学習】2時間
第28回に配布したプリントに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
佐藤初女の文章を再読し,自分自身の在り方と対照させること。
第30回確認試験と解説第16回以降の授業を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
【事前学習】2時間
これまでの講義内容をよく復習しておくこと。
【事後学習】2時間
自分の解答と解説の相違を調べること。
授業形式 プリントを利用して,なるべく多くの哲学者の言葉に直接触れてもらうようにします。それらの言葉の意味や歴史的背景を説明しつつ,そのような言葉と、現代の私たちとのつながりについて論じていきます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
70% 0% 0% 30% 0% 100%
評価の特記事項 講義の内容が正しく理解されているかどうか,その上で,理解したことを自分自身の問題として引き受け,自分の言葉で正しく表現できるかどうかを評価します。
テキスト 適宜プリントを配布します。
参考文献 コーンフォード『ソクラテス以前以後』岩波文庫.
ショーペンハウエル『読書について』岩波文庫.
夏目漱石『漱石文明論集』岩波文庫.
柳宗悦『手仕事の日本』岩波文庫.
遠藤周作『深い河』講談社文庫.
諸橋轍次『論語の講義』大修館書店.
コンパニョン『寝る前5分のモンテーニュ』白水社.
佐藤初女『いのちの森の台所』集英社.
大沢啓徳『柳宗悦と民藝の哲学』ミネルヴァ書房.


オフィスアワー(授業相談) 本授業終了後,本館講師室にて対応する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 世の中は絶えず変化し,それにともなって人々の生活習慣や価値観も変わっていきます。しかし人間そのものは決して変わりません。私たちは,昔の人たちと同じように喜んだり悲しんだりしています。この変わらない人間そのものを見つめるのが「哲学」です。「哲学」に触れることによって,変化する世の中に流されない芯の強さを見出して欲しいと思います。