講義名 政治学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月5
単位数 4

担当教員
氏名
金田 耕一

学習目標(到達目標) 1.身近な問題を政治学的視点でとらえることができる。
2.政治権力の成り立ちと特質について学び,権力の意義と問題点を説明できる。
3.デモクラシーの歴史を理解し,現代のデモクラシーが抱える諸問題について説明できる。
4.リベラリズムの歴史を理解し,現代のリベラリズムの多様な側面について説明できる。
5.現代政治の諸問題について理解し,その背景と課題を説明できる。
授業概要(教育目的) 政治に特有な事象について,現代の政治理論を基にして解説する。政治について適切な判断を下せるようにするためには,市民のあいだにいわゆる政治的教養(ポリティカル・リテラシー)がなければならない。政治的事象とそれを判断する政治的市民とのあいだには,単なる主観的・イデオロギー的ではなく,客観的で知的な関係が存在する。この関係は,リベラルでデモクラティックな社会を他の社会とを区別する最も大きな特徴である。このことを現代政治理論のさまざまな成果をつうじて考察できるようにすることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回政治学入門政治学という学問の特徴を経済学と哲学との関係について述べる.また政治学固有のアプローチについて説明する.レジメにもとづいて復習を2時間おこなう.
第2回政治とは何か政治的営みの人間的特質を,動物のとの比較から考察する。ここでは,政治を二つの暴力と対比することによって特徴づける。事前学習として,配布資料に目をとおし,テキスト第1章を読んでおくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第3回暴力から権力へ権力論に立ち入る前に,いかにして権力が発生するかについて考える。事前学習として,配布資料に目をとおし,テキスト第1章を読んでおくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第4回権力と権威権力がどのようにして権威を獲得するにいたるか,また権威と同意のメカニズムについて,権威主義について考察する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第2章を読んでおくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第5回二つの権力非対称的権力観と共同的権力観を説明し,マキアヴェリの議論を参考にしながら権力のふたつの性格について理解を深める。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第2章を読んでおくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第6回暴力、権力、権威の小括これまでの議論を振り返り、暴力、権力、権威の関係について理解を深める。事前学習として配布資料に目をとおし,第3回から第5回のノート、レジメを読み返しておくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第7回自由の理論消極的自由・積極的自由の概念という二つの自由の議論を中心にして,自由とは何かを考える。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第4章を読んでおくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第8回現代のデモクラシー(1)デモクラシー論のギリシア的起源と近代における発展をギリシアのデモクラシーとローマの共和主義から考察する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第6章1を読んでおくこと(2時間).レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第9回現代のデモクラシー(2)近代のデモクラシーの考え方について、ホッブズ、ロック、ルソーの代表概念を取り上げながら,ふたつのデモクラシーについて考察する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第6章2を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第10回現代のデモクラシー(3)大衆デモクラシーの諸問題について説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第6章3を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第11回ネーションとエスニシティ(1)ネーションを単位とするデモクラシーとナショナリズムの関係について,近代国民意識の成立を背景としながら考察する.事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第7章1を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第12回ネーションとエスニシティ(2)東西冷戦後の噴出したエスニシティの要求が引き起こした,新しいナショナリズムについて説明する.事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第7章1を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第13回ネーションとエスニシティ(3)社会が多文化するなかでわき上がる承認の要求とデモクラシーの関係について考察する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第7章2を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第14回ナショナリズムとエスニシティの小括これまでの議論を振り返り,現代のデモクラシーの課題と新しいナショナリズムについてまとめる.事前学習として配布資料に目をとおし,第11回から第13回のノートを読みかえしておくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第15回中間のまとめまとめ。前期テストの内容について振り返り、まとめる。ここまでのレジメを読み直しておくこと(2時間)。夏休みの課題について説明する.前期試験の準備として3時間以上の学習を行う。
第16回リベラリズムの思想史(1)リベラリズムの思想を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ホッブズ,ロック,スミスについて説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第3章1を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第17回リベラリズムの思想史(2)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ベンサム,ミル,グリーンについて説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第3章2を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第18回リベラリズムの思想史(3)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.社会有機体論の展開、スペンサーとフェビアニズムについて説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第3章3を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第19回リベラリズムの思想史(4)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ニューリベラリズムの議論,ホブハウス,ケインズ,について説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第3章4を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第20回リベラリズムの思想史(5)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ハイエクの議論について説明する.事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第3章4を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第21回リベラリズムの思想史の小括これまでの議論を振り返って、古典的リベラリズムについての理解を深める.事前学習として配布資料に目をとおし,第16回から第20回のノートを読み返しておくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第22回現代のリベラリズム(1)アメリカにおけるリベラリズムの特殊な性格を,アメリカ社会の歴史的背景を見ながら説明する.事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第5章1を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第23回現代のリベラリズム(2)ジョン・ロールズの『正義論』における正義の二原理について,原初状態論,無知のヴェール,マキシミン・ルールなどをつうじて説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第5章2を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第24回現代のリベラリズム(3)『正義論』への批判として,ノージックのリバタリアニズムの議論を説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第5章3を読んでおくこと。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.(2時間)
第25回現代のリベラリズム(4)ドゥオーキンとセンの議論を説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第5章4および5を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第26回現代のリベラリズムの小括これまでの議論を振り返って,理解を深める.事前学習として配布資料に目をとおしておくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第27回公共性と市民社会(1)公共性をめぐる思考を,古代ギリシア、近代(ルソー,スミス,ヘーゲル)とたどる。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第9章1および2を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第28回公共性と市民社会(2)ハーバーマスにおける市民的公共性の概念を手がかりにして,現代国家と市民社会の関係について考える。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第9章3を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第29回公共性と市民社会(3)新しい市民社会の関係について説明する。事前学習として配布資料に目をとおし,テキスト第9章4および5を読んでおくこと(2時間)。レジメにもとづいて復習を2時間おこなうこと.
第30回まとめ16回以降の要点について振り返り、まとめる. 試験についての説明と復習をおこなう.試験の準備として、復習を2時間以上行うこと.
授業形式 講義を中心とし,テーマの区切りで理解度を確認するための小テストをおこなう。また,毎回,講義資料をEcolinkにアップロードするので、各自印刷して持参すること。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
80% 10% 0% 10% 0% 100%
評価の特記事項 試験はテキスト・ノートの持ち込みを一切認めない。
テキスト 川崎・杉田編『現代政治理論』新版 有斐閣,2000円。
参考文献 バーナード・クリック『現代政治学入門』講談社文庫。
オフィスアワー(授業相談) 月曜日3:00〜4:00。 事前にメールでアポイントメントをとることが望ましい。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 私語は厳禁とし、私語をした者には退出を求めます。内容は理論と現実、過去と現在の多岐にわたります。幅広い関心をもつ学生に向いています。