講義名 地理学　≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日･時限 火３
単位数 4

担当教員
氏名
卜部　勝彦

学習目標(到達目標) 本講義では，受講生が以下の１～５の項目について達成できることを目標としている。
　１．日本の国土について地理学的な解釈や説明ができる。
　２．自然景観や文化景観に興味を持ち説明ができる。
　３．地形環境の特色や都市と農山村をめぐる地域的諸問題について認識することができる。
　４．一般図や主題図の性格を理解し，事例地域の特色をとらえることができる。
　５．地理写真の解釈ができる。
授業概要(教育目的) 総合教育科目の本講義は，小中高の初等中等教育で学修した社会科や地理からの接続で高等教育における「教養教育としての地理学」である。ここでは，日本の国土理解や認識ができるように，日本の多様な自然景観や文化景観についてを地理学的な眼差しで説明する。授業の前期では国土の地形環境を取り上げ，人間生活との関係もあわせて考える。また授業の後期では国土の地域構造を理解するために都市や農山村の具体的事例から，その地域的諸問題の現状を見つめていく。その際，文部科学省での実務経験をもとに初等中等教育の地理教育の諸内容についても適宜復習し，難なく高等教育レベルの地理学に発展できるよう留意したい。
授業計画表
 
回項目内容
第1回教養としての「地理学」のねらい本講義の目的・方法といったガイダンス的な内容を中心に，教養としての地理学の必要性を学習する。
【事前学習】２時間
小中高で学修した社会科や地理の科目としてのイメージや「日本の国土の特色を説明せよ。」という問いに対して応答できるよう，現時点での既得知識を整理しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，次回以降の授業に備えること
第2回地図で見る日本列島（１）世界全図からみた日本の位置や地形的特色，日本の領域などを学習する。
【事前学習】２時間
PCやスマホのアプリなどのGoogleMapにおいて，大学周辺～日本全体まで様々なスケールで操作できるよう慣れ親しんでおくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，地図の約束事や日本の位置や領域について説明できるようにしておくこと。
第3回地図で見る日本列島（２）地図帳（教科書指定のAtlas）における一般図と主題図の表現について学習する。
【事前学習】２時間
地図帳に掲載された様々な地図について、2頁の凡例を参照しながら概観しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，点･線･面の記号体系からなる地図表現の特色を説明できるようにしておくこと。
第4回山地（１）「山」とは何か？　山地の地形・地質やその成因および景観的特色について学習する。
【事前学習】２時間
「山とはどのようなものか？」という問いに対して応答できるよう，現時点での既得知識を整理しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，山地の地形・地質や成因および景観的特色について説明できるようにしておくこと。
第5回山地（２）
日本の山地・山脈の分布，「山」と人間生活のかかわりなどを学習する。
【事前学習】２時間
PCやスマホで国土地理院HPの「地理院地図」やGoogleMapおよび地図帳を利用して日本の山地の範囲を概観しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本の山地・山脈の分布，「山」と人間生活のかかわりなどについて説明できるようにしておくこと。
第6回河川（１）
「川」とは何か？　河川の景観的特色，および河川をめぐる地形の形成作用について学習する。
【事前学習】２時間
通学途中で見かける河川は、どこを流れて海に向かうのか地図で確認するとともに，その河川における上流～下流の「景色」の相違を指摘できるようにしておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，河川の景観的特色や河川をめぐる地形の形成作用について説明できるようにしておくこと。
第7回河川（２）日本の主要河川の流路と集水域，「川」と人間生活のかかわりなどを学習する。
【事前学習】２時間
地図帳の各地方図において主要河川の上流～下流までの流れを確認しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本の主要河川の流路と集水域，「川」と人間生活のかかわりなどについて説明できるようにしておくこと。
第8回海岸「海辺」とは何か？　海岸の地形・地質やその成因および景観的特色について学習する。
【事前学習】２時間
「海辺の景色の特色は？」という問いに応答できるよう，これまでの経験にもとづき整理しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，海岸の地形・地質やその成因および景観的特色について説明できるようにしておくこと。
第9回平野と盆地（１）日本の平野と盆地の分布，平野・盆地の地形的特色を学習する。
【事前学習】２時間
地図帳における「〇〇平野」や「〇〇盆地」の分布を他資料等から調べ，それら平野・盆地をめぐる周囲の山地および河川との対応について予察しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本の平野と盆地の分布，平野・盆地の地形的特色について説明できるようにしておくこと。
第10回平野と盆地（２）扇状地をめぐる地形と人間生活について学習する。
【事前学習】２時間
授業で学んだ扇状地の地形的概念を整理し，扇状地における河川の流路形態を把握しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，扇状地をめぐる地形と人間生活について説明できるようにしておくこと。
第11回平野と盆地（３）氾濫原・三角州をめぐる地形と人間生活について学習する。
【事前学習】２時間
授業で学んだ氾濫原・三角州の地形的概念を整理し，それら地形での河川の流路形態を把握しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，氾濫原・三角州をめぐる地形と人間生活について説明できるようにしておくこと。
第12回平野と盆地（４）段丘（台地）をめぐる地形と人間生活について学習する。
【事前学習】２時間
授業で学んだ段丘（台地）の地形的概念を整理し，段丘（台地）における地形的特色を把握しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，段丘（台地）をめぐる地形と人間生活について説明できるようにしておくこと。
第13回自然災害（１）日本の自然災害について，これまでの河川氾濫災害，火山災害，地震・津波災害の事例を取り上げ，その被害の地域的特色を学習する。
【事前学習】２時間
国土地理院HPの「地理院地図」における「地図・空中写真」の各種情報に慣れ親しんでおくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本の各種自然災害とその被害の地域的特色について説明できるようにしておくこと。
第14回自然災害（２）河川の氾濫にともなう水害について，地形的要因に触れながら防災的側面としてのハザードマップの重要性について学習する。
【事前学習】２時間
身近な地域の各種ハザードマップにおける情報を確認しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，身近な地域の水害予測についてハザードマップから説明できるようにしておくこと。
第15回国土の自然環境における地理学的まなざし前期において学習した日本の自然環境とその地域的特色について整理し，国土としての自然環境を地理学的に考える。
【事前学習】２時間
前期の授業で扱った内容（各事例も含む）を整理しておくこと。
【事後学習】２時間
前期の授業内容を復習し，前期試験に備えておくこと。
第16回東京（１）「東京」とはどのようなところか？　身近な地域の事例として日本大学経済学部付近の景観的特色を取り上げて学習する。
【事前学習】２時間
国土地理院HPの「地理院地図」，GoogleMapおよび地図帳などにおいて日本大学経済学部付近の様子を読図しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本大学経済学部付近の景観的特色を説明できるようにしておくこと。
第17回東京（２）東京の地形について，日本大学経済学部付近を事例に「台地」と「低地」の起伏を経験則的に照らしながら学習する。
【事前学習】２時間
日本大学経済学部図書館（8号館）の東にある「女坂」を必ず上下した上で，その地形的特色を前期授業内容から説明できるようにしておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，東京の「台地」と「低地」にみられる地形的特色について説明できるようにしておくこと。
第18回東京（３）前回の授業内容を発展させて，東京中心部の地形的特色を総論的に学習する。前回の授業内容を発展させて，東京中心部の地形的特色を総論的に学習する。
【事前学習】２時間
山手線の内側のエリアにおける「谷」のつく地名に着目し，その付近の起伏を確認しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，東京中心部の地形的特色を総論的に説明できるようにしておくこと。
第19回東京（４）東京都心部の骨格となった「江戸」の形成について，江戸城の立地と近世初期のプランニングについて学習する。
【事前学習】２時間
江戸時代の三崎町（現・日本大学経済学部付近）がどのような町だったのか予察しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，「江戸」の形成について地理学的に説明できるようにしておくこと。
第20回東京（５）前回の授業内容を発展させて，江戸城下町の地域変容について学習する。
【事前学習】２時間
江戸・東京をめぐるこれまでの学習を総括的に復習し，東京都心部のエリアにおける都市形成要因を検討しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，江戸城下町の地域変容について地理学的に説明できるようにしておくこと。
第21回東京（６）明治以降における東京都心部の地域変容について学習する。
【事前学習】２時間
東京都心部における明治時代以降の歴史地理的背景を予察しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，明治以降における東京都心部の地域変容について説明できるようにしておくこと。
第22回都市の緑をつくる（１）都市の「緑」はどのようにして創られているか？　都市緑化の意義やその需給システムを学習する。
【事前学習】２時間
日本大学3号館に植栽された樹木を都市の緑として捉えつつ，よく観察しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本における都市緑化の意義やその需給システムについてせつめいできるようにしておくこと。
第23回都市の緑をつくる（２）都市の「緑」の生産地域について，いくつかの事例を取り上げながら学習する。
【事前学習】２時間
前回授業の内容を復習したうえで，生産地域の一般的特色を予察しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，都市の「緑」の生産地域の一般的な特色について説明できるようにしておくこと。
第24回都市の緑をつくる（３）都市の「緑」の生産地域について，いくつかの事例を取り上げながら学習するとともに，農業地域としての植木生産地域の存立状況を考察する。
【事前学習】２時間
前回および前々回授業の内容を復習したうえで，生産地域の一般的特色を予察しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，農業地域としての植木生産地域の存立について説明できるようにしておくこと。
第25回離島（１）「離島」とはどのようなところか？　国土における「離島」の地理的特色を総論的に学習する。
【事前学習】２時間
国土地理院HPの「地理院地図」，GoogleMapなどの地図情報において、いくつかの離島を概観しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，国土における「離島」の地理的特色を総論的に説明できるようにしておくこと。
第26回離島（２）日本の離島が抱える地域的諸問題について，いくつかの事例を取り上げながら学習する。
【事前学習】２時間
前回授業で講じた内容をもとに，いくつかの離島について市町村ＨＰなどから地域の特色を確認しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，日本の離島が抱える地域的諸問題について説明できるようにしておくこと。
第27回雪と生活（１）
「雪国」とはどのようなところか？　国土における積雪寒冷地域の現状について総論的に学習する。
【事前学習】２時間
地図帳などの積雪深の図で示された内容について，おおよそ説明できるように予習しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，国土における積雪寒冷地域の現状について総論的に説明できるようにしておくこと。
第28回雪と生活（２）積雪寒冷地域における地域的諸問題について，事例地域の景観特性や暮らしに着目しながら学習する（その１）。
【事前学習】２時間
前回授業で講じた内容をもとに，いくつかの積雪寒冷地域について市町村ＨＰなどから地域の特色を確認しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，積雪寒冷地域における地域的諸問題について説明できるようにしておくこと。
第29回雪と生活（３）積雪寒冷地域における地域的諸問題について，事例地域の景観特性や暮らしに着目しながら学習する（その２）。
【事前学習】２時間
前々回・前回授業で講じた内容をもとに，いくつかの積雪寒冷地域について市町村ＨＰなどから地域の特色を確認しておくこと。
【事後学習】２時間
授業内容をよく復習し，積雪寒冷地域における地域的諸問題についてさらに説明できるようにしておくこと。
第30回国土における諸事象の人文地理的まなざし後期において学習した日本の各地における人文地理的事象について整理し，国土における地域的諸問題を地理学的に考える。
【事前学習】２時間
後期の授業で扱った内容（各事例も含む）を整理しておくこと。
【事後学習】２時間
後期の授業内容を復習し，前期試験に備えておくこと。
授業形式 講義形式で行う。ただし授業は，受講生の興味・関心を高めるため教員による一方的な講述ではなく，教員の発問と受講生の回答という“やりとり”を積極的に取り入れたい。また授業では，スマートフォンなどでインターネットの地図情報も積極的に利用する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度 		その他 合計
80% 0% 20% 0% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験（80％）については前期（40％）と後期（40％）の2回実施する。また小テスト（20％）は数回（不定期）実施する。
テキスト Teikoku's COMPLETE ATLAS OF JAPAN，Teikoku-Shoin（帝国書院），2017
オフィスアワー(授業相談) 授業期間中の毎週火曜日，3時限終了後，20分間は本館2階講師室に在室。
事前学習の内容など，学生へのメッセージ 本講義は教養を高めるための総合教育科目であり，受講に当たっては「地理学的な教養を獲得したい！」という高いモチベーションが要求される。したがって，普段から日本各地の地図（インターネットの地図情報も含む）に慣れ親しみ，毎回の授業における教員・受講生間の“やりとり”に参加できるよう予習しておくこと。なお授業は必ず集中してノートテイクをしっかりとしておくことが肝要である（自らのノートテイクを怠ると試験解答に窮すること必至である）。また私語等で周囲の学習環境を乱す行為については厳重に注意する。