講義名 心理学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火3
単位数 4

担当教員
氏名
土屋 明夫

学習目標(到達目標) 我々一人一人は、“人間”として生を受け、その生をこの社会の中で全うしていく存在である。これから学ぶ「心理学」は、“人つまり我々自身の日常生活での心理や行動の背景にある影響要因”について、科学的(客観的)な視点から解明していく学問である。
そこで、受講生には、この心理学を通して、次の3項目が達成できることを目標とする。
1.人が生きて生活していることの背景にある様々な要因を理解することができる。
2.上記①を理解することで、人の意識・行動の奥深さや可能性を理解することができる。
3.上記①②を理解することで、人(自身)の“生き方”を考える手掛かりをつかむことができる。
授業概要(教育目的) 人の“こころ”とは何か。分かっているようで捉えどころがない問題である。そこで、“こころ”を“人の生き様”と置き換えてみると理解しやすいのではないだろうか。この“人の生き様”を科学的な方法で理解しようとするのが、「心理学」である。
そこで、講義のテーマは「人とはどんな特徴を備えた存在か」「人は周りの環境をどのように捉えて判断し、意識や行動につなげていくのか」など、“人の生き様”を基礎的(生理学的)レベルから社会的レベルまでを踏まえて解説することになるが、受講生には、人間の生き様に、より強い関心を持つようになってもらえることを目的とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション人間の理解における「心理学」の重要性。授業の進め方。アカデミック・スキルズ(ノートの取り方など)。参考文献の紹介。
【事前学習】2時間
「心理学を学ぶ」こと「大学で学ぶ」ことの必要性や「学んだことを十分に理解するための工夫」について、自分の考えを整理しておくこと。
【事後学習】2時間
授業で学んだことを踏まえ、この機会に「自分の学ぶ目的」をしっかり整理すること及び授業を理解するためのスキルを実際に利用できるようにしておくこと。
第2回心理学ー“こころの科学”ーとは何か(1)心理学の特徴(心理学の対象、方法論など)。心理学の歴史(“こころ”をどのように理解しようとしてきたか)。
【事前学習】2時間
テキスト第1章(p1~p19)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
“人間”及び人間の“こころ”について考え、頭の整理をしおくこと。
第3回心理学ー“こころの科学”ーとは何か(2)心理学の歴史(これから学ぶ「科学としての心理学」が成立する前の“こころ”の捉え方)
【事前学習】2時間
テキスト第1章(p19~p23)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
講義の内容を理解した上で、人の“こころ”についてさらに考えを深め、頭の整理をしておくこと。
第4回心理学ー“こころの科学”ーとは何か(3)“こころの科学”としての「心理学」の成立。
①人の“こころ”を科学的(客観的)方法で理解することは可能か、②科学としての心理学の“こころ”の捉え方など)。
【事前学習】2時間
テキスト第1章(p24~p40)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
人の“心理”を科学的(客観的)方法で考えることの意味を理解できるようにしておくこと。
第5回“こころ”の基礎(動機づけ、感情、言語など)動機づけ、感情、言語など。
【事前学習】2時間
テキスト第2章、第2節~3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自分の動機づけ、感情に照らし合わせて、講義で学んだことを理解しておくこと。
第6回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(1)環境の認知(感覚・知覚とは、知覚の体制化など)。
【事前学習】2時間
テキスト第3章、第1節~2節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
感覚と知覚の違い、知覚の体制化における「図」「地」とは何かなど、よく理解し整理しておくこと。
第7回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(2)知覚の諸相(奥行知覚、運動知覚、錯覚現象など)。
【事前学習】2時間
テキスト第3章、第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自分の普段の体験をベースに、講義内容を十分に理解しておくこと。
第8回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(3)記憶の働き(人の記憶能力の特徴・過程、記憶の情報処理モデルなど)
【事前学習】2時間
テキスト第3章、第4節~5節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
人の記憶能力の特徴を、身近にある録音器・カメラなどの記録との差を確認し、理解しておくこと。
第9回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(4)人間の記憶の特徴を、受講生を対象に簡単な実験を実施し、その結果を基に講義する。
【事前学習】2時間
前回の講義の内容をよく理解しておくこと。
【事後学習】2時間
実験に関してのレポートを作成し、提出してもらう。
第10回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(5)記憶の変化(忘却の原因、記憶内容の変化など)さらに記憶の内容の変化がもたらす“パニックの心理”や“冤罪の心理”の解説。
【事前学習】2時間
テキスト第3章、第6節~7節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
講義内容を十分に理解した上で、記憶の変化が日常の生活体験とどのように関わっているかを考えてみること。
第11回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(6) 学習とは(人にとっての経験の重要性、学習に関する理論の整理・解説)
【事前学習】2時間
テキスト第4章、第1節~2節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
学習の理論に関してはよく理解・整理し、日常の様々な行動の成立過程を説明できるようにしておくこと。
第12回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(7)学習の理論の解説。結合理論(条件反射説、オペラント説、観察学習説など)、認知理論について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第4章、第1節~2節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
学習の理論に関してはよく理解・整理し、日常の様々な行動の成立過程を説明できるようにしておくこと。

第13回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(8)学習の応用 。 学習の理論と教育観(詰め込み教育と個性尊重教育)、上達するための学習法など。
【準備学習】2時間
学習に関する理論を十分に理解しておくこと。
【事後学習】2時間
理論を日常生活に応用する姿勢を身に付けること。
第14回人の個性とは何かー性格・能力ー人の性格・能力とは何か。性格・能力に関する理論、検査方法などについて解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第5章、第2節~3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
講義の内容を十分理解した上で、自身の性格・能力について考察してみること。
第15回(中間)確認試験及び解説出題範囲は、前期間内に(14回分まで)学んだ内容とする。60分間の試験終了後に、解説も加える。
【事前学習】2時間
これまで学んだことを理解し、整理しておくこと。
【事後学習】2時間
試験結果を反省し、不十分な点は補完し、後期からの授業にスムーズに入れるようにしておくこと。
第16回人の社会的行動(1)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
対人認知(情動の認知、他者のパーソナリティの認知など)。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第1節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
人の感情、感情の表れとしての顔の表情、その表情の種類や関係性。人の印象形成への影響要因をよく理解しておくこと。
第17回人の社会的行動(2)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
態度と態度変容(態度の特性、態度の形成、態度に関する諸理論など)。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第2節(pp.190~199)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
“態度”とは何か、態度と具体的な行動の関連性などについてよく理解しておくこと。
第18回人の社会的行動(3)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
説得と態度変容(説得的コミュニケーションの効果、説得のテクニック、説得への抵抗など)。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第2節(pp.199~203)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
様々な情報にさらされる中、我々の行動や意識はその影響を受け変化するが、その背景にある心理を理解すること。
第19回人の社会的行動(4)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
対人魅力(対人魅力の規定要因、恋愛の心理)。
人間関係の力学(社会的交換理論)など。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
好意と愛情の違いは、人間関係がうまくいく(好意、愛情を保つ)ための心理的バランスなどを理解すること。
第20回人の社会的行動(5)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
援助行動とは、援助行動の心理及び行動力学。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第4節(pp.211~217)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第21回人の社会的行動(6)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
攻撃行動とは、攻撃行動の心理及び行動力学。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第4節(pp.217~221)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第22回人の社会的行動(7)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
“人の集まり”の理解(集団・集合とは何か)。集団の構造と機能など。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第5節(pp.221~224)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第23回人の社会的行動(8)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団的影響過程①集団の中での個人から個人への影響性(権威に対する服従の心理)。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第5節(pp.224~226)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第24回人の社会的行動(9)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団的影響過程②集団から個々への影響性(集団圧力に対する同調行動の心理)。冤罪の背景心理。
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第5節(pp.226~228)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第25回人の社会的行動(10)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団的影響過程③個人から集団への影響性(リーダーシップとは、リーダーシップに関する諸理論)
【事前学習】2時間
テキスト第6章、第5節(pp.228~232)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第26回人の“発達”とは何か(1)ー人は生涯をどのように生きてゆくのかー人の発達とは、発達の視点、発達の特徴、発達に関する理論など。
【事前学習】2時間
テキスト第5章、第1節(pp.159~169)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
“人間とはどんな存在か”という命題を考える手掛かりとなるテーマであるから、十分に考えて整理しておくこと。
第27回人の“発達”とは何か(2)ー人は生涯をどのように生きてゆくのかー各発達段階の特徴(青年期の特徴及び課題など)。
【事前学習】2時間
テキスト第5章、第1節(pp.169~173)を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
青年期の段階にある諸君のこと、青年期の特徴・課題を理解し、今後の自己確立に役立てるようにすること。
第28回人が環境に適応するとはどういうことか(1)適応・不適応とはどういうことか。
【事前学習】2時間
テキスト第8章、第1節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
自身の体験を踏まえて、理解・整理しておくこと。
第29回人が環境に適応するとはどういうことか(2)心へのケア(心の健康とは、こころへのケアの方法・効果、カウンセリングの方法・効果など)
【事前学習】2時間
テキスト第8章、第2節~3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
日常生活の中で、心を安定に保つことは大変重要なことである。自身の心の健康度を分析し、少しでも安定を図れるようにすること。
第30回(学年末)確認試験と解説試験範囲は、後期分(16回以降)が中心となるが、前期分も含めた1年間分を対象とする。試験(60分間)の後
簡単な解説を加える。
【事前学習】2時間
ノート、テキストを中心に、頭の整理をしておくこと。
【事後学習】2時間
試験結果を反省し、理解不十分な箇所は補完し、1年間学んだ心理学が、全体として把握できた感じが持てるように努力すること。
授業形式 基本的にはスライドなども使用しての講義が中心であるが、“こころの科学”としての心理学をよく理解してもらうために、簡単な実験や調査を受講生を対象に実施し、そのデータを踏まえての講義なども行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
70% 10% 10% 10% 0% 100%
評価の特記事項 「中間・学年末」の両試験の成果(一方の試験を無断欠席の場合、未履修扱いとする)および出席状況・教室での意見発表や実験レポートの提出など、積極的な授業への取り組む姿勢も評価の対象とする。
テキスト 野々村、土屋、藤生ら共著『こころへのアプローチ』(新訂版)田研出版、2012.
参考文献 土屋明夫編著『発達と学習ー教育場面での心理学ー』八千代出版、2005.
田之内、土屋、和田ら共著『ガイド 社会心理学』北樹出版、2006.

オフィスアワー(授業相談) 講義に関する質問や他の相談は、基本的には、授業時や授業終了時に受けることにする。さらに、その時点で必要とあれば、講師室(学習相談室)やメールで応じる場合もある。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 人の理解には、自分自身なり人間一般に関心を持ち、その行動や心理を観察し、じっくり考えてみる姿勢が必要とされる。それ故に、授業には積極的に出席し、講義で取り上げられるテーマについては、講義終了後に、ともかく自身でもう一度考え、確認してみることが大切である。そこで生じた疑問は、そのままにせず、質問をしたり、テキストや参考文献などに目を通し、ある程度納得がいくまで“つきつめて考えてみる”ことを習慣づけてもらいたい。そのように“熟考する姿勢”が、次第に自分自身や人間全般に関心をもたせることになり、ひいては「心理学」に興味が涌くことにもつながってくる。