講義名 美術史 ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 木5
単位数 2

担当教員
氏名
王 凱

学習目標(到達目標)  紫禁城の西洋人画家の作品は当時宮廷の中で古代の宮廷画とは違う、又、文人画及び民間絵画とも異なる独特な東西融合の絵画作品であった。この授業を受けた結果、東西芸術の交流起点と、それによって明らかにされた東西美術の相違点を理解し、説明することができる。また、東西絵画の特徴とその芸術作品の鑑賞を結び付け、美術史の基礎知識を獲得することができるようになる。
授業概要(教育目的)  清王朝の康煕、雍正、乾隆三帝に仕えたジュゼッペ・カスティリオーネ(郎世寧)は、清朝宮廷西洋人画家として半世紀間、絵を描き続けた人物である。本講義では、カスティリオ-ネが目の当たりにした大清帝国の知られざる歴史について詳しく解説する。更に、私が長期に渡り関連資料を調査、研究してきた結果を踏まえ、東西芸術の相違点について解説する。また、カスティリオ-ネの絵画特徴を具体的に解説し、絵画作品の基礎知識を身に付けることで、授業終了時には美術史に対する興味になることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回オリエンテーション授業概要の説明
第2回カスティリオーネの生涯ジュゼッペ・カスティリオーネ(Giuseppe Castiglione、1688~1766)はイタリアのミラノに生まれたイエズス会の宣教師である。中国名は郎世寧、1715年には清時代の中国へわたる。西洋画の技法を中国へ伝え、美術や建築に影響を与える。事前学習:1時間 テキストのⅰ~ⅵ頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第3回カスティリオーネの早期絵画カスティリオーネの早期作品は聖書物語を主題としている。作品に絵画の透視学と構図学、そして人体解剖学などの科学方式が濃縮されている。これによって、ヨーロッパの絵画様式を学ぶ。事前学習:1時間 テキストの1~22頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第4回郎世寧の清朝宮廷での初期活動1715年8月10日に、1年4ヶ月の長期に渡る航海を経て、カスティリオーネはようやく中国大陸に足を踏み入れた。その後、「郎世寧」という中国の名前を付け、紫禁城へ入った。この間の活動について説明する。事前学習:1時間 テキストの23~29頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第5回郎世寧の清朝宮廷での初期作品郎世寧の初期絵画の作風が安定しておらず、西洋絵画と中国絵画をどのように結び合わせるかという問題についても悩んでいた。つまり、この時期は郎世寧の清朝宮廷での学習時期である。彼の作品を通して東西絵画の相違点を分析する。事前学習:1時間 テキストの29~52頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第6回「百駿図」について郎世寧は中国の伝統的な画技に西洋の透視法と西洋画の顔料を取り入れ、中西双方の趣が交錯し融合した画面を生み出した。その絵画の素材と技法について説明する。事前学習:1時間 テキストの53~69頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第7回「百駿図」に関わる作品の画風宮廷画家たちは、常に皇帝の意思に合わせて製作する。郎世寧も中国宮廷の人間関係と自分の地位を考えながら、皇帝の好む多くの絵画作品を創り出した。このような数多くの作品を鑑賞しながら、東洋絵画の寓意を解く。事前学習:1時間 テキストの70~78頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第8回「皇帝・皇后・皇妃・皇嬪」の肖像画について郎世寧は中国伝統の人相学、及び古来中国の標準的な帝王像の描き方を参考にして、西洋画法と中国画法を融合した独自の表現手法を考えながら仕上げた。中国の人物画の表現について学習する。準備学習:テキストの79~92頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第9回「心写治平図」と「香妃像」について中国人は「陽」を描き、「陰」を避ける考え方で作品を描いた。このような中国人の美意識を考えながら、新たな清朝絵画を多く作り出している。東西文化の相違点を解釈する。事前学習:1時間 テキストの92~111頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第10回皇帝狩猟図について朗世寧は、熱河、木蘭、避暑山荘、万樹園という場所を毎年皇帝とともに訪れ、多くの作品を描いた。それらの写実的な作品を鑑賞しながら中国の歴史と彼の絵画手法を解説する。事前学習:1時間 テキストの113~136頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第11回銅版画について郎世寧は西洋人宮廷画家として多くの銅版画の下絵を創り出した。彼の銅版画はヨーロッパに送られ、大きな影響を与えた。その時代の銅版画の技術と手法を説明する。事前学習:1時間 テキストの137~154頁を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第12回郎世寧の晩期絵画郎世寧が古稀後に描いた「白鷹図」、「白海青図」、「青羊図」、「交趾果然図」、「白猿図」などの傑作がある。これらの作品を通して東西絵画の融合と表現を学ぶ。事前学習:1時間 テストの155~170頁を予め読んでおくこと。事後学習:2時間 授業内容をよく復習し、試験に備えること。
第13回小テスト及び解説従業を通して学んだことの小テスト及び解説。事前学習:2時間 授業内容をよく復習し、試験に備えること。事後学習:1時間 参考資料(郎世寧の作品の収蔵と整理)を予め読んでおくこと。
第14回郎世寧の作品の収蔵と整理郎世寧の生涯の作品数は膨大で、各国の美術館、博物館、個人などに収蔵されている。それぞれの作品の年代の確認と収蔵国別を詳細に纏めて説明する。事前学習:1時間 参考資料(郎世寧の作品の収蔵と整理)を予め読んでおくこと。事後学習:1時間 授業内容をよく復習し、授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第15回理解度の確認東西美術の相違点とその特徴についてのまとめ。。事前学習:2時間テキストを予め読んでおくこと。
授業形式 テキストを使用し、多くの絵画作品を紹介する。また、関連資料として「郎世寧(カスティリオーネ)」というDVD)の鑑賞を行った後、授業内容に関する小レポートを提出して頂く。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 0% 50% 50% 0% 100%
評価の特記事項 平常点として授業期間のテスト(テキスト・ノート持込み可)、出席(小レポート)の評価を合わせて総合的に評価。
テキスト 『紫禁城の西洋人画家』王凱著(大学教育出版)
参考文献 特になし
オフィスアワー(授業相談) 初回の授業時に指示する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 教科書を毎回持参すること。
美術の分野に興味を持っていること。
多くの絵画作品を鑑賞すること。
授業中の私語は禁止であるので、学習に真剣に取り組む姿勢が求められる。