講義名 経済地理学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水1
単位数 4

担当教員
氏名
宮地 忠幸

学習目標(到達目標) 本講義では,以下の能力を身につけることを目指します。
1.経済地理学の見方・考え方を理解し,経済現象の地域的差異の特徴やその要因を説明できる。
2.立地論と経済地誌の視点から,日本における産業立地の地域性,地域問題の諸相を理解し,説明できる。
授業概要(教育目的) 本講義では,次のような流れで経済地理学的見方,考え方を解説していきます。前期は,経済地理学の方法論の特性を解説したうえで,経済現象の地域的差異とその要因を具体的に捉えていきます。また,経済地理学の方法論の一つである立地論を軸に,経済現象の地域的差異が生じるメカニズムを理論的に解説します。後期は,日本の経済地域の多様な展開と特性を経済地誌の視点から学んでいきます。教科書に沿って,アクティブラーニングの手法を取り入れ,日本の地域性や地域構造を理解するとともに,今日の日本が抱える地域問題の多様性を学んでいきます。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス経済現象の地域的差異を把握することの重要性を考える。あわせて,講義の進め方,成績評価方法,出席カードの取り扱い等についても説明する。
【事前学習】2時間
シラバスをよく読んだうえで,この講義を受講する理由や必要性について考えておくこと。
【事後学習】2時間
テキストや参考書を準備し,次回の授業内容を確認しておくこと。
第2回「経済地域」の捉え方
経済地理学の対象や方法論の潮流について解説し,今日における経済地理学の課題について検討する。
【事前学習】2時間
テキストの第1章を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第3回日本の人口分布と産業立地の関係性日本における人口分布,人口移動の変化と現局面を解説し,その背後にある産業立地の地域差,所得格差について解説する。
【事前学習】2時間
テキストの第2章第1節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第4回産業立地と地域間所得格差の分析手法立地係数分析やジニ係数分析を紹介し,産業立地や地域間所得格差の分析の必要性を解説する。
【事前学習】2時間
テキストの第2章第1節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第5回日本農業の特徴とその変化
 
世界のなかにおける日本農業の特徴を確認するとともに,農業問題の現局面について解説する。
【事前学習】2時間
テキストの第2章第2節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第6回農産物産地の立地特性とその要因(1)主要農産物の産地立地の特徴を把握しながら,農産物立地の要因について解説する。
【事前学習】2時間
第5回の授業時に紹介する参考文献を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第7回農産物産地の立地特性とその要因(2)
「自由化時代」の日本農業が直面する課題と新たな可能性を解説する。
【事前学習】2時間
第6回の授業時に紹介する参考文献を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第8回農産物産地の理論的整理(1)農業立地論(チューネンモデル)の特徴と理論的背景について解説する。
【事前学習】2時間
参考書(富田)の第1部を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第9回農産物産地の理論的整理(2)農業立地論(チューネンモデルおよびシンクレアモデル)の特徴と理論的背景について解説する。
【事前学習】2時間
第8回の授業時に紹介する参考文献を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第10回日本工業の特徴とその変化世界のなかにおける日本工業の特徴を確認し,工業を取り巻く産業問題の現局面について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第2章第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第11回工業の立地特性とその要因(1)基礎素材型産業の立地特性について,鉄鋼業と石油化学工業を事例に,その立地動向と要因について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第2章第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第12回工業の立地特性とその要因(2)加工組立型産業の立地特性について,自動車産業を事例に,その立地動向と要因について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第2章第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第13回工業立地の理論的整理(1)工業立地論(ウェーバーの工業立地論)の特徴と理論的背景,現代工業への適用可能性について解説する。
【事前学習】2時間
参考書(富田)の第2部を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第14回工業立地の理論的整理(2)工業立地論(マーシャルの集積論)の特徴と理論的背景,現代工業への適用可能性について解説する。
【事前学習】2時間
第13回の授業時に紹介する参考文献を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第15回前期のまとめ(前期試験〔小テスト〕実施)
+後期の発表授業の予告
前期の内容に関するテストを実施する。
※必ず受験すること。
後期の「経済地誌」の発表授業の進め方について説明する。
【事前学習】2時間
前期の授業内容を復習すること。
【事後学習】2時間
前期の授業内容を見直し,後期の授業へ向けて準備しよう。
第16回日本の流通産業の特徴とその変化世界のなかにおける日本の流通産業の特徴を確認し,流通産業問題の現局面を解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第2章第4節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第17回流通産業の立地特性とその要因小売業を事例に,小売業の立地変化とその要因について解説する。
【事前学習】2時間
テキストの第2章第4節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第18回サービスの供給範囲の理論的整理中心地理論(クリスタラー理論)を通して,財やサービスの到達範囲とその「限界」について解説する。
【事前学習】2時間
参考書(富田)の第3部を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第19回サービス供給と地理的障壁医療サービスを事例に,空間克服へ向けた動きを紹介する一方で,その「限界」について解説する。
【事前学習】2時間
第18回の授業時に紹介する参考文献を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第20回日本の地域構造の特徴と経済地誌矢田俊文の『地域構造の理論』に基づいて,産業立地の地域性に基づく地域構造の特徴について整理するとともに,次週以降の経済地誌学習の手順,課題を説明する。
【事前学習】2時間
第19回の授業時に紹介する参考文献を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第21回「中心地域」の特性(1)
東京大都市地域,京阪神地域
受講生による発表を通して,東京大都市地域,京阪神地域の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第3章第1節,第2節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第22回「中心地域」の特性(2)
中京地域
「中間地域」の特性(1)
北関東地域
受講生による発表を通して,中京地域,北関東地域の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第3章第3節,第5章第1節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第23回「中間地域」の特性(2)
東山地域,東海地域
受講生による発表を通して,東山地域,東海地域の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第5章第2節,第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第24回「中間地域」の特性(3)
北陸地域,山陽地域
受講生による発表を通して,北陸地域,山陽地域の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第5章第4節,第5節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第25回「中間地域」の特性(4)
北九州地域
「周辺地域」の特性(1)
北海道
受講生による発表を通して,北九州地域,北海道の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第5章第6節,第4章第1節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第26回「周辺地域」の特性(2)
東北地域,四国地域
受講生による発表を通して,東北地域,四国地域の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第4章第2節,第3節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第27回「周辺地域」の特性(3)
南九州地域,沖縄地域
受講生による発表を通して,南九州地域,沖縄地域の特性を,人口,産業,地域開発の諸側面から学ぶ。
※発表後に,教員から解説を加える。
【事前学習】2時間
テキストの第4章第4節,第5節を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第28回戦後日本の地域開発の歴史(1)特定地域開発から全総,二全総にかけての地域開発の理念と実態について解説する。
【事前学習】2時間
テキストの第6章を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第29回戦後日本の地域開発の歴史(2)三全総以降の地域開発の理念と実態,とりわけ国土形成計画法の下で実施される地域開発の目指す姿について解説する。
【事前学習】2時間
テキストの第6章を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第30回一年間の授業のまとめ日本の地域構造の特徴を再確認するとともに,新たな地域システムの構築へ向けた課題,論点を整理する。
【事前学習】2時間
テキストの第6章を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,学期末試験へ向けた準備をしておくこと。
授業形式 本講義は,前期と後期で授業形式が異なります。前期は,教科書に沿って講義形式で行います。適宜,視聴覚教材を活用しながら,日本の人口,農業,製造業,流通産業の特質を講じていきます。後期は,アクティブラーニングの手法を用いて,日本の経済地誌を発表形式+教員による解説を通して学んでいきます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
40% 0% 40% 5% 15% 100%
評価の特記事項 「評価方法」にある「小テスト」とは前期試験のことです。また,「その他」は後期の発表内容(2回分),「授業への参画度」は発表授業の評価票のコメント内容のことです。受講生には,2/3以上の出席を求めます。
テキスト ・竹内淳彦・小田宏信編(2014):『日本経済地理読本 第9版』東洋経済新報社,2300円(税別).
参考文献 ・富田和暁(2006):『新版 地域と産業-経済地理学の基礎-』原書房,2000円.
・松原宏編(2013):『現代の立地論』古今書院,2800円.
・矢田俊文編(1990):『地域構造の理論』ミネルヴァ書房(絶版).
※朝倉書店から刊行されている『日本の地誌』,二宮書店から刊行されている『日本地誌』シリーズなども適宜参照してください。授業中にも紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 火曜日2時限目の時間帯とします。ただし,受講生の要望に応じて,適宜対応します。授業相談は,メールアドレスを公開しますので,メールでアポイントメントをとってからきてください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 極力,火曜日4時限目もしくは金曜日2時限目に開講される「都市・農村システム論」とあわせて履修してもらいたいと思います。シラバスや授業時に明示したテキスト,参考書から主体的に学習してください。