講義名 財政学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月5
単位数 4

担当教員
氏名
金子 光

学習目標(到達目標)  財政の役割とその仕組みに関して理解を深めるとともに、政策論に必要な分析手法を重点的に
修得することで、予算・税制・公債・社会保障・地方財政などの問題を分析し、政策形成に資する
能力を身に着けることができるようになることを目標とします。

授業概要(教育目的)  本講義では、ミクロ経済学・マクロ経済学の理論を概説した上で、現在の日本が直面している様々な政策課題に焦点をあてながら、国や地方公共団体などの公共部門が果たす役割を理論面・制度面・政策面から考察を行います。

授業計画表
 
項目内容
第1回      財政学の潮流 
  財政学の分析視角について説明した上で、「市場の失敗」と政府の役割、
  財政学と政策形成の関連について明らかにする。
 
  【事前学習】 2時間
  「財政学の対象」について、調べること
  
  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第2回      財政の3機能  
  「財政の3機能」の今日的課題として、「アベノミクス」、「格差社会と財政の役割」、
  「東日本大震災と財政の役割」を取り上げる。

  【事前学習】 2時間 
  「『財政の3機能』の今日的課題」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第3回      財政民主主義 
  憲法の条文を踏まえて、財政民主主義と「政府の失敗」、会計検査院の役割などに
  ついて明らかにする。

  【事前学習】 2時間
  「憲法における財政の条文」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第4回       予算論(1)  
  予算原則、予算の循環について説明した上で、増分主義的予算編成の課題を
  明らかにする。
 
  【事前学習】 2時間
  「予算の循環における決算の位置づけ」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第5回       予算論(2)  
  政権交代により、予算編成過程がどのように変化したか、明らかにする。
  
  【事前学習】 2時間
  「平成31年度予算の編成・配分の特徴」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第6回    財政の持続可能性    
  プライマリー・バランス論、ドーマーモデル、「利子率と成長率」論争など、
  財政規律に関する議論を検討する。

  【事前学習】 2時間
  「プライマリー・バランスに関する議論」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第7回     予算制度改革   
  NPMの潮流を踏まえて、OECD主要国における財政再建の取り組みについて
  検討する。

  【事前学習】 2時間
  「日本の財政再建の取り組み」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第8回        政策評価  
  政策評価に関する理論を概観し、PPBSの意義と問題点について検討する。
  
  【事前学習】 2時間
  「費用便益分析」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第9回        政府収入    
  租税収入や公債収入について、日本の財政運営の推移を明らかにする。

  【事前学習】 2時間
  「潜在的国民負担率」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第10回      租税の理論   
  租税の意義と原則、租税の転嫁と帰着、従価税と従量税などについて取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「租税の意義と原則」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第11回       所得税          
  所得税の基本的構造、包括的所得税の理論と問題点、労働供給と所得税など
  について取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「所得税の理念」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第12回        法人税     
  法人税の課税根拠、二重課税の調整、海外直接投資と国際課税などについて
  取り上げる。
  
  【事前学習】 2時間
  「法人実効税率引き下げに関する議論」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第13回        消費税  
  一般売上税の特徴、付加価値税のメカニズムについて説明した上で、
  先進国の付加価値税について検討する。
  
  【事前学習】 2時間
  「消費税増税をめぐる議論」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第14回        資産税   資産移転税の意義、資産保有税の種類と特徴などについて取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「資産税におけるフローとストック」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第15回     試験及び解説  
  試験及び解説

  【事前学習】 2時間
   前期の総括をすること
 
  【事後学習】 2時間
   試験の内容をよく復習すること

第16回      公債発行    公債発行の必要性、公債の経済効果、公債負担論、リカード=バローの中立命題
  について、取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「公債の経済効果」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第17回      社会保障(1)   
  社会保障の体系、社会保障の財源問題について説明した上で、マクロ経済スライドに
  関する議論を検討する。
  
  【事前学習】 2時間
  「社会保障の体系」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第18回      社会保障(2)   
  社会保障の体系、社会保障の財源問題について説明した上で、マクロ経済スライドに
  関する議論を検討する。
  
  【事前学習】 2時間
  「社会保障と税の一体改革」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第19回     社会資本整備    
  社会資本整備重点計画、公共投資と目的税、道路特定財源制度などについて
  取り上げる。
  
  【事前学習】 2時間
  「公共事業関係費のシェアの推移」について、調べること 

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第20回   グローバル化と財政     
  開放経済下の財政政策、マクロ経済政策の国際協調などについて取り上げる。
  
  【事前学習】 2時間
  「Sustainable Development Goals(SDGs)とODA改革」につて、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第21回       財政投融資  
  財政投融資の機能や特徴、活動分野などについて取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「財政投融資の改革」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第22回      地方財政(1)   
  オーツの分権化定理、ティブー仮説(足による投票)、ヤードスティック競争について
  概観した上で、平成の大合併について検討する。

  【事前学習】 2時間
  「市町村合併の課題」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第23回      地方財政(2)  
  地方交付税の機能と課題、地方債と金融市場などについて取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「予算制約のソフト化」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第24回   財政のマクロ経済分析    
  財政のマクロ経済分析について、ケインズモデル、ハロッド=ドーマーの成長理論、
  ソロー・モデルを取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「ソロー・モデル」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第25回    環境問題と財政政策  
  環境問題について、外部性、コースの定理、ピグー税と補助金、ボーモル・オーツ税
  などについて取り上げる。
  
  【事前学習】 2時間
  「グリーン・ニューディール」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第26回      公共財の理論    
  公共財の概念、公共財の最適供給(サミュエルソン条件)などについて取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「サミュエルソン条件」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第27回     公共選択論  
  コンドルセのパラドックス、官僚制と予算最大化、コモンプール問題などを
  取り上げる。

  【事前学習】 2時間
  「コンドルセのパラドックス」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第28回   日本の財政の未来(1)   
  日本の財政の課題として、「東京五輪(2020)と政策課題」、「財政再建と行政改革」、
  「小子化時代の政策形成」について、検討する。

  【事前学習】 2時間
  「東京五輪(2020)に関連する予算」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第29回   日本の財政の未来(2)  
  日本の財政の課題として、「東京五輪(2020)と政策課題」、「財政再建と行政改革」、
  「小子化時代の政策形成」について、検討する。

  【事前学習】 2時間
  「財政再建と行政改革」について、調べること

  【事後学習】 2時間
   授業内容をよく復習した上で、授業時に提示した課題に取り組むこと

第30回     試験及び解説  
  試験及び解説

  【事前学習】 2時間
   後期の総括をすること
 
  【事後学習】 2時間
   試験の内容をよく復習すること

授業形式  主に講義形式で行いますが、場合によってグループワークも行います。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
40% 20% 20% 20% 0% 100%
評価の特記事項   政策課題を分析し政策を形成する能力について、定期試験・レポート・小テストなど
様々な観点から総合的に評価します。
テキスト   必要に応じてレジュメ等を配布します。
参考文献   講義の際、各回の内容に基づいて、適宜紹介します。
オフィスアワー(授業相談)   本授業終了後、18:00から19:30まで、本館2階講師室にて対応しています。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ   アベノミクス、東京五輪(2020)の政策課題、消費税の軽減税率、法人税の税率引き下げ、
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などはすべて財政学の研究対象です。
  講義では、ミクロ経済学・マクロ経済学の理論を概説した上で、財政学が現実の政策課題へ
如何に応用されるか考察します。
  政治・経済が重要な局面を迎えるなか、様々な政策課題を皆さんと共に考えていきたい
と思います。