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学習目標(到達目標) |
本講義では,以下の能力を身につけることを目指す。
1.様々な経済指標の意味を理解し, 我が国の財政の現状と課題を説明することができる。
2.財政問題, 経済政策を系統的に理解し, 財政についての様々な論調に対する判断能力を獲得できる。
3.自分の出身都市の財政的な特徴を理解し, 自らの言葉で説明することができる。 |
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授業概要(教育目的) |
本講義では, 国や地方公共団体などの公共部門の経済活動を取り上げる。
現在の日本が直面している諸問題にも具体的に言及しながら, 政府の機能と役割について考察する。本講義を通じて, 政策形成に携わることができるための基礎能力を身につけること, また納税者として税が適切に使われているかを評価することができる能力を習得することを目的とする。 |
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授業計画表 |
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回 | 項目 | 内容 |
第1回 | 1-1.イントロダクション | この講義の概要と受講についての留意点, 評価の方法について説明する。
我が国の財政状況の概要を解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容を復習し, ポイントを整理すること。 | 第2回 | 2-1.財政の機能と仕組 | 公共部門の役割について考察する。
公共財の経済的な性質を明らかにする。
個人の公共財の需要形成について考える。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「財政の三機能」とは何かを調べておくこと。
【事後学習】2時間
第2回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】財政の三機能, 純粋公共財 | 第3回 | 2-2.財政の機能と仕組 | 「市場の失敗」の例を紹介する。
その典型的な例として, 「外部性」に関する諸問題を考察する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「外部不経済」とは何か, またそれが発生した時の対処の方法を考えておくこと。
【事後学習】2時間
第3回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】外部不経済, ピグー税, コースの定理 | 第4回 | 2-3.財政の機能と仕組 | 公共財の最適な供給水準について理論的に検討する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「サムエルソンのルール」とは何かを調べておくこと。
【事後学習】2時間
第4回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】サムエルソンの公式, ナッシュ均衡, リンダール均衡 | 第5回 | 3-1.財政の現状と課題 | 経済復興期から現在までの我が国の財政の現状を解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「小さな政府」が支持された背景を調べておくこと。
【事後学習】2時間
第5回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】ニクソン・ショック, 小さな政府, ペイアズユーゴー原則, 基礎的財政収支 | 第6回 | 4-1.予算編成 | 予算制度について解説する。
予算の編成から執行・決算までの一連の流れを理解する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。平成29, 30年度の一般会計予算総額, 特別会計予算総額, 政府関係機関予算総額を調べておくこと。
【事後学習】2時間
第6回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】会計年度, 予算の形式, 一般会計, 特別会計 | 第7回 | 4-2.予算編成 | 我が国の歳入・歳出構成の推移を概観し, 直近の我が国の財政状況を統計資料を用いて読み解く。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「国民負担率」とは何か。また「潜在国民負担率」とは何かを調べておくこと。
【事後学習】2時間
第7回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】一般会計, 公債依存度, 国民負担率 | 第8回 | 5-1.国の歳出 | 我が国の社会保障制度について解説する。
社会保障の給付と負担の関係を財務省のデータを用いて考察する。
日本の社会保障の特徴を見る。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。社会保障を政府が行う根拠を考えておくこと。
【事後学習】2時間
第8回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】社会保障, 合計特殊出生率, 社会保障給付 | 第9回 | 5-2.国の歳出 | 我が国の医療費を多面的に解説し, 今後の医療制度改革の課題を考える。
また介護保険制度導入の経緯と意義を検討する。
高齢化と家計貯蓄率の関係についても言及する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。医療費が何故増えているのかその原因を検討したうえで, 医療費増加への対応策を考えておくこと。
【事後学習】2時間
第9回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】国民皆保険制度, 医療費, 後期高齢者, 介護保険制度 | 第10回 | 5-3.国の歳出 | 我が国の生活保護制度と公的年金制度の意義と課題について検討する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「公的年金」が強制加入である理由を考えておくこと。
【事後学習】2時間
第10回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】生活保護制度, マクロ経済スライド, 賦課方式 | 第11回 | 5-4.国の歳出 | 公的年金の2期間モデルを使って, 公的年金の賦課方式と積立方式の家計への影響について考察する。さらに公的年金の導入が貯蓄あるいは労働供給にどのような影響を及ぼすかについて検討する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。公的年金の賦課方式と積立方式について調べておくこと。
【事後学習】2時間
第11回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】賦課方式, 積立方式 | 第12回 | 6-1.財政政策の効果 | 45度線モデルを使って, 乗数効果について解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。 各自が持っているマクロ経済学のテキストの該当箇所を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第12回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】乗数効果, 消費関数 | 第13回 | 6-2.財政政策の効果 | IS-LMモデルの導出方法を学ぶ。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。各自が持っているマクロ経済学のテキストの該当箇所を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第13回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】IS曲線, LM曲線 | 第14回 | 6-3.財政政策の効果 | IS-LMモデルから財政・金融政策の効果を考える。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。各自が持っているマクロ経済学のテキストの該当箇所を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第14回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】財政・金融政策, 流動性の罠 | 第15回 | 理解度の確認 | 第1回から第14回までの内容の理解度を確認するために, 小テストを行う。
【事前学習】2時間以上
第1回から第14回の講義ノートを見直し, 練習問題を解いておくこと。
【事後学習】2時間
テスト内容を復習し, ポイントを整理すること。 | 第16回 | 前期の総復習 | 前期に学習した内容の総復習を行う。
【事前学習】2時間
第1回から第14回の講義ノートを見直しておくこと。
【事後学習】2時間
本日の授業内容を復習し, ポイントを整理すること。 | 第17回 | 7-1.租税の制度 | 課税の理論,租税の原則を解説する。直接税と間接税の違い, また垂直的公平と水平的公平を区別する。さらに所得税についても検討する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。直接税と間接税の例を挙げなさい。またそれぞれのメリットとデメリットを考えておくこと。
【事後学習】2時間
第17回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】応能原則, 応益原則, 租税原則, 所得税 | 第18回 | 7-2.租税の制度 | 法人税と消費税について解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。消費税増税について自分の考えをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第18回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】法人税, 消費税, 軽減税率 | 第19回 | 8-1.租税の理論 | 税の納税義務者と負担者は必ずしも一致しないことを確認する。
課税が消費者と生産者の負担にどのように帰着するかについて解説する。さらに需要・供給の価格弾力性が税負担の割合に左右することを説明する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。各自が持っているミクロ経済学のテキストの「需要・供給の価格弾力性」に関する箇所を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第19回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】租税の帰着, 需要・供給の価格弾力性 | 第20回 | 8-2.租税の理論 | 課税の経済効果を考える。
資源配分上の損失(超過負担)を最小に食い止める課税について検討する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。各自が持っているミクロ経済学のテキストの「余剰」に関する箇所を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
第20回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】従量税, 従価税, 超過負担 | 第21回 | 8-3.租税の理論 | 課税が人々にどのようなインセンティブをもたらすのかを, 所得税が労働供給に与える影響を例に挙げて考察する。さらに, 包括所得税と支出税について解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。課税の効率性と公平性について自分の考えをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第21回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】効率性,公平性, 包括所得税, 支出税 | 第22回 | 8-4.租税の理論 | 所得の再分配を巡る問題を考える。
さらに, 超過負担が税率や税収そして需要の価格弾力性とどのような関係にあるのかを解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。「負の所得税」とは何か調べておくこと。
【事後学習】2時間
第22回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】負の所得税, ラムゼイルール | 第23回 | 9-1.地方財政 | 国と地方政府の役割の違いを理解し, 地方分権定理について学ぶ。
その際, 便益のスピルオーバーについても言及する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。それぞれの出身都市の財政状況, 特徴的な取り組み等について調べてておくこと。
【事後学習】2時間
第23回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】オーツの分権定理, 便益のスピルオーバー | 第24回 | 9-2.地方財政 | 地方公共団体の財政力を示す指標を紹介する。
地域間の財政力格差の是正と公共サーヴィスの地域間の公平性を確保するための財源移転について解説する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。第24回の講義ノートで取り上げている財政指標について調べておくこと。
【事後学習】2時間
前回の事前・事後学習と本日の講義内容を参考にして『○○市の財政について」と題したレポート作成に取りかかること。
【キーワード】ティブーの足による投票, 財政力指数, 地方交付税交付金 | 第25回 | 10-1.財政投融資 | 財政投融資制度とは何かを説明する。平成13年度の抜本的改革が行われた背景を知ることによって, 制度の在り方を考察する
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。 財政投融資はどのようなことに使われているのか調べておくこと。
【事後学習】2時間
第25回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】財政投融資, 財政投融資計画 | 第26回 | 11-1.国債 | 公債負担の伝統的な議論を紹介し, 公債が家計の行動にどのような影響を及ぼすのかを考える。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし,よく読んでおくこと。公債にはどのような種類があるのかを調べておくこと。
【事後学習】2時間
第26回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】バローの中立命題,公債の負担転嫁論 | 第27回 | 11-2.国債 | 公債発行がいかなる場合に正当化されるかについて検討し, 公債発行が生み出す負担について解説する。さらに, 租税との比較によって公債についての理解を深める。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。租税と公債の違いを調べておくこと。
【事後学習】2時間
第27回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】公債管理政策 | 第28回 | 12-1.財政の今後 | これまで学んできた内容を踏まえ, 日本の今後の財政状況を展望する。また, 我が国の経済と世界の経済との繋がりについても言及する。
【事前学習】2時間
EcoLinkから資料をダウンロードし, よく読んでおくこと。日本の財政が抱える課題をまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第28回の講義ノートを復習し, ポイントを整理すること。
【キーワード】税収弾力性, ODA | 第29回 | まとめ | 第16回から第28回の総復習を行う。また, これまでの講義内容に関する練習問題を出題し, 解説する。
【事前学習】2時間
第16回から第28回の講義ノートを見直しておくこと。
【事後学習】2時間
本日のプリントを含め, これまでの練習問題を再度やり直すこと。 | 第30回 | 確認試験と解説 | 授業を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
【事前学習】3時間以上
第16回から第28回の講義ノート, 第29回の練習問題を見直しておくこと。
【事後学習】2時間
次年度履修する専門科目の理解を助けることができるように本講義の内容を統計的に復習すること。 |
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授業形式 |
パワーポイントと黒板を併用した講義形式で行う。
講義ノートををEcolinkにアップロードするので, 各自印刷して持参すること。 |
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評価方法 |
定期試験
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レポート
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小テスト
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授業への
参画度
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その他
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合計
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60% |
10% |
20% |
10% |
0% |
100% |
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評価の特記事項 |
定期試験と小テストを実施する。また講義の終了間際にその日に扱った内容を確認する課題を提出してもらうこともある。それを「授業への参画度」として, 試験の成績・レポートと共に総合的に評価する。 |
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テキスト |
特になし。 |
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参考文献 |
①宇波弘貴著『図説 日本の財政 平成29年度版』東洋経済新報社,2017年,2600円(税抜).
②小塩隆士著『コア・テキスト財政学』新世社,2380円(税抜).
③井堀利宏著『財政 第3版』岩波書店,2700円(税抜).
④土居丈朗著『入門財政学』日本評論社,2800円(税抜).
⑤持田信樹著『財政学』東京大学出版社,2800円(税抜).
など |
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オフィスアワー(授業相談) |
授業時に指示する。 |
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事前学習の内容など,学生へのメッセージ |
財政学で扱う問題は, 皆さんの身近にたくさんあります。例えば, 消費税率引き上げ, 年金問題, 少子高齢化問題, 環境問題など多岐に渡ります。日々の暮らしの中で色々なことに興味・関心を持って下さい。その好奇心が財政学を理解する上で不可欠です。授業後は講義ノート等を見直し, 計算問題などは何度も自分で解き直してみて下さい。講義への積極的・継続的な出席を希望します。 |
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