講義名 財政学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金3
単位数 4

担当教員
氏名
常木 淳

学習目標(到達目標) 政府の経済活動としての財政とは具体的にどのようなものであり、それはどのような意義を持っているのか、個人の権利を侵害するものではないのか、といった問題意識に基づいて、具体的な財政現象に伴う意義や問題点について、経済学のロジックに即した考察をできるようになります。
授業概要(教育目的) 国家、政府と個人との法的・経済的関係の基本的構造を説明するところから始めて、政府支出の現状と課題、税制の具体的なあり方、福祉・年金制度の現状と問題点など、生活に深くかかわる具体的な問題にまで立ち入ってできるだけ詳しく説明してゆきます。
授業計画表
 
項目内容
第1回1.イントロダクション 本講義の目標と講義の進め方について、基本的なガイダンスをします。
【事前学習】2時間
財政とは何か、自分なりのイメージを作ってきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第2回2.政府の基本的な目的と機能―治安維持【事前学習】2時間
参考文献「法律家をめざす人のための経済学」の第4章を読んで、囚人のジレンマを理解してきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第3回3.国家主権と法の支配国家には、個人に対する主権という強制力がありますが、この主権は法に基づいて制約を受けます。両者の関係について検討します。
【事前学習】2時間
主権と法とは何か、自分なりのイメージを作ってきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第4回4.憲法と経済的制度日本国憲法に基づいて、基本的な法制度の経済的側面について説明します。
【事前学習】2時間
日本国憲法を読んで、経済現象とかかわる部分を見つけてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第5回5.憲法の経済効果憲法による基本権保障が持っている重要な経済効果について説明します。
【事前学習】2時間
経済が発展している国の多くは、国民に対する権利保護が確立しているのはなぜか考えてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第6回6.財政制度の法的構成日本の財政制度は、憲法に基づくどのような構造を持っているのか説明します。
【事前学習】2時間
予算や税制について法律で定められているのはなぜか、考えてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第7回7.国民主権と福祉国家現代の日本をはじめとする民主主義国家は福祉国家といわれています。その意味と問題点について説明します。
【事前学習】2時間
民主主義と福祉国家について、自分なりのイメージを作ってきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第8回8.日本財政の現実日本の財政の現状について数量的な展望を行い、夜警国家から福祉国家への移行が進んでいることを確認する。
【事前学習】2時間
日本財政の現状に関する基礎的な数量データについて、調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第9回9.予算の制度とプロセス日本における予算の制度と、それに基づく現実の予算プロセスについて概説します。
【事前学習】2時間
現代日本における予算のプロセスについて、調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第10回10.公共財の理論と現実現実に供給されている公共財やサービスは、教科書の説明にあるようなものか、批判的に検討します。
【事前学習】2時間
参考文献「法律家をめざす人のための経済学」の第26章を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第11回11.費用便益分析政府が公共財を供給するにあたっては、費用便益分析を行うことが求められています。その方法論について説明します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の5.1、5.3、5.4、5.10を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第12回12.地方財政の意義と課題地方財政の基本的な意義と、日本の現実の地方財政が持つ問題点について検討します。
【事前学習】2時間
テキスト日本の地方財政の現状について、調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第13回13.地方交付税と地方分権日本の地方財政の最も重要な特色である地方交付税制度について説明し、それが国家全体の資源の配分にどのような影響を与えているかを検討します。
【事前学習】2時間
日本の地方交付税制度について、調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第14回14.日本の税体系の現状日本の税制の仕組みや機能について、展望的に考察します。
【事前学習】2時間
日本の税制の現状について、調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第15回15.国税と地方税との役割分担国税と地方税とは、課税ベースや税率などでどのように異なっているか、その根拠は何か、説明します。
【事前学習】2時間
現代日本における主な国税と地方税について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第16回16.税の転嫁と帰着課税は、直接の負担者だけではなく広く国民全体で負担されることを、転嫁、帰着という概念に基づいて説明します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の1.4と6.1前半を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第17回17.税の超過負担税の一部は、富の再分配ではなく、社会全体にとって無駄になることを説明します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の1.4と6.1の後半を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第18回18.所得税と消費税の差異(1)所得税と消費税とは、経済効果の点でどのような違いがあるのか検討します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の6.2、6.3を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第19回19.所得税と消費税の差異(2)前回の結論を動態的経済のケースに拡張します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の6.4を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第20回20.社会的厚生関数財政担当者が念頭に置くべき規範的価値基準である社会的厚生関数について概説します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の7.1を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第21回21.最適な税体系-理論的考察社会的に最適な税体系の構造に関する理論的な基礎を概説します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の6.6、7.3を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第22回22.負の所得税経済理論的な根拠を持ち、かつ政策的な執行にも実効性のある政策としての負の所得税について説明します。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の7.8を読んできてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第23回23.日本の所得課税の現状現実の日本の所得課税について制度と実態とを概観します。
【事前学習】2時間
日本における所得税制の現状について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第24回24.日本の消費課税の現状日本の消費課税の現状について、制度と実態とを概観します。
【事前学習】2時間
日本における消費税制の現状について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第25回25.法人税の意義と実態日本の税体系において大きな位置を占めている法人税の実態を概説し、その理論上の根拠を検討します。
【事前学習】2時間
日本における法人税制の現状について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第26回26.社会保険日本の福祉政策において大きな部分を占める社会保険と、その経済効果に関する概説を行います。
【事前学習】2時間
テキスト「公共経済学」の7.4を読んできてください。また、日本における医療保険、介護保険の現状について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第27回27.公的年金今日、重要な政策イッシューになっている公的年金の制度と実態とについて展望します。
【事前学習】2時間
日本における公的年金制度の現状について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第28回28.日本の財政赤字近年の日本において、政策上問題視されている財政赤字について、現状とその原因について考察します。
【事前学習】2時間
日本における財政赤字の現状について調べてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第29回29.財政赤字の経済効果巨額の財政赤字は、どのような経済効果をもたらすのかについて、基本的な理論的考察を行います。
【事前学習】2時間
「このまま、財政赤字を放置すれば、日本は破産する。」という議論は正しいのか、そもそもどういう意味なのか、考えてきてください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
第30回30.まとめと質問講義全体を振りかえって、基本的な論点を整理し、儒教者の質問に答えます。
【事前学習】2時間
講義の感想や質問を考えて来てください。
【事後学習】2時間
授業の内容をノートにとって、内容の理解度を確認してください。
授業形式 講義形式です。経済学の理論を現実的な財政の問題とどのように結び付けて応用してゆくのか、というところに注意して講義を進めます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
75% 0% 25% 0% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験の結果が主ですが、授業中に小テストを課して成績評価に際して考慮します。







テキスト 常木淳「公共経済学」第2版、新世社、2002年、2,100円(税抜).
参考文献 常木淳「法律家をめざす人のための経済学」、岩波書店、2015年、3,800円(税抜)
その他の参考文献は、授業中に指示します。
オフィスアワー(授業相談) 時間については、授業時に指示します。事前にメールによるアポイントメントを取ること。メール・アドレスは、授業時に指示します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 事前の予習は、全部わかる必要はありません。自分なりに考えたり、調べてみることが良い勉強になります。ちょうど旅と同じで、全部ガイドブックに頼るのではなく、自分の足で歩いてこそ初めて見えてくる大切な景色があります。授業中は、必ずノートを取りましょう。パワーポイントの画面や教科書を眺めていただけでは、知識は身につきません。授業後にはノートを見て、自分がどの程度理解しているかを確認してください。