講義名 金融政策論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月2
単位数 4

担当教員
氏名
柳沼 寿

学習目標(到達目標) 1.マクロ経済と金融市場における中央銀行の機能や政策手段の効果をマクロモデ 
  ル・期待形成・貨幣乗数・裁定取引等の理論を用いて理解できる。
2.日本や先進国の事例を通して金融政策における公開市場操作(オープン・マー
  ケット・オペレーション)の実際と期待等 を通じる効果の実態がわかる。
3.金融市場のリスクとリスク管理手法などを通して信用秩序維持政策の内容と期 
待される効果について理解できる。
4.レポート作成やグループ討論に参加して、資料を調べる力や議論をする力を身 
に付けられる。
授業概要(教育目的) 本講義は、マクロ経済モデルおよび金融市場における貨幣の需要と供給の概念を基礎として、中央銀行の金融政策による貨幣供給の経路や効果について議論する。日本をはじめとする先進国経済におけるデフレ下の金融政策がどれだけの効果を持つかを、モデルや理論ばかりでなく新聞等の情報から得られる現実の動向とかかわらせて具体的に理解することを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回1.金融政策の枠組み(1)イントロダクション
(2)新聞記事等による最新動向の紹介
  日本・米国・欧州・中国等のマクロ経済動向、並び  に金融政策や金融市場の動向を紹介し、理論との関  連なども説明する。(以下、各回とも同様)
(3)中央銀行と金融政策
  中央銀行の役割について説明する。
【事前学習】
 中央銀行の役割と貨幣の機能について参考文献等を事 前に読んでおくこと。
第2回1.金融政策の枠組み(続き)(4)新聞記事等による最新動向の紹介
(5)中央銀行と金融政策
  金融政策の諸手段とその効果について説明する。
【事前学習】
 金融政策の手段、特に公開市場操作について参考文献 等を事前に読んでおくこと。
第3回1.金融政策の枠組み(続き)(6)新聞記事等による最新動向の紹介
(7)金融政策の波及経路
  信用乗数(または貨幣乗数)について説明する。
【事前学習】
 マネタリーベースとマネーストックの関係について参 考文献等を事前に読んでおくこと。
第4回1.金融政策の枠組み(続き)(8)新聞記事等による最新動向の紹介
(9)金融政策の波及経路
  信用乗数と短期市場の関係について説明する。
【事前学習】
 預金の創造と信用乗数の考え方について参考文献等で 事前に読んでおくこと。 
第5回2.金融政策とマクロ経済モデル(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)閉鎖経済とIS-LMモデル
  対外取引のないマクロ経済のモデルを構築し、金融  政策の効果を説明する。
【事前学習】
 ケインズモデルの基礎理論と金融政策の効果について 参考文献等で事前に読んでおくこと。
第6回2.金融政策とマクロ経済モデル(続き)(3)新聞記事等による最新動向の紹介
(4)開放経済とIS-LMモデル
  対外取引を含むマクロ経済モデルを構築し、金融政  策の効果を説明する。
【事前学習】
 開放経済における対外均衡について参考文献等で事前 に読んでおくこと。
第7回2.グループ討論(5)新聞記事等による最新動向の紹介
(6)グループ討論(その1)
  特定課題について各自調べたことをグループで討論  してまとめる。
【事前楽手】
 あらかじめ出された課題について参考文献等で調べて くること。
第8回2.金融政策とマクロ経済モデル(続き)(7)新聞記事等による最新動向の紹介
(8)金融政策ルールとIS-LMモデル
  テイラールールを取り入れたマクロ経済モデルを構  築し、他のモデルと比較して金融政策の効果を説明  する。
【事前学習】
 テイラー・ルールについて参考文献等を事前に読んで おくこと。
第9回2.金融政策とマクロ経済モデル(続き)(9)新聞記事等による最新動向の紹介
(10)期待を含むマクロモデル
  期待を明示的に取り込んだマクロモデルによって金
  融政策の効果を説明する。
【事前学習】
 期待の取り込み方についてについて参考文献等で事
 前に読んでおくこと。
 
第10回3.金融政策の運営スタンス(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)裁量政策対ルール
  ケインズ主義に基づく裁量的政策と、貨幣数量説に
  基づくルールによる政策を説明する。
【事前学習】
 ケインズ型政策とk%ルールについて参考文献等で事
 前に読んでおくこと。
第11回3.金融政策の運営スタンス(続き)(3)新聞記事等による最新動向の紹介
(4)インフレ目標
  先進国で導入されてきたインフレ目標とその効果に
  ついて説明する。
【事前学習】
 インフレたー元との考え方について参考文献等で事 
 前に読んでおくこと。
第12回4.金利の期間構造(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)金利の期間構造
  金融資産の種類と金利の関係について説明する。
【事前学習】
 金融資産の金利差(スプレッド)について参考文献等で
 事前に読んでおくこと。
第13回4.金利の期間構造(続き)(3)新聞記事等による最新動向の紹介
(4)金利の期間構造(その2)
  金利の期間構造に関する流動性プレミアム仮説・純
  粋期待仮説について説明する。
【事前学習】
 流動性及び期待と金利の関係について参考文献等で
 事前に読んでおくこと。
第14回5.グループ討論(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)グループ討論
  特定課題について各自調べたことをグループで討論
  してまとめる。
【事前学習】
 あらかじめ出された課題について参考文献等で事前に
 調べてくること。
第15回6.最新の論文紹介(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)論文紹介
  小論文による金融・経済の現状分析を紹介する。
(3)その他
  補足事項について説明する。
第16回7.マイナス金利下の金融政策(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)マイナス金利下の金融政策モデル
  物価下落下のマイナス金利が金融政策に及ぼす影響
  について説明する。
【事前学習】
 ケインズ型マクロモデルとフィッシャー方程式につい
 て参考文献等で事
 前に読んでおくこと。
 
第17回8.非伝統的金融政策(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)非伝統的金融政策
  日銀やFRBなどが導入している非伝統的金融政策
  について説明する。
【事前学習】
 伝統的金融政策と非伝統的金融政策の違いについて参
 考文献等で事前に読んでおくこと。
第18回9.ヘリコプターマネー論(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)ヘリコプターマネー論
  超緩和的金融政策の限界とヘリコプターマネーの考
  え方を説明する。
【事前学習】
 先進国の超緩和的金融政策について参考文献等で事
 前に読んでおくこと。
第19回10.信用秩序維持政策(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)信用秩序維持政策
  信用秩序維持のための事前的対策と事後的対策を説  明する。
【事前学習】
 信用秩序維持政策の種類について参考文献等で事前に
 読んでおくこと。
第20回10.信用秩序維持政策(続き)(3)新聞記事等による最新動向の紹介
(4)マクロプルーデンシャルポリシー
  信用秩序維持政策の内マクロプルーデンシャルポリ
  シーを説明する。
【事前学習】
 信用秩序維持のためのマクロ的政策とミクロ的政策に
 ついて参考文献等で事前に読ん でおくこと。
  
第21回10.信用秩序維持政策(続き)(5)新聞記事等による最新動向の紹介
(6)不良債権問題
  信用h質所崩壊の源となる不良債権への対応を説明
  する。
【事前学習】
 不良債権処理の方法についてについて参考文献等で事
 前に調べてくること。
第22回11.グループ討論(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)グループ討論
  特定課題についてクラス内でグループ討論を行う。
【事前学習】
 あらかじめ出された課題について各自調べてくるこ
 と。
第23回12.金融機関とリスクマネジメント(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)金融機関とリスクマネジメント
  金融取引の多様なリスクについて説明する。
【事前学習】
 金融リスクの種類について参考文献等で事前に読んで
 おくこと。
第24回12.金融機関とリスクマネジメント(続き)(3)新聞記事等による最新動向の紹介
(4)金融機関とリスクマネジメント
  金融商品の内先物・オプション取引のリスクについ
  て説明する。
【事前学習】
 先物取引およびオプション取引について参考文献等で
 事前に読んでおくこと。
第25回12.金融機関とリスクマネジメント(続き)(5)新聞記事等による最新動向の紹介
(6)リスク分析の歴史
  各種資産保有等のリスクに関する分析について説明
  する。
【事前学習】
 ポートフォリオ分析について参考文献等で事前に読ん
 でおくこと。
第26回13.バーゼル合意と規制(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)バーゼル合意の推移
  BISによる金融機関規制の内、「バーゼルⅠ」
  「バーゼルⅡ」を説明する。
【事前学習】
 国際金融規制について参考文献等で事前に読んでおく
 こと。
第27回13.バーゼル合意と規制(続き)(3)新聞記事等による最新動向の紹介
(4)「バーゼルⅢ」
  国際的金融機関規制の主流である「バーゼルⅢ」を
  説明する。
【事前学習】
 BIS規制の内「バーゼルⅢ」について参考文献等で
 事前に読んでおくこと。
第28回13.バーゼル合意と規制(続き)(5)新聞記事等による最新動向の紹介
(6)バーゼルⅢ(続き)
  「バーゼルⅢ」をより細かに説明する。
【事前学習】
 「バーゼルⅢ」について参考文献等で事前に読んでお
 くこと。
第29回14.グループ討論(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)グループ討論
  特定課題についてグループ討論を行う。
【事前学習】
 あらかじめ出された課題について各自調べてくるこ
 と。
第30回15.最新の論文紹介(1)新聞記事等による最新動向の紹介
(2)論文紹介
  小論文等による金融。経済の現状分析を紹介する。
(3)その他
  補足事項を説明する。
授業形式 原則として講義形式を採用しますが、毎週新聞記事等を用いて最新の金融動向を紹介するとともに、講義で論じられる理論との関係についても一緒に考えます。
半期に数回レポート提出を求め、問題となっている議論の内容を確認して理解してもらいます。
グループ討論も取り入れて理解を深めてもらいます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
50% 30% 0% 10% 10% 100%
評価の特記事項 定期試験、レポートともに、講義のテーマに沿った課題について書いてもらいます。
その他は、グループ討論への参加と整理された討論内容を評価します。
テキスト 特にテキストは使用しません。
毎週日本経済新聞の記事等から資料を配布して使用します。
参考文献 花輪俊哉・小川英治(2009)「金融経済入門」(第2版)東洋経済新報社
みずほ証券バーゼルⅢ研究会(2012)
 「詳解バーゼルⅢによる新国際金融規制」中央経済社
清水誠(2015)「負の利子率政策」日本評論社
井上智洋(2016)「ヘリコプターマネー」日本経済新聞出版社
飯田泰之他(2008)『コンパクトマクロ経済学』新世社
オフィスアワー(授業相談) 授業終了後教室または本館2階講師室で質問等に対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 関連講義として、金融論・マクロ経済学を挙げておきます。本講義と合わせ、随時参照して理解を深めてください。
新聞・雑誌・TVを通じて、金融政策・金融市場・マクロ経済の動向について関心を持ってフォローしていくうちに興味が湧いてくると思います。