講義名 労働経済論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水2
単位数 4

担当教員
氏名
安藤 至大

学習目標(到達目標) この講義では,以下の能力を身に付けるために,労働経済学の理論を学びます。
1, 日本における働き方の現状と課題について理解し,説明できる。
2, 賃金や労働時間がどのように決まるのかを理解し,説明できる。
3, 企業内での技能形成や昇進について,その仕組みを理解し、説明できる。
4, 雇用契約に関する規制にどのようなものがあるのか,またなぜ必要なのかを理解し,説明できる。
5,私たちの働き方がこれからどのように変わっていくのかについて,将来像を把握できる。
授業概要(教育目的) 本講義では,労働経済学の理論について扱います。私たちの働き方や労働条件の決まり方について正しく理解するためには,労働者の視点と企業の視点の両面から考察する必要があります。またこの講義では,誰もが知っておくべき雇用に関する法律やルールと今後の課題についても説明します。それにより長い労働人生に有益な知識と考え方を身につけることを本講義の目的とします。
授業計画表
 
項目内容
第1回はじめに本講義において扱う労働経済論の内容を紹介する。その上で,日本の労働市場の現状について考える。

【事前学習】2時間

【事後学習】2時間
講義で紹介した日本の労働市場に関するデータをインターネット上で探して,その内容を確認する。
第2回賃金の決まり方1アルバイトの時給はどう決まるのかという問題を題材に,競争的な労働市場においてどのように賃金が決定されるのかを理解する。地域や職種の違いにより,市場で決まる賃金に違いがある理由を考える。

【事前学習】2時間
自宅と大学の近くにあるコンビニエンスストアのアルバイト時給について,それぞれどの程度の水準なのかを調査する。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第3回賃金の決まり方2長期雇用とそれを支える年功賃金の仕組みと役割について考える。

【事前学習】2時間
大企業や中小企業において,正社員の勤続年数と賃金の関係について,入社時点を100とした時の賃金の変化について理解できるような資料をインターネット上で探す。
【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第4回賃金の決まり方3どのような仕事の賃金がなぜ高いのかを考える。補償賃金仮説や効率賃金仮説について学ぶ。

【事前学習】2時間
様々な業種や職種の平均賃金について調べて,講義時に質問されたら答えられるように準備する。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第5回労働時間1労働者が自分で選べるとしたら,何時間働くことを望むのかを考える。

【事前学習】2時間
日本の労働時間の現状について,インターネットで手に入る情報を整理する。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第6回労働時間2日本企業における長時間労働について,その理由を考える。

【事前学習】2時間
どのような企業において長時間労働が問題になっているのかを調べる。またワークライフバランスについて,自分の考え方を整理する。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第7回採用1情報の非対称性と逆淘汰について考える。シグナリングとスクリーニングについて理解する。

【事前学習】2時間
求職者と企業の双方の視点から,就職活動や採用活動に伴いどのような不安や懸念事項があるのかを考える。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第8回採用2統計的差別と積極的差別是正措置について学ぶ。

【事前学習】2時間
在籍している大学や性別などによって就職活動時に差別的に扱われる事例としてどのようなものがあるのかをインターネットで調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第9回教育教育年数の選択について考える。義務教育はいつまでが望ましいのか,また教育のリターンについて理解する。

【事前学習】2時間
日本の義務教育に関するルールを調べる。諸外国ではどのようなルールの違いがあるのかを知る。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第10回職業訓練企業における職業訓練について学ぶ。一般的技能と企業特殊的技能の違いを知る。

【事前学習】2時間
どのような企業において,どのような社内教育がなぜ行われているのかを,公開情報を用いて実例を知る。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第11回外部労働市場と内部労働市場外部労働市場と内部労働市場について,またその役割分担について理解する。

【事前学習】2時間
労働者が一生のうちに平均してどのくらい転職をするのか,なぜ転職をするのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第12回昇進競争昇進競争の理論モデルを学ぶ。また昇進競争が技能形成や努力決定に与える影響を理解する。

【事前学習】2時間
インターネットで企業経営者の経歴を複数人について調べて,どのような経歴の人がなぜ昇進したのかを考える。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第13回労働組合の役割労働組合の役割について理解する。

【事前学習】2時間
労働組合に関する法律やルールについて調査する。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第14回雇用関係の終了契約の満了,合意解約,離職,解雇について学ぶ。

【事前学習】2時間
日本では解雇についてどのようなルールがあるのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第15回前期のまとめと小テスト前期の内容を復習する。小テストを行う。

【事前学習】2時間
前期で扱った内容を復習する。

【事後学習】2時間
前期で扱った内容で理解が不足している部分がないのかを再確認する。
第16回働き方に関する法律と規制働き方に関する法律と規制について,まずは全体像を把握する。

【事前学習】2時間
労働に関する法律やルールにどのようなものがあるのかを調べておく。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第17回雇用契約に関する規制1雇用契約とは何かを確認する。また雇用契約を結ぶ上で最低限の条件を規定する労働基準法の内容を理解する。

【事前学習】2時間
労働基準法についてインターネットで調べて,どのような事項が規制の対象となっているのかを調査する。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第18回雇用契約に関する規制2最低賃金制度について,その影響と地域的な差異も含めて理解する。

【事前学習】2時間
日本における地域別の最低賃金制度について,またアメリカ領サモアの最低賃金制度について,インターネットで調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第19回雇用契約に関する規制3解雇と解雇規制について,その内容と意味を理解する。

【事前学習】2時間
日本においてこれまでどのような解雇に関する紛争があったのか,また裁判所がどのように判断したのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第20回正規雇用と非正規雇用無期・直接・フルタイムという正規雇用の条件について理解する。また非正規雇用のどこにどのような問題があるのか,また正規雇用の問題について把握する。

【事前学習】2時間
非正規雇用にどのような問題があると考えられているのかを,インターネットで調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第21回若年者の労働若年層の働き方や失業について,諸外国との比較の上で日本の現状を理解する。

【事前学習】2時間
日本の若年層失業率がどのような推移であったのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第22回高年齢者の労働高年齢者の雇用について,法律でどのような規定があるのか,また実態としてどのような支援が必要なのかを理解する。若年者の労働と高年齢者の労働の間に,補完性があるのか,または代替性があるのかを理解する。

【事前学習】2時間
高年齢者の雇用支援に関する最近の法律としてどのようなものがあるのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第23回女性の労働女性の労働について,現状と課題を理解する。

【事前学習】2時間
女性の労働に関して指摘されることが多い「M字カーブ」とは何か,またその時代を通じた変化について調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第24回外国人労働者の受け入れ外国人労働者の受け入れに関する制度と考え方を理解する。

【事前学習】2時間
外国人労働者の受け入れについて,現時点でどのようなルールがあるのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第25回兼業と副業兼業と副業について,本業との補完性代替性に注意しつつ,その役割を理解する。

【事前学習】2時間
どのような人がなぜ兼業をしているのか,また副業をしているのかを,具体例を用いて紹介できるように,インターネットで調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第26回多様な労働者の集団的意思決定多数決などの集団的意思決定方法について,複数の手法の間に存在する優劣を理解する。

【事前学習】2時間
集団的な意思決定の方法として,多数決以外にどのようなやり方があるのか実例を調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第27回外国における働き方のルールアメリカ,イギリス,フランス,ドイツ,イタリアにおける働き方のルールを理解し,日本に適用可能な仕組みがないかを検討する。

【事前学習】2時間
少なくとも一つの外国について,働き方のルールに日本とどのような違いがあるのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第28回働き方の未来これからの人口減少による人手不足と技術進歩による失業について理解する。

【事前学習】2時間
日本の人口がこれからどのように変わるのかについての公的な予測を調べる。またこれまで技術進歩によってどのような仕事が失われたのか,そしてこれからどのような仕事が失われる可能性があるのかを調べる。

【事後学習】2時間
講義の内容を自分の言葉で家族や友人に説明するとしたらどのような資料が有効なのかを考えて,簡単な講義メモを作成する。
第29回講義の復習講義全体の復習を行う。

【事前学習】2時間
これまでの講義内容の全体を復習する。

【事後学習】2時間
講義で扱った復習内容のうちで理解が不十分な点を確認する。
第30回確認試験と解説講義を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
授業形式 通常は講義形式で行いますが,事前学習の内容について受講者の発言を求めることがあります。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
70% 0% 30% 0% 0% 100%
評価の特記事項 特になし
テキスト 特になし
参考文献 安藤至大(2015)『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』筑摩書房,780円(税抜)
オフィスアワー(授業相談) 金曜日の3時限をオフィスアワーとします。前日までにメールでアポイントメントを取ってください。場所については初回講義で説明します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 担当教員は研究や教育に加えて,政府において働き方に関する実際の制度設計にも携わっています。みなさんの積極的な参加により,私も多くを学べることを期待しています。