講義名 家族社会学 ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 金3
単位数 2

担当教員
氏名
小笠原 祐子

学習目標(到達目標) 本講義では,以下の能力を身につけることを目指します。
1.現代の家族が抱える課題は何かを理解し,課題の背景要因を説明できる。
2.現代家族と福祉・労働を中心とする外部システムとの関わりを説明できる。
3.家族をその歴史的変遷の流れの中でとらえることができる。
4.少子高齢化がもたらすインパクトを正確にとらえ,それへの解決策を検討でき
  る。
5.現代家族と公共政策との関係を説明できる。
授業概要(教育目的) 家族は,一定の自律性と閉鎖性をもつシステムですが,他の外部システムとの相互依存のもとにあリます。本講義では,特に福祉・労働と家族との関係に焦点を当て,両者の歴史的変動の位相を明らかにします。このことによって,現代の家族が抱えるに至った困難性の性質を理解し,その解決の糸口を発見することを目標とします。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション
講義の内容,講義の形式,評価方法,履修上の注意点について説明する。家族社会学が対象とする領域を説明し,その学問的射程を考える。
【事前学習】2時間
家族の社会学的研究とは何か,イメージしてくること。
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し,疑問点を書き出して,次回の授業で質問すること。
第2回日本の家族の歴史戦前の「家」制度の特徴を検討し,その常識に反して合理的な継承戦略を考察する。
【事前学習】2時間
「家」制度とは何か。辞典等で調べてくること。
【事後学習】2時間
生産組織体としての「家」および宗教組織体としての「家」の特徴を整理しておくこと。
第3回「近代家族」のあゆみ(1)近代家族誕生の背景を産業構造の転換,都市化,核家族化等の流れの中で考察する。
【事前学習】2時間
戦後日本の産業構造がどのように変化したか調べてくること。
【事後学習】2時間
近代家族誕生の社会的背景を説明できるようにしておくこと。
第4回「近代家族」のあゆみ(2)主婦と家事と性別分業は,一定の歴史的条件のもとに誕生したことを説明し,これらが普遍的に存在するわけではないことを学ぶ。
【事前学習】2時間
主婦とは誰か,家事とは何か,自分なりに定義してみること。
【事後学習】2時間
性別分業誕生の要因を説明できるようにしておくこと。
第5回「近代家族」のあゆみ(3)性別分業,公私の区別,ロマンチック・ラブ・イデオロギー,子育てへの傾注など近代家族が持つ特徴について考察する。
【事前学習】2時間
近代家族とは何か,辞典等で調べてみること。
【事後学習】2時間
近代家族の特徴を説明できるようにしておくこと。
第6回高度成長下の家族(1)高度成長下の家族を,日本的雇用制度確立と関係づけてとらえる。
【事前学習】2時間
日本的雇用制度について調べてくること。
【事後学習】2時間
日本的雇用制度の特徴を欧米の企業と比較して説明できるようにしておくこと。
第7回高度成長下の家族(2)男性労働の長時間化と女性の専業主婦化が進展し,「社員・主婦システム」として結実したプロセスを考察する。
【事前学習】2時間
日本的雇用制度が家族生活にどのような影響を与えたか考えてくること。
【事後学習】2時間
日本的雇用制度が家族生活に与えた影響を説明できるようにしておくこと。
第8回高度成長下の家族(3)「社員・主婦システム」を公共政策および福祉制度と関係づけてとらえる。
【事前学習】2時間
第3号被保険者とは誰かを調べてくること。
【事後学習】2時間
専業主婦家庭優遇政策について説明できるようにしておくこと。
第9回家族の変化と現代の課題(1)現代家族の変化を労働市場の流動化と関係づけて検討する。
【事前学習】2時間
労働市場がどのように変化しつつあるか考えてくること。
【事後学習】2時間
労働市場の変化とその要因を説明できるようにしておくこと。
第10回家族の変化と現代の課題(2)少子高齢化の実情を,各種統計資料をもとに正確に把握し,その背景要因について検討する。
【事前学習】2時間
日本の合計特殊出生率の推移を調べてくること。
【事後学習】2時間
少子高齢化の複雑な背景要因を説明できるようにしておくこと。
第11回家族の変化と現代の課題(3)女性の就業継続と共働き家族への転換を考える。
【事前学習】2時間
女性の就業率の推移を統計資料で調べてくること。
【事後学習】2時間
女性の生き方がどのように変わりうるか説明できるようにしておくこと。
第12回家族の変化と現代の課題(4)男性稼ぎ手モデルの揺らぎとその意味合いを考える。
【事前学習】2時間
自分の父親世代の生き方と自分たち世代の生き方がどのように異なるか考えてくること。
【事後学習】2時間
男性の生き方がどのように変わりうるか説明できるようにしておくこと。
第13回グループワークとプレゼンテーション(1)現代日本の家族が直面する課題を1つ選び,グループでリサーチを行う。
【事前学習】2時間
現代日本の家族が直面する課題にはどのようなものがあるかをリストアップしてくること。
【事後学習】2時間
選んだ課題について何を調べるか考えること。
第14回グループワークとプレゼンテーション(2)現代日本の家族が直面する課題に関するグループリサーチを進める。
【事前学習】2時間
各自の担当部分について調べてくること。
【事後学習】2時間
グループメンバーとの話し合いの結果を調査に反映させること。
第15回グループワークとプレゼンテーション(3)グループリワーチの結果をクラス内で報告する。
【事前学習】2時間
報告内容の準備をすること。
【事後学習】2時間
報告書をまとめること。
授業形式 教員による講義に終始するのではなく,クラス内でのグループ・ディスカッションやプレゼンテーションの時間を設け,活発な意見交換を促します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 50% 0% 20% 30% 100%
評価の特記事項 その他は、グループワークに基づく評価です。
テキスト 使用しません。
参考文献 落合恵美子『21世紀家族へ』有斐閣選書,2004年,1836円.
山田昌弘『少子社会日本』岩波新書,2007年,842円.
川口章『日本のジェンダーを考える』有斐閣選書,2013年,2052円.
筒井淳也『仕事と家族』中公新書,2015年,842円.
オフィスアワー(授業相談) 授業時に指示します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 家族や労働に関するニュースや政策動向を新聞等で確認するように努めること。