講義名 交通経済論Ⅱ ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 水4
単位数 2

担当教員
氏名
高田 富夫

学習目標(到達目標) 1. 多様な交通問題を経済学の視点から理解し,考える能力を身につけることができる。
2. 実証モデル分析の基礎を身につけることができる
3. 運賃がどのように決定されるかを知ることができる。
4. 交通と環境問題とのかかわりを知り,私たちがいかに行動すべきかを考える素材を与えてくれる。
5. 交通における政府介入と規制緩和の実態について知ることができる。
6. 工場や物流施設における立地の重要性を理解し,最適化の方法について説明できる。
7. 交通と周辺領域(物流・ロジスティクス)の関係について適切に理解することができる。
授業概要(教育目的) 本講義はまず交通投資計画で非常に重要となる需要予測を取り上げ,そのための予測手法(モデル)について講述します。さらに標準的な回帰モデルを想定して,その考え方を解説すると同時に,実際のデータを使って予測する方法を学修します。次に非常に重要な意思決定要因である小売業の商圏を取り上げ,商圏距離や商圏人口の推定とその推定方法について学びます。また商圏と交通のかかわりについても講述します。最後に,生産工場や小売業等の商業施設,物流施設の最適立地のための諸方法について講述します。
Excellを使った実際の計算法についても解説します。
授業計画表
 
項目内容
第1回本講義の概要解説交通経済論Ⅱにおける各回の講義概要を解説する。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の全体に目を通し,興味がわくテーマ,難解なテーマなどに予めあたりを付けておくこと。
【事後学習】2時間
この時間に説明を受けた授業の目的と概要が自らか思い浮かべていたものと一致しているかどうか,どのような点が異なっているか,チェックすること。それを踏まえて教員への必要な質問を準備すること。
第2回交通需要の予測モデル(1):逐次決定型モデル交通投資計画における単一方程式需要予測モデルについて述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の土地利用パターンと交通需要の因果連鎖を表した図に目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
土地利用パターンの推定に始まり,発生・誘因交通量,分布交通量,モード選択に至る段階的な需要予測構造と各段階における予測モデルを学修して理解する。
第3回交通需要の予測モデル(2):同時決定型モデル,グラビティーモデル,効用最大化モデル交通投資計画における交通需要予測のための同時方程式型Kauモデルおよび単一方程式モデルでOD間分布交通量を予測するための重力モデル,そして交通モード間需要配分を予測する非効用モデルについて述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)で同時決定型予測モデル,Kauモデル,グラビティーモデル,非効用比較モデルを見ておくこと。
【事後学習】2時間
同時決定型需要予測モデルの構造を理解するとともに,グラビティーモデルと非効用比較モデルの含意を学修する。
第4回交通需要関数の推定(1):OLSのパラメータ推定最小二乗回帰モデルパラメータ推定について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の「OLS」を読み,パラメータの推定手法についてよく見ておくこと。
【事後学習】2時間
OLSモデルによる交通需要関数のパラメータをEXCELLを使って実際に推定してみる。
第5回交通需要関数の推定(2):決定係数と推定値の検定推定したパラメータの統計学的検定について述べる。
【事前学習】2時間
決定係数とパラメータ推定値のt値の求め方,およびこれらの検定の方法についてテキストを読んでおくこと。
【事後学習】2時間
OLSに基づいて交通需要関数の決定係数、t値、ダービン・ワトソン比を実際に推定してみる。
第6回重回帰モデルによる航空輸送需要関数の推定EXCELLにより実際の航空輸送データを需要関数のOLS推定を実習する。
【事前学習】2時間
表計算ソフトEXCELLの使用法をマスターしておくこと。表計算ソフトに習熟していない受講生は使い込んで習熟すること。
【事後学習】2時間
重回帰型の輸送需要関数を仮説的なデータを使って実際に推定し,推定結果を評価する。
第7回小売り流通業における商圏の実際小売業の業態と業態別に見た実際の商圏について述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)で第3章1節「卸・小売と商圏」について読んでおくこと。
【事後学習】2時間
小売業にあるさまざまな業態を理解し,それぞれに該当する主な企業と各業態に設定されている商圏を確認しておく。
第8回商圏決定のハフモデル消費者の購買地選択確率が店舗の品揃え量に比例し,居住地~店舗間の距離に反比例するとする商圏算定の基礎であるハフモデルについて述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)で第3章2節「ハフモデル」の項を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
ハフモデルに示された商圏設定モデルの考え方を理解する。
第9回輸送費と市場領域(商圏の理論):市場領域モデル輸送費の水準によって市場が分割され,商圏が決まるとする考え方を理論的に解説する。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)で第4章「市場モデル」および「商圏の理論」について読んでおくこと。
【事後学習】2時間
通常の物品の需要関数と輸送費を取り込んだ供給関数による市場の均衡点を求め,このモデルに基づいて商圏モデルが導出されるプロセスを理解する。
第10回立地決定の方法―1―:一般的な立地決定要因ー資源分布と人口動態製造業の工場や流通業の販売店舗の立地決定に影響する資源賦存状況と人口・賃金の分布について述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の第5章1節を読み,資源分布状況と人口動態が立地決定にいかなる影響を及ぼすのかについて考えておくこと。
【事後学習】2時間
生産する商品によって異なる自然条件が立地決定に及ぼす影響と,人口の規模、年齢構成、教育水準、賃金水準など人口動態に係る要因と立地決定の関わりを理解する。
第11回立地決定の方法―2―:一般的な立地決定要因ー交通インフラと産業クラスター立地選択に影響を与える交通インフラと産業集積について述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の第5章1節を読み,交通インフラと産業クラスタ―が立地決定にいかなる影響を及ぼすのかについて考えておくこと。
【事後学習】2時間
高速道路や港湾・空港が立地に決定に重要な役割を果たす事例および産業集積の事例を調べる。
第12回立地決定の方法(3):古典的立地理論チューネンの地代モデルとウェーバーの工業立地モデルについて述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の第5章2節「立地理論の史的系譜」を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
立地論の古典的理論であるチューネン,ウェーバー,フーバーの考え方を理解する。
第13回立地決定の方法(4):直線型モデルとユークリッド型モデル実際の立地点を求めるためのもっとも簡略な二つのモデルについて述べる。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)の第5章3節で多様な立地問題と多様な立地決定の方法論を学修し,簡単な二つのモデルによる最適立地点の求出法を見ておくこと。
【事後学習】2時間
ハブ&スポーク理論で重要となるターミナルの基本的な立地選定モデルの全体像を理解し,立地点の解法を学修する。
第14回立地決定の方法(5):混合型モデルより実用性の高い産業立地選定モデルについて述べる。
【事前学習】2時間
工場や物流センターの立地点を求める第三の方法であるヒューリスティック法について,テキスト(交通の経済分析:発展)の第5章3節でその概要を理解しておくこと。
【事後学習】2時間
直線型モデル,ユークリッド型モデル,混合型モデルを使って立地決定をシミュレートする。
第15回確認試験と試験の講評第1回から第14回までの講義の要点を整理するとともに,試験終了後に試験問題について解説をする。
【事前学習】2時間
テキスト(交通の経済分析:発展)を最初から読み返して学修した事柄を復習し,期末試験に備えること。
【事後学習】2時間
後期試験の答案を自己採点し,誤りや理解が足りなかった点を明確化し,交通経済論全体としての理解を深める。
授業形式 講述形式
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
70% 0% 20% 10% 0% 100%
評価の特記事項 期末の定期試験結果を最も重視します。若干ですが,定期試験と小テストのウェートを変更することもあります。単位取得には70%以上の出席が必要です。
テキスト テキストは Econlink 上にアップロードします。
参考文献 衛藤・大井・後藤編著『交通政策入門』第2版 同文館出版,2018年
高田富夫著『ロジスティクス管理の方法』 山縣記念財団,2017年
日本交通学会編『交通経済ハンドブック』白桃書房,2011年
オフィスアワー(授業相談) 水曜日13:35~14:35
相談希望者は授業時に直接またはメールで「事前」にアポを取ること。
メールアドレスは第1回授業時に通知する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 各回の授業内容が正確に理解できたかどうか,自己点検してください。その際,参考図書やインターネット事項検索で得た資料で同じことが異なる文章で表現されているのを確認したり,場合によっては異なる考え方にも触れてください。