講義名 金融機関論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火2
単位数 4

担当教員
氏名
谷川 孝美

学習目標(到達目標) 日常生活で,決済,貯蓄や投資,借入等の金融取引が行われています。決済や金融取引には銀行,証券会社等の多様な金融機関が関係しています。また,近年では,フィンテック等の技術革新など金融機関の環境が変化しています。金融機関論では,以上を踏まえ次のことを目標とします。
1.貨幣の定義,金利等の金融の基本的な事柄などを学び,説明できるようになる。
2.銀行,証券会社等の金融機関が果たしている機能,役割を理解し,説明できるようになる。
3.さまざまな金融機関,金融市場を含めた我が国の金融システムなどを理解し,考察できるようになる。
授業概要(教育目的) 本講義では,金融機関が果たしている役割,機能などに焦点をあて,金融取引およびその基礎理論等を解説します。具体的には貨幣の機能,マネーサプライ,金利,金融資産,金融市場などの金融論の基礎および金融機関の基本的な機能などを概説することからはじめ,金融機関の存在理由を情報の非対称性,エージェンシー理論,コスト問題などから解説します。さらに,フィンテックなどの技術革新や規制緩和などの環境変化が金融機関に与える影響などを考察することで,金融機関,金融制度の今後を考える基礎を養うことを目的としています。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション講義内容,講義形式,評価方法,履修上の注意点について説明する。
金融機関論で学ぶことやその対象を解説する。
【事前学習】2時間
シラバスやEcolinkから資料をダウンロードし,よく読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容を確認し,授業中のキーワードを説明できるようにしておくこと。
第2回金融取引とは何か
金融機関を理解するための前提として,金融取引を確認する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容を確認し,金融取引を説明できるようにしておくこと。
第3回貨幣とは何か
金融機関を理解するための前提として,貨幣の定義,現在用いられている貨幣の種類などを確認する。
【事前学習】2時間
前回の授業の確認および配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業で紹介する事例などを確認すること。貨幣を説明できるようにしておくこと。
第4回金利とは何か


長短金利,名目金利,実質金利など,金融機関を理解するための前提として,金利の種類を確認する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。また,各種金利について参考文献で確認しておくこと。
【事後学習】2時間
授業で紹介する事例を確認すること。また,金利計算を実際に解いて確認すること。
第5回金利の決定



金利と期間構造,長期金利の決定と債券市場の関係,金利の決定要因を確認する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。また,参考文献などで,金利の期間構造,長期金利の決定について確認をすること。
【事後学習】2時間
授業内容の確認として,長期金利を実際に計算するなど,理解を深めること。
第6回金融商品とは何か



預金,債券などの金融資産の機能などを概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
参考文献などで,授業で紹介した預金,債券の特性を確認しておくこと。
第7回金融派生商品とは何か



金融派生商品,オプション価格理論などを紹介する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。参考文献などで,スワップ,オプションなどの金融派生商品を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
金融派生商品について確認し,理解を深めること。
第8回金融取引と情報の非対称性問題


情報の非対称性,逆選択,モラルハザードについて考える。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。用語を参考文献などで確認しておくこと。
【事後学習】2時間
授業で解説する情報の非対称性,逆選択,モラルハザードなどを確認し,説明できるようにすること。
第9回金融機関と情報生産



エージェンシー問題,金融機関の情報生産などを解説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。前回の情報の非対称性問題を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
エージェンシー問題,情報生産を確認し,説明できるようにすること。
第10回直接金融,間接金融とは何か直接金融,間接金融,市場型間接金融を考える。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
参考文献などで,直接金融,間接金融などについて確認すること。
第11回預金取扱金融機関とは何か



間接金融における預金取扱金融機関を概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業で紹介する銀行など,預金取扱金融機関について参考文献などで確認すること。
第12回預金取扱金融機関の機能


預金取扱金融機関の機能を中心に概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。前回の授業を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
銀行の信用創造機能,決済機能などを参考文献などで確認し,説明できるようにすること。
第13回資金循環と金融システム



資金循環から見た日本の金融システムの特徴を概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
資金循環について,図表などで実際の状況を確認をすること。授業中に出てきたキーワードなどを説明できるようにすること。
第14回日本の金融システムの変遷
競争制限的規制,金融の自由化など日本の金融システムの変遷について,銀行を中心に概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。参考文献などで,日本の金融制度の戦後の変遷を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
金融の自由化,日本版ビッグバンなどを参考文献等で確認し,説明できるようにすること。
第15回確認試験(小テスト)と解説
授業を通して学んだことの確認試験(小テスト,60分)および解説(30分)を行う。
【事前学習】2時間
授業の際に指示する項目,内容について,配布資料や参考文献で確認すること。
【事後学習】2時間
問題を今までの配布物や参考文献で確認すること。
第16回協同組織金融機関とは何か
協同組織金融機関について株式会社組織の銀行との相違などを中心に解説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。第11,12回講義を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
授業内容を参考文献などを用いて確認し,協同組織金融機関について説明できるようにすること。
第17回協同組織金融機関としての信用金庫,信用組合

協同組織金融機関としての信用金庫,信用組合について諸問題等を概説する。
【事前学習】2時間
第11,12,16回の配付資料を確認し,配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
参考文献や授業時に紹介するウェブサイトなどで,信用金庫や信用組合の現状を確認すること。
第18回金融商品取引業者(証券会社)の機能と役割直接金融における中心的役割を果たしている金融商品取引業者(証券会社)の機能と役割を概説する。
【事前学習】2時間
配布資料,第10回講義を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
参考文献等で,証券会社の機能を確認し,説明できるようにすること。
第19回金融商品取引業者(証券会社)の現状
いわゆる証券会社の現状および投資信託会社等を概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。前回の講義を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
授業時に紹介するウェッブサイト,参考文献などで証券会社の現状等を確認すること。
第20回保険会社の機能と役割
保険の仕組みを概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。参考文献等で保険会社を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
保険について参考文献などで確認し,授業中にでてきたキーワードなどを説明できるようにすること。
第21回保険会社の現状生命保険会社,損害保険会社の現状を概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。前回の講義を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
生命保険会社,損害保険会社について参考文献および授業時に紹介するウェッブサイトなどで確認すること。
第22回ノンバンクの機能と役割ノンバンクについて概説し,とくに家計に関連する消費者金融社とクレジット会社を中心に取り上げる。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
消費者金融における問題などを,参考文献や授業時に紹介するウェッブサイトで確認すること。
第23回ノンバンクとしてのリース会社
企業に関連するノンバンクとしてリース会社を解説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。前回の講義を確認しておくこと。
【事後学習】2時間
リース会社の現状について,参考文献や授業時に紹介するウェッブサイトなどで確認すること。
第24回公的金融機関の機能と役割公的金融機関,民営化問題などを概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
公的金融機関の現状および民営化問題などを,参考文献などで確認すること。
第25回金融機関のリテール戦略銀行などのリテール戦略,信用金庫などの協同組織金融機関に関連してリレーションシップバンキングを概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。第8,9,16回配付資料をよく読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容を確認すること。また,授業時に指示する資料を確認すること。
第26回金融機関の監督規制金融機関に対する諸規制を概説する。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容を確認すること。近年の金融監督の推移などを授業時に指示する資料等で確認すること。
第27回金融機関における金融監督規制の影響金融監督規制が金融機関に与える影響を考える。
【事前学習】2時間
配布資料および前回の講義を確認すること。
【事後学習】2時間
授業内容を確認し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにすること。
第28回金融機関とフィンテック
暗号通貨(仮想通貨)などの基礎となっているブロックチェーン技術など金融機関におけるフィンテックを概説する。
【事前学習】2時間
配布資料をよく読んでおくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく確認し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
【事後学習】1時間
講義内容を確認すること。
第29回金融機関の課題と将来フィンテックなどの技術革新や金融政策の変更など環境変化が金融機関に与える影響と金融機関の今後について考える。
【事前学習】2時間
配布資料を読んでおくこと。前回の授業をよく確認しておくこと。
【事後学習】2時間
授業内容をよく確認し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第30回確認試験と解説
授業を通して学んだことの確認試験(60分)および解説(30分)を行う。
【事前学習】2時間
授業の際に指示する項目,内容について,配布プリントや参考文献で確認すること。
【事後学習】2時間
問題を今までの配布物や参考文献で確認すること。
授業形式 パワーポイントを用いた講義形式で行う。また,講義資料をEcolinkにアップロードするので,各自持参すること。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
50% 10% 30% 10% 0% 100%
評価の特記事項 出席回数が少ない場合には,定期試験等の採点をおこなわないことがあるので注意すること。また,前期の終わりに「小テスト」を実施する。
テキスト 指定しない。資料を配布する。
参考文献 家森信善『金融論 ベーシック+』中央経済社,2018年,2,200円(税抜).
鹿野嘉昭『日本の金融制度 第3版』東洋経済新報社,2013年,4,200円(税抜).
その他,授業時に適宜紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 講義の前後10分程度,講義室にて対応します。また,授業内で指示するメールでも対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 金融機関論を学ぶには,金融の基礎を理解していることが重要となります。不安な方は,参考文献などを利用して確認をすると良いでしょう。