講義名 企業経済学Ⅰ ≪◇学部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 火4
単位数 2

担当教員
氏名
権 赫旭

学習目標(到達目標) 本講義では、企業が抱えている諸問題を正しく分析するためのミクロ経済学Iとミクロ経済学IIの基本的な概念を正確に理解し,企業の諸問題の分析に当てはめることができる能力を身につけることができる。また、企業のパフォーマンスを格差を生み出す源泉を理解することができるため、多くの企業の中で優れた企業を識別する能力を身につけることができる。
授業概要(教育目的) 本講義では、「市場」について学ぶミクロ経済学Iと「市場の不完全性」によって発生する問題を取り扱うミクロ経済学IIをベースにして、私的な売買を自由にできる「市場経済」の中で、中央計画的な組織である企業の行動や成果に関する分析について丁寧に説明するため、卒業後就職先である企業について詳細に分かるようになる。
授業計画表
 
項目内容
第1回企業の利潤最大化行動ミクロ経済学IとIIから生産者理論と完全市場理論、独占市場、寡占市場理論について復習


【事前学習】2時間
ミクロ経済学IとIIの市場構造別の企業の利潤最大化について復習しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参考に、市場構造別の企業の利潤最大化で得られる産出額と価格を計算し、その差異を確認すること。

第2回企業パフォーマンス指標の解説(1)実際の企業財務データを用いて、利益率、トービンのQのような企業パフォーマンス指標を作成し、説明する。

【事前学習】2時間
図書館のオンラインデータベースeolからトヨタ自動車の損益計算書から2000年以降の営業利益、経常利益、当期利益の推移をエクセルを用いて書いてみること。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、図書館のオンラインデータベースeolからトヨタ自動車、日産自動車と本田技研工業の損益計算書から2000年以降の営業利益率、経常利益率、ROA、ROE、トービンのQのを計算し、比較してみること。
第3回企業パフォーマンス指標の解説(2)実際の企業データを用いて、労働生産性、資本生産性、全要素生産性(TFP)のような企業パフォーマンス指標を作成し、説明する。

【事前学習】2時間
図書館のオンラインデータベースeolからトヨタ自動車、日産自動車と本田技研の企業情報、損益計算書から2000年以降の名目労働生産性(売上高/従業員数)を計算し、比較してみること。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、図書館のオンラインデータベースeolからトヨタ自動車、日産自動車と本田技研の企業情報、貸借対照表、損益計算書から2000年以降の労働生産性、資本生産性とTFPを計算し、比較してみること。
第4回コーポレート・ガバナンス企業行動や成果において所有構造、経営者の質が重要かどうかについて説明する。

【事前学習】2時間
図書館のオンラインデータベースの東洋経済新報社の『四季報』、eolの有価証券報告書から日本の主要な自動車メーカーと主要な電機メーカーの所有構造と社長(年齢、勤続年数、学歴など)について調べておくこと。

【事後学習】3時間
宮島英昭(2015)「企業統治制度改革の視点:ハイブリッドな構造のファインチューニングと劣位の均衡からの脱出に向けて」RIETI Policy Discussion Paper Series15-P-011を読んで整理しておくこと。

第5回人的資本と企業パフォーマンス(1)人的資本の概念と種類について説明する。

【事前学習】2時間
大湾秀雄『日本の人事を科学する:因果推論に基づくデータ活用』の第6章を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Lazear E. P. and K. L. Shaw (2007) "Personnel Economics: The Economist's View of Human Resources" Journal of Economic Perspectives, 21, 4,91-114. を読んで整理しておくこと。

第6回人的資本と企業パフォーマンス(2)企業の人的資本管理、人的資本と企業パフォーマンス間の関係について説明する。

【事前学習】3時間
大湾秀雄『日本の人事を科学する』の3章、4章、5章、7章を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Bloom, N. and J. Van Reenen (2010) "Why Do Management Practices Differ across Firms and Countries," Journal of Economic Perspectives, 24,1, 203-224を読んで整理しておくこと。
第7回無形資産と企業パフォーマンス(1)無形資産の概念について説明する。

【事前学習】2時間
宮川・滝澤・金(2010)「無形資産の経済学:生産性向上への役割を中心として」、日本銀行ワーキングペーパーシリーズ10-J-8.を読んでおくこと。



【事後学習】3時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Hulten (2010)"Decoding Microsoft: Intangible Capital as a Source of Company Growth" NBER Working Paper No.15799を読んで整理しておくこと。
第8回無形資産と企業パフォーマンス(2)無形資産と企業パフォーマンス間の関係について説明する。

【事前学習】2時間
宮川・滝澤・金(2010)「無形資産の経済学:生産性向上への役割を中心として」、日本銀行ワーキングペーパーシリーズ10-J-8.を読んでおくこと。



【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Brynjolfsson and Hitt (2000) "Beyond Computation: Information Technology, Organizational Transformation and Business Performance," Journal of Economic Perspectives, 14, 4, 23-48.を読んで整理しておくこと。
第9回輸出と企業パフォーマンス輸出と企業パフォーマンス間の関係について説明する。

【事前学習】2時間
若杉・戸堂(2010)「国際化する日本企業の実像-企業レベルデータに基づく分析-」RIETI Policy Discussion Paper Series 10-P-027.を読んで整理しておくこと。



【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、Bernard, Jensen, Redding and Schott (2007)"Firms in International Trade," Journal of Economic Perspectives, 21,3, 105-130. を読んで整理しておくこと。
第10回海外直接投資と企業パフォーマンス海外直接投資と企業パフォーマンス間の関係について説明する。

【事前学習】2時間
若杉・戸堂(2010)「国際化する日本企業の実像-企業レベルデータに基づく分析-」RIETI Policy Discussion Paper Series 10-P-027.を読んで整理しておくこと。


【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、権・深尾・伊藤(2006)「対日直接投資は日本の生産性向上をもたらすか?『企業活動基本調査』個票データに基づく実証分析」フィナンシャル・レビュー、第81巻、第2号、125-153. を読んで整理しておくこと。
第11回M&Aと企業パフォーマンスM&Aをする理由とその効果について説明する。


【事前学習】2時間
深尾・権・滝澤(2006)「M&Aと被買収企業のパフォーマンス:対日M&Aと国内企業間M&Aの比較」RIETI Discussion Paper Series 06-J-024.を読んで整理しておくこと。


【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、長岡(2005)「合併・買収は企業成長を促すか?:管理権移転対その共有」『一橋ビジネスレビュー』53巻、2号、32-44.を読んで整理しておくこと。
第12回R&Dと企業パフォーマンスR&Dと企業パフォーマンス間の関係について説明する。


【事前学習】2時間
岡田著『イノベーションと技術変化の経済学』の第4章、5章、6章を読んで整理しておくこと。


【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、権・深尾・金(2008)「研究開発と生産性上昇:企業レベルのデータによる実証分析」Global COE Hi-Stat Discussion Paper Series 003を読んで整理しておくこと。
第13回イノベーションと企業パフォーマンスイノベーションと企業パフォーマンス間の関係について説明する。

【事前学習】2時間
岡田著『イノベーションと技術変化の経済学』の第8章、9章を読んで整理しておくこと。

【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、権・深尾・金(2008)「イノベーションと生産性上昇:『全国イノベーション調査』と『企業活動基本調査』個票データによる実証分析」Global COE Hi-Stat Discussion Paper Series 002を読んで整理しておくこと。
第14回組織、制度と企業パフォーマンス制度と企業パフォーマンス間の関係について説明する。

【事前学習】2時間
岡田著『イノベーションと技術変化の経済学』の第7章、10章、11章を読んで整理しておくこと。


【事後学習】2時間
授業中作成した講義ノートを参照しながら、伊神著『イノベーターのジレンマの経済学的解明』の第1章、2章、3章、4章を読んで整理しておくこと。
第15回期末試験と解説期末試験を通じて、全体の内容を確認する。
授業形式 基本的に講義形式であるが、質疑応答を通じて理解度を確認する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
60% 0% 0% 30% 10% 100%
評価の特記事項 3回以上欠席、私語等授業態度が悪く、授業内容をノートに取らない場合に単位を落とす可能性がある。
テキスト 特になし
参考文献 大湾秀雄『日本の人事を科学する:因果推論に基づくデータ活用』、2017、日本経済新聞出版社、2484円
岡田洋祐『イノベーションと技術変化の経済学』、2019、日本評論社、3024円
伊神満『イノベーターのジレンマの経済学的解明』、2018、日本経済新聞出版社、1944円


オフィスアワー(授業相談) 毎週火曜日の9時から11時まで、事前にメール(kwontokyo@gmail.com)を通じて、アポイントを取ってください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ ミクロ経済学IとIIや会計学を復習してほしい。