講義名 金融ビジネス論 ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 木3
単位数 2

担当教員
氏名
柴田 宏樹

学習目標(到達目標) 日々変化する経済・金融・企業を例に、「ファイナンス理論が実践でどう活用されているのか?」、「事業会社の事業と財務戦略はどう分析するか?」、「格付会社はどんな点を重視して企業を分析しているのか?」、「日本と海外企業における事業や財務での相違点は何か?」等を具体例を紹介し考察します。その中で、経済・金融の理論をベースに、事業や財務分析の基本から応用力を培います。本授業を受講した学生が、金融関(銀行、証券、保険等)や事業会社の財務・営業部門で働いたり、個人の資産運用を行う際に、最低限必要な金融知識や分析手法を身につけ、論理的に説明出来るようになることが到達目標です。
授業概要(教育目的) 金融ビジネスの概要やコーポレートファイナンスの基本を学んだ上で、事業会社の事業と財務分析手法を解説します。カントリーリスク、産業リスク、競争力と収益性、キャッシュフロー分析、財務戦略、経営陣とガバナンス等を取り上げます。株式と債券市場における分析の違い、業績予想や財務指標の分析手法、日本と海外との主要企業の比較等を通し、グローバル視点からの評価方法を解説します。自動車、電機、機械、食品・飲料、電力や空港などのインフラストラクチャー、総合商社など具体例を取り上げ、実践的な解説を試みます。応用編として、M&A等のイベントによる影響をどう織込むか、インフラプロジェクトの分析手法等も解説予定です。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション:金融ビジネスの概要金融市場の概略、金融ビジネスの内容、主要プレーヤーの特性、金融ビジネスの実際などを解説する予定です。
第2回事業会社の事業と財務分析の枠組みと主なリスク項目企業の事業と財務分析の目的や具体的な分析手法などを解説する予定です。コーポレート・ファイナンスの視点、株式市場と債券市場の類似点、相違点なども解説する予定です。
【準備学習】第1回と2回の講義用資料を読んでおくこと。
第3回事業リスクプロフィールの評価 (その1)カントリーリスク(世界のランキング)、産業固有のリスク(産業別のランキング)、(同一産業内での)競争力、収益性の評価を中心に、事業面の主な評価項目を体系的に解説します。
【準備学習】第1回と2回の講義用資料を読んでおくこと。
第4回事業リスクプロフィールの評価 (その2)上記の続きを解説する予定です。
【準備学習】前回までの講義資料を読んでおくこと。
第5回財務リスクプロフィールの評価キャッシュフロー分析、財務指標分析上の調整項目をまじえて、財務面での分析上重視している項目やその計算方法、数値の背景にある考え方などを解説する予定です。
【準備学習】前回までの講義資料を読んでおくこと。
第6回特定の事業セクター別の分析手法/ケーススタディ(1)特定の事業セクターを取り上げて、セクター固有の分析項目、同一業種内での相対比較などを解説した上で、格付け分析の事例を紹介する予定です。
【準備学習】前回授業で紹介した特定の事業セクターに関する説明資料を読んで、最近の状況を調べておくこと。
第7回経営陣とコーポレート・ガバナンス、多角化とポートフォリオ効果、資本構成、財務方針、流動性の評価経営陣とコーポレートガバナンス、多角化効果、資本と負債の構成、財務方針、流動性などを解説する予定です。
【準備学習】コーポレート・ガバナンスの内容、最近の日本企業の取り組みについて調べておくこと。
第8回応用編:日本企業と海外企業の比較応用編として、日本と米・欧・アジア企業の事業展開、財務特性における類似点、相違点を解説する予定です。
【準備学習】
講義用に準備した資料やデータなどを読んでおくこと。
第9回応用編:M&A、大型投資や増資などのイベントにおける信用力(クレジット)評価への影響応用編として、イベント発生時の企業の信用力(クレジット)評価や企業分析上の影響をどのように考えるのかを解説する予定です。
【準備学習】
最近の日本企業のM&A動向について調べておくこと。
第10回金融ビジネスの視点から見た経済ニュース金融ビジネスの視点から、最近の経済ニュースを解説していく予定です。
【準備学習】最近の経済ニュースの中で、関心の高いものを調べておくこと。
第11回特定の事業セクター別の分析手法/ケーススタディ(2)特定の事業セクターを取り上げて、セクター固有の分析項目、同一業種内での相対比較などを解説した上で、格付け分析の事例を紹介する予定です。
【準備学習】前回授業で説明した特定の事業セクターに関する説明資料を読んで、最近の状況を調べておくこと。
第12回応用編:インフラストラクチャービジネスの展開と海外事例の紹介応用編として、空港や道路セクターなどのインフラストラクチャーの資金調達手法、信用リス久分析上の注意点を海外事例を紹介しながら解説する予定です。
【準備学習】インフラストラクチャービジネスの内容、最近の日本企業の取り組みについて調べておくこと。
第13回応用編:プロジェクト・ファイナンスの分析手法応用編として、コーポレート・ファイナンス以外のプロジェクト・ファイナンスの分析手法(海外の発電所、有料道路、石油・ガスターミナルなど多く活用されている資金調達手法)を解説する予定です。
【準備学習】プロジェクト・ファイナンスの内容、最近の日本企業の取り組みについて調べておくこと。
第14回理解度の確認これまでの授業のまとめと、定期試験の説明をする予定です。
第15回総まとめこれまでの授業の総まとめとレポート課題の解説を行なう予定です。
授業形式 講義形式を予定しています。ただし、受講学生数が少ない場合には、学生との対話を重視した質疑応答形式を多く取り入れる予定です。また、講義中にも質疑応答時間を設定する予定なので、学生からの積極的な意見や質問を期待します。
授業の中でレポート課題や定期試験に関して、そのポイント解説をする予定です。なお、経済ニュースの内容などを踏まえて、授業計画表を一部変更する可能性があります。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
50% 20% 0% 30% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験、レポート、授業への参画度(出席と発言)の合計による評価を予定しています。配点は上記の評価方法の通りです。
テキスト 金融ビジネスの実務上で使用する知識や考え方、経済ニュース、市場データや財務指標を使用するため、特段参考文献は予定していません。各授業前に資料を掲示板に掲載予定ですので、印刷し持参してください。
参考文献 同上
オフィスアワー(授業相談) 本授業終了後、教室にて20分程度質問に回答します。急ぎでない場合は、授業内で配布した指定アドレスに連絡してください、回答は次回授業後とします。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 講義者は、国内銀行にて法人向け融資、機関投資家として資産運用業務(債券ファンドマネジャー/クレジットアナリスト)を約13年間経験した後、米系格付け会社S&P (スタンダード&プアーズ)Global Ratingで事業会社格付け部門の統括をしています(電機、重工業、自動車、電力・ガス、空港や鉄道、プロジェクト・ファイナンス等を長く担当)。
本講義は、これまでの講義者の実務経験を踏まえて行うため、具体事例を踏まえた金融ビジネスの実務色が濃い内容となる予定です。