講義名 財務会計論Ⅱ ≪◇学部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 水1
単位数 2

担当教員
氏名
古庄 修

学習目標(到達目標)  本講義は,主として地方自治体の会計制度の現在を理解し,特に自治体が作成する財務書類を利用し,評価・分析するための知識と方法を修得する。自治体の財政健全化問題等について,会計学からのアプローチを応用することにより,パブリック・アカウンタビリティの重要性と単式簿記・現金主義会計の限界を踏まえて,統一された新会計基準に基づいて作成・公表された自治体の財務書類が基本的に理解できるようになるとともに,公会計情報に基づく財政指標を活用して多角的な分析ができるようになることを目指す。
授業概要(教育目的)  本講義は,財務会計論の応用領域である公会計の枠組みにおいて,「アカウンタビリティ」(説明責任)と「ディスクロージャー」(情報公開)を鍵概念として,非営利組織,特に地方自治体や地方公営企業等の財務報告をめぐる近年の動向、ならびに業績評価・分析の視点と方法等について解説する。今日に至る「公会計改革」の経緯と到達点を考察するとともに,公会計の目的,財務報告と監査の在り方に係る新地方公会計統一基準の設定等の論点について解説する。
 また,自治体の作成した実際の財務報告書の読み方を分かりやすく解説し,自治体アニュアル・リポートの在り方と統合報告の可能性について考察する。
授業計画表
 
項目内容
第1回
ガイダンス
講義内容,成績評価の方法,出席カードの取り扱い等について説明する。初回の講義として,会計学の領域と関連科目の体系について解説し,本講義が取り扱う公会計が会計学における応用領域であることを隣接の学問領域を踏まえて解説するとともに,非営利組織の体系図を示して政府・自治体の位置づけを明確にする。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第2回公会計度の概要日本の公会計に係る法的枠組み,収入と支出,歳入と歳出,現金の出納と現金の支払いの意味,会計年度,会計区分,出納整理期限・期間の意味等の概念上整理を行う。
【事前学習】2時間
テキスト第1章「財政と予算」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第3回公共部門と公会計-国の会計制度-公共部門の役割,日本の財政制度と現状を踏まえて,国の予算制度と決算制度を概観する。国の会計区分,一般会計および特別会計の会計処理,特殊法人の会計処理,省庁別財務書類の概要等の国の会計制度における個別論点を検討する。
【事前学習】2時間
テキスト第2章「財政と予算」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第4回地方自治体の予算制度と決算書地方自治体の予算制度および決算書,地方交付税制度,地方債制度,地方財政計画等について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第3章「地方自治体の会計」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。

第5回公営企業等の公会計の理論と課題地方公営企業および第三セクター等の概要を説明するとともに,財務諸表の体系と従前の特殊性-自己資本金と借入資本金,みなし償却-について,新旧会計基準および企業会計と比較しながら解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第4章「公営企業等の会計」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第6回地方自治体の公会計改革(1)近年の公会計改革の動向,現金主義会計の限界と発生主義会計の導入の意義,および地方公会計の統一的な基準の設定と実施状況等について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第6章「公会計改革の動向」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第7回地方自治体の公会計改革(2)地方公会計改革の取り組みの経緯,特に財務書類4表の作成に係る「基準モデル」・「総務省方式改訂モデル」および「東京都モデル」の特徴を各モデルの財務書類の相互関係に基づいて解説する。
【事前学習】2時間
事前に講義時に配布した研究資料をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第8回地方自治体の貸借対照表地方自治体の財務書類の体系(4表形式と3表形式)を説明したうえで,貸借対照表の意義とその構成を詳細に解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第7章「貸借対照表の読み方」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第9回地方自治体の行政コスト計算書等行政コスト計算書,純資産変動計算書および資金収支計算書の意義とその構成を詳細に解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第8章「行政コスト計算書等の読み方」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第10回東京都方式による財務諸表地方公会計の統一基準に先立って,複式簿記に基づく独自の財務諸表を導入してきた東京都方式によるストック情報とフロー情報の意義と特徴について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第9章「独自方式を採用する地方自治体」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第11回財政健全化法に基づく財務分析地方自治体の財政破綻の経緯と現状,財政健全化法に基づく健全化判断比率-実質赤字比率,連結実質赤字比率、実質公債費比率および将来負担比率-およびその対象となる会計・団体の範囲等について解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第11章「公会計情報の活用」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第12回公監査の理論と制度公監査の意義と機能を説明し,現在行われている会計検査院検査、監査委員監査および包括外部監査について解説する。その際、法規準拠性監査、財務監査および業績監査の各要点を併せて説明する。
【事前学習】2時間
テキスト第5章「公監査の機能と仕組み」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第13回公共部門の業績評価と公会計情報の活用決算統計に基づく既存の財務指標に加えて,自治体の業績評価に係るインプット,アウトプット,アウトカムの概念上の整理を財政指標の設定に関連づけて行い,公会計情報の活用について開設する。
【事前学習】2時間
テキスト第10章「パブリック・アカウンタビリティ」および第11章「公会計情報の活用」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第14回国際公会計基準の体系と動向国際公会計基準(IPSAS)の設定経緯,体系および日本の公会計への影響を解説する。
【事前学習】2時間
テキスト第11章「公会計の国際化」をよく読んで,質問を考えておくこと。
【事後学習】2時間
講義内容をよく復習し,その内容をカードに要約して,次回講義時に提出すること。
第15回総括とレポート課題の解説講義を振り返り、要点をまとめるとともに,レポート作成の着眼点と留意点を説明する。
授業形式 受講者が少数の場合には,講義形式とゼミ形式を組み合わせて授業を行う。
ゼミ形式による場合には,分担を決めて,受講生に対して準備学習テキストに基づくプレゼンテーションを求める。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 20% 0% 40% 40% 100%
評価の特記事項 出席を前提として受講態度に評価の重点を置くことに留意されたい。また、毎回の講義において求められる講義内容の要約をもって出席点とし、「その他」の評価に加算する。
テキスト 馬場英朗他編著,『入門 公会計のしくみ』,中央経済社,2016年,3,200円(税抜).
参考文献 鈴木 豊編著,『ポイント解説 新地方公会計財務書類作成統一基準』,ぎょうせい,2014年,2,600円(税別).
その他、講義中に随時紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 月曜日午後12時から13時までとする。事前のアポイントを要する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  本講義は半期で会計学の応用領域を完結させる必要があるため,「簿記」・「会計学」の単位を修得した学生に履修してほしい。これらの科目の並行履修は望ましくない。また,以下の諸点に注意されたい。
1.受講生にはレジュメの作成とプレゼンテーションが求められる。
2.講義中は「私語厳禁」とする。
 なお,第1回目は講義の進め方や評価の仕方についてガイダンスを予定しており,必ず出席すること。