講義名 ミクロ経済学Ⅰ ≪◇学部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 月2・金4
単位数 4

担当教員
氏名
廣野 桂子

学習目標(到達目標) 「ミクロ経済学Ⅰ」では,市場を構成する家計や企業といった各経済主体の選択行動の基礎理論と,市場メカニズムについて学ぶ。この講義を通じて,(1)ミクロ経済学において最低限必要な「基礎知識」を習得し,(2)「分析手法」を身に付け,(3)「経済学的な考え方」を理解できるようになる。
授業概要(教育目的) 「ミクロ経済学Ⅰ」は完全競争市場における経済主体の行動,市場メカニズム,資源配分の効率性に関する問題の学習を主とする。また,この授業はミクロ経済学Ⅱ及びその他の経済系科目の学習に必要な基礎を付けるのも目的の1つであり,講義範囲は共通テキストの1章~6章とする。

定期試験で実施される共通試験が,評価の50%となる。
共通試験は,下記の共通テキストの1章~5章を範囲とする。但し,除く部分は下記の通りとする。
① 各Column
② P.24~31 「4 簡単な応用例」
③ P.112~124 「4 効率性の基準:パレート最適」から「6 完全競争経済とパレート最適」まで

なお,講義範囲が共通試験範囲を超える部分の扱いについては各担当教員のシラバスに従う。また,「ミクロ経済学Ⅱ」の履修は「ミクロ経済学Ⅰ」の単位取得を前提としている。また,他の経済系科目と基礎となるため早期に単位取得が望ましい。高校までの数学の基礎知識の復習を強く勧める。
授業計画表
 
項目内容
第1回授業のガイダンス授業の目標・概要
授業の各回で勉強する内容の説明
授業の形式と評価の方法
テストと宿題の説明
テキストと参考文献の説明
履修する際の注意事項
(事前学習)2時間:この授業のシラバスを読む事
(事後学習)2時間:授業の内容を確認する
第2回第1章 ミクロ経済学:プレリュード経済学とは何かについて学び, どんな問題をどのようにして扱う問題かについて理解する。経済活動を説明する基本用語を学習する。
(事前学習)2時間:テキストの1.1  1.2  1.3を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)経済学の定義, 希少性, 資源配分, 所得分配, 経済主体, 市場と経済循環
第3回第1章 ミクロ経済学:プレリュードミクロ経済学とマクロ経済学の違いを理解する。ミクロ経済学Ⅰで使う経済学の手法を学習する。
(事前学習)2時間:テキストの1.4を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)グラフ入門, ミクロ経済学, マクロ経済学
第4回第2章 需要と供給家計や企業の合理的な経済行動を学ぶ。市場, 需要とは何かについて学び, 需要曲線とは何か, および, 消費者の需要を決める要因について学習する。
(事前学習)2時間:テキストの2.1 2.2を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)便益と費用, 機会費用, サンクコスト, 市場, 価格, 財, 需要曲線
第5回第2章 需要と供給需要曲線をシフトさせる要因について考える。需要の価格弾力性とは何かを学び, 需要の価格弾力性の決定要因を理解する。
(事前学習)2時間:テキストの2.2 2.3を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)需要曲線, 需要の価格弾力性, 需要曲線のシフト
第6回第2章 需要と供給供給曲線について学ぶ。供給曲線のシフトおよび供給の価格弾力性について, 学習する。
(事前学習)2時間:テキストの2.2 2.3を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)供給曲線, 供給曲線のシフト, 供給の価格弾力性
第7回第2章 需要と供給市場での価格の決定を理解する。市場での価格調整メカニズムを学ぶ。需要曲線と供給, 曲線のシフトについて復習する。簡単な応用例を学習する。
(事前学習)2時間:テキストの2.3 2.4を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)市場均衡, 均衡価格, 超過需要, 超過供給, 最低賃金制度, 物品税, 豊作貧乏
第8回第3章 家計の消費行動家計の消費行動の制約を表す予算線について学ぶ。所得や価格の変化で予算線がどう変化するかを学習する。
(事前学習)2時間:テキストの3.1を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)予算線, 予算制約式
第9回第3章 家計の消費行動効用, 無差別曲線とは何かを学ぶ。無差別曲線の性質について学習する。
(事前学習)2時間:テキストの3.2を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)効用, 無差別曲線, 限界代替率
第10回第3章 家計の消費行動消費者の効用最大化の点とその性質(最適消費の条件)について学ぶ。限界効用均等の法則を学習する。
(事前学習)2時間:テキストの3.3を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)効用, 限界代替率, 限界効用
第11回第3章 家計の消費行動所得が変化したときの消費の最適点の変化を学ぶ。所得弾力性, 正常財と下級財について理解する。
(事前学習)2時間:テキストの3.4を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)所得弾力性, 所得-消費曲線, 正常財, 下級財, エンゲル曲線
第12回第3章 家計の消費行動価格が変化したときの消費の最適点の変化を学習する。代替効果と所得効果をグラフで理解する。ギッフェン財とは何かを学ぶ。代替財と補完財について理解する。
(事前学習)2時間:テキストの3.5を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)価格-消費曲線, 代替効果, 所得効果, ギッフェン財, 交差効果, 代替財, 補完財
第13回課題の解説第2章および第3章の課題の解説
(事前学習)2時間:授業で配布された課題を解く
(事後学習)2時間:練習問題の解き方を確認する
第14回第4章 企業の供給行動生産要素の投入と生産物の算出の関係を学ぶ。生産関数,
等産出量曲線と技術的限界代替率について知る。規模に関する収穫について理解する。
(事前学習)2時間:テキストの4.1を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)生産関数, 平均生産物, 限界生産物, 等産出量曲線, 技術的限界代替率, 規模に関する収穫
第15回第4章 企業の供給行動最も効率的な生産要素の投入を, グラフを使って理解する。等費用線について学ぶ。企業の拡張経路について学習する。
(事前学習)2時間:テキストの4.2を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)等費用線, 等産出量曲線, 拡張経路
第16回第4章 企業の供給行動費用曲線について学習する。固定費用, 可変費用, 総費用の定義を知る。短期の費用と長期の費用の違いを学ぶ。
(事前学習)2時間:テキストの4.3を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)固定費用, 可変費用, 長期と短期, 総費用, 限界費用, 平均費用
第17回第4章 企業の供給行動利潤最大化するために, 企業が生産量をどの水準に決定すればよいかを学習する。
(事前学習)2時間:テキストの4.4を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)完全競争, 価格, 限界収入, 限界費用
第18回第4章 企業の供給行動短期と長期の供給曲線について学習する。損益分岐点と操業停止点について理解し, 現実にそれが何を意味するのかを知る。企業の長期均衡がどのようになっているのかを理解する。
(事前学習)2時間:テキストの4.5 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)損益分岐点, 操業停止点, 短期供給曲線, 長期供給曲線(長期の最適規模の軌跡), 長期均衡
第19回課題の解説第4章の課題の解説
(事前学習)2時間:授業で配布された課題を解く
(事後学習)2時間:練習問題の解き方を確認する
第20回第5章 完全競争市場と効率性完全競争市場で, 均衡がどのように決定されるかを見る。市場均衡の調整メカニズムを理解する。ワルラス的調整過程について学ぶ。
(事前学習)2時間:テキストの5.1 と5.2を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)完全競争, 市場均衡, 均衡価格, ワルラス的調整過程
第21回第5章 完全競争市場と効率性ワルラス的調整過程について復習し, 市場均衡が安定なケースについて学ぶ。マーシャル的調整過程について, 学習する。
(事前学習)2時間:テキストの5.2 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)ワルラス的調整過程, マーシャル的調整過程, 安定
第22回第5章 完全競争市場と効率性家計や企業が市場価格での取引によって得ることができる利益を, それぞれ消費者余剰と生産者余剰で理解する。また, 総余剰について学び, 完全競争市場での市場均衡では, 資源配分が効率的であることを理解する。さらに, 政府が市場に介入することのコストについて学習する。
(事前学習)2時間:テキストの5.3 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)生産者余剰, 消費者余剰, 総余剰, 死荷重, 関税政策, 間接税 
第23回第5章 完全競争市場と効率性消費者余剰と生産者余剰について復習する。資源配分の効率性の基準として, パレート最適を学ぶ。
(事前学習)2時間:テキストの5.3と5.4 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)パレート最適, 効用可能性フロンティア
第24回第5章 完全競争市場と効率性ボックスダイヤグラムによって, パレート最適および契約曲線とは何かを理解する。2人の消費者が存在する場合の効率的な資源配分について学ぶ。
(事前学習)2時間:テキストの5.5 を読む 
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)消費のパレート最適, 契約曲線
第25回第5章 完全競争市場と効率性消費のパレート最適とボックスダイヤグラムについて, 復習する。
(事前学習)2時間:テキストの5.5 を読む 
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)消費のパレート最適, 契約曲線
第26回課題の解説第5章の課題の解説
(事前学習)2時間:授業で配布された課題を解く
(事後学習)2時間:練習問題の解き方を確認する
第27回第6章 生産要素市場と所得分配企業の労働の需要と家計の労働の供給について, 学習する。家計の所得と余暇の選択, 労働の需要曲線と労働の供給曲線を理解する。労働市場で, どのように賃金率が決まるかを知る。
(事前学習)2時間:テキストの6.1 6.2 6.3 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する
(キーワード)労働需要, 労働需要曲線, 労働の供給, 労働供給曲線, 均衡賃金率, 均衡雇用量
第28回第6章 生産要素市場と所得分配土地といった固定的生産要素の市場での供給曲線の性質を知る。土地市場での価格である地代の決定を学ぶ。
(事前学習)2時間:テキストの6.4 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)固定的生産要素, 地代
第29回第6章 生産要素市場と所得分配市場経済における所得分配の問題を学ぶ。
(事前学習)2時間:テキストの6.5を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)所得分配
第30回第6章 生産要素市場と所得分配市場経済における所得分配の問題があるときに, 政策で所得再分配する方法を学習する。
(事前学習)2時間:テキストの6.5 を読む
(事後学習)2時間:授業の内容を復習する 
(キーワード)所得再分配, 分配の公正化
授業形式 講義形式
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
90% 0% 0% 10% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験(60分)で、共通試験と個別試験が同時に実施されます。成績評価については、50%は共通試験,残り50%は定期試験での個別試験及び各教員の配点とします。
テキスト 嶋村紘輝・佐々木宏夫・横山将義・片岡孝夫・高瀬浩一『入門ミクロ経済学』,第1版, 中央経済社,2002年, 3200円.
参考文献 井堀利宏『入門ミクロ経済学』第2版,新世社,2004年, 2950円.
西村和雄『ミクロ経済学(現代経済学入門)』第3版, 岩波書店, 2011年, 2800円。

オフィスアワー(授業相談) 月曜3時限(事前にメール等でアポイントメントを取ってください)
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 〇必ず授業に出席してください。ミクロ経済学は積み重ねが必要です。
〇講義で配布する練習問題を解いて下さい。
〇毎回の授業の後で, 復習をして確実に力をつけていきましょう。復習のときには, パワーポイントのレジュメ, 板書の内容, 練習問題の解き方を再度確認してください。
〇身の回りの経済の現象に, ミクロ経済学をあてはめてみて下さい。
〇毎回レジュメをEcolinkにアップロードするので, 各自印刷して持参すること。
〇私語は厳禁です。
〇わからない事があれば, 廣野に質問してください。