講義名 倫理学概論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金5
単位数 4

担当教員
氏名
根村 直美

学習目標(到達目標) 本講義では,以下の能力を身につけることを目指します。
1.倫理学とは「相互尊重」を探究する学問であることを理解し,その視座から倫理学的な諸問題を捉えることができる。
2.倫理学に関わる具体的な問題について,どのように判断しどう行動していけば「相互尊重」の関係性を実現していくことができるのかを考察することができる。
3.学問的知見を吸収しつつ自らの判断を形成すること,および,その判断を理性を用いて論証することの重要性を理解し,それらを実践できる。あわせて,他者の判断と論証に向き合うこと,そして,論争の解決を平和的な交渉により試みることの重要性を理解し,それらを実践できる。
授業概要(教育目的) 「何をすべきなのか」「何が善いのか」。倫理学においては, そうした問いを立て, その答えを考えます。そのような問いは,「何をしたのか」「何があったのか」といった「事実」を扱う問いと異なります。倫理学的な問いが扱うのは「規範」や「価値」です。「事実」を扱う問いは経験に照らして真偽を確認しうるものですが,「規範」や「価値」を扱う問いはそうではありません。それらの問いへの答えは,人間がうみだしていくものです。本授業では,人間がうみだす「規範」や「価値」について考えることを通じて,お互いに尊重しあえる関係性とはどのようなものかを探究してもらいます。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス/前期内容の概要の説明本授業は,何をねらいとし,どのような形式で行われるのかを説明する。また,前期にはどのようなテーマを扱うのかを思考実験の概要を示すことにより説明する。
【事前学習】2時間
シラバスを熟読しておくこと。
【事後学習】2時間
前期思考実験集を通じて,前期にはどのようなテーマが扱われるのかをよく理解しておくこと。
第2回嘘をつかないことはいつどこでも善いことなのか「嘘をつかないことはいつどこでも善いことなのか」,例えば,友人を助けるためでも嘘をつくべきではないのかという問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第2回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第2回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第3回行動を起こしたが意図した結果が出なかったとき倫理的な義務を果たしたと言えるのか「行動を起こしたが意図した結果が出なかったとき倫理的な義務を果たしたと言えるのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第3回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第3回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第4回1人と5人どちら犠牲にすべきなのか「1人と5人どちら犠牲にすべきなのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第4回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第4回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第5回犠牲となる人の数が問題なのか「犠牲となる人の数が問題なのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第5回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第5回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第6回誰が治療を受けるべきか「誰が治療を受けるべきか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第6回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第6回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第7回人間はどのような快楽を選ぶべきなのか 「人間はどのような快楽を選ぶべきか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第7回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第7回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第8回道徳的に見てに善い人とはどういう人なのか 「道徳的に見て善い人とはどういう人なのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第8回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第8回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第9回「自己」を「自己」たらしめているのは何か「『自己』を『自己』たらしめているのは何か」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第9回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第9回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第10回「自律的存在」として人格概念だけで十分なのかか「『自律的存在』として人格概念だけで十分なのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第10回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第10回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第11回公平な社会とはどのようなものか 「公平な社会のあり方とはどのようなものか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第11回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第11回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第12回余剰の富を分配することは所有権を侵害していることになるのか「余剰の富を分配することは恵まれた人の所有権を侵害していることになるのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第12回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第12回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第13回臓器を売買することは許されるのか「臓器を売買することは許されるのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第13回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第13回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第14回生徒は顧客と考えるべきか「生徒を顧客と考えるべきか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。その際には、マイケル・サンデルの議論を参考とする。
【事前学習】2時間
前期思考実験集の第14回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第14回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第15回確認試験と解説/前期授業内容の補足説明第14回までの前期授業内容についての確認試験と解説,および,前期授業内容に関する補足を行う。
【事前学習】2時間
前期の各回の授業内容について復習しよく理解しておくこと。
【事後学習】2時間
中間試験を振り返ることを通じて,前期授業内容を見直しておくこと。
第16回中間試験の講評と前期授業内容の要点確認/後期内容のの概要の説明中間試験の状況を把握してもらうことを通じ,前期の授業内容を振り返る。特に理解度の低い論点や重要な論点に関する確認を行う。また,後期にはどのようなテーマを扱うのかを思考実験の概要を示すことにより説明する
【事前学習】2時間
シラバスを再度熟読しておくこと。
【事後学習】2時間
後期思考実験集を通じて,後期にはどのようなテーマが扱われるのかをよく理解しておくこと。
第17回治療を停止することと直接生命を終わらせることに違いはあるのか 「治療停止することと直接生命を終わらせることに道徳的に違いはあるのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第17回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第17回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第18回現在多くの国が積極的安楽死を禁じているのはなぜか「現在多くの国が積極的安楽死を禁じているのかなぜか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第18回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第18回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第19回誰を親と考えればいいのか「誰を親と考えればいいのか」という,生殖技術の進歩等により改めて問われるようになった問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第19回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第19回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第20回胎児に異常が見つかった場合産まない選択をする人が多いのはなぜか「胎児に異常が見つかった場合産まない選択をする人が多いのはなぜか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第20回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第20回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第21回特別な性質をもった子どもを産むことは道徳的に認められるのか「特別な性質をもった子どもを産むことは道徳的に認められるのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第21回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第21回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第22回多様な性自認を認める社会を作り出していくために求められることは何か「多様な性自認を認める社会を作り出していくために求められることは何か」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第22回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第22回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第23回多様な性的指向を認める社会を作り出していくために求められることは何か「多様な性的指向を認める社会を作り出していくために求められることは何か」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第23回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第23回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第24回ヘイト・スピーチはなぜ行われるのか 「ヘイトスピーチはなぜ行われるのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第24回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第24回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第25回アファーマティブ・アクションを採用する学校の選考方針は認められるべきか「アファーマティブ・アクションを採用する学校の選考方針は認められるべきか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第25回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第25回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第26回動物の権利は認められるべきか 「動物の権利は認められるべきなのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第26回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第26回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第27回コンピュータの権利は認められるべきか「コンピュータの権利は認められるべきなのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。 
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第27回分について自身が考えたことをまとめておくこと。
【事後学習】2時間
第27回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第28回学校の役割と何なのか「学校の役割と何なのか」という問題について倫理学の立場から様々な考察を試みる。その際には、マイケル・サンデルの議論を参考とする。
【事前学習】2時間
後期思考実験集の第28回分について自身が考えたことをまとめておくこと「。
【事後学習】2時間
第28回の授業での議論について復習しよく理解しておくこと。
第29回確認試験と解説/後期授業内容の補足説明第28回までの後期授業内容についての確認試験と解説,および,後期授業内容に関する補足を行う。
【事前学習】2時間
後期の各回の授業内容について復習しよく理解しておくこと。
【事後学習】2時間
学年末試験を振り返ることを通じて,後期授業内容を見直しておくこと。
第30回学年末試験の講評と後期授業内容の要点確認/授業目標と内容についての振り返り学年末試験の状況を把握してもらうことを通じ,後期の授業内容を振り返る。特に理解度の低い論点や重要な論点に関する確認を行う。また,授業の目標と年間の授業内容について振り返る。
【事前学習】2時間
授業の目標および年間の授業内容について見直しておくこと。
【事後学習】2時間
自らの授業目標の達成状況を確認しておくこと。
授業形式 1.思考実験を用いたディスカッション形式の授業を行う。新しい学習指導要領においては,「思考力・判断力・表現力等」の育成をめざし,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を進めることが求められている。そうした授業改善の実現のためには,教員になろうとする者自身の「主体的・対話的で深い学び」が不可欠である。このような事情に鑑み,倫理学分野で行われている様々な思考実験を利用し,学生の討論を中心とした授業を行うこととする。
2.各回の内容に関しては,進行状況等によって変更・調整を行うものとする。 
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
40% 0% 0% 50% 10% 100%
評価の特記事項 授業参画度は出席と議論への参加状況に基づき評価を行う。定期試験は中間試験と学年末試験を実施し評価を行う。各学期3分の2以上の出席,および,中間試験と学年末試験の受験は単位取得のための必須の要件とする。
テキスト 特定のテキストは指定しない。
参考文献 ジュリアン・バジーニ/向井和美訳『100の思考実験』紀伊国屋書店,1800円+税,2012年.
その他,適宜,授業において提示する。
オフィスアワー(授業相談) 原則として,水曜日10:30—11:30。
授業終了時アポイントメントを取り,指定の時間に本館2階講師室に来てください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 1.学問的知見を吸収することを通じ,自分自身の考えを見つめ直そうとする姿勢を持って授業に臨んでください。また,異なる考えに向き合あおうとする姿勢を持って授業に臨んでください。
2.私語・遅刻・途中退出等のマナー違反は厳禁とします。マナー違反がはなはだしい場合には退出してもらいます。ご承知おきください。
3.受講態度が悪い者には単位取得が難しいよう試験の内容を設定しますので,集中して授業に臨んでください。また,「評価の特記事項」で述べたように,単位取得には,各学期での3分の2以上の出席,中間試験・学年末試験の受験を必須としますので留意してください。