講義名 自然地理学概論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水4
単位数 4

担当教員
氏名
島野 安雄

学習目標(到達目標) 1.自然地理学としての特殊性(理系の地球科学の一分野)の理解と認識が把握・確認でき,多くの知見を学ぶことができる。
2.身近な自然環境の諸問題を取り上げることから,より一層理解ができる。
3.人間の生活とも深く関連している事項が多く含まれており,それらに対する理解と知識とを修得できる。
4.日々刻々生ずる特異な自然現象や自然災害なども随時取り上げるので,それらに対する理解・知識と対処法などの知見も学ぶことができる。
5.授業では,実際に訪れたことのある場所や地域を取り上げるので,より一層理解が進み知識も深まる。
6.教育実習に対しての準備学修に役立つ基本的事項を学ぶことができる。
授業概要(教育目的) 当授業に関しては,前半は地球そのものと地球内部の熱エネルギ-によってもたらされる火山・地震・造山運動という内的な営力による作用,およびそれらによって造られた地球表面の地形の特徴について取り扱います。後半は,風化・侵食・運搬・堆積作用などという大気や水・波などが中心として働く外的営力による作用,およびそれらによって形成された地形や風土の特徴について取り扱います。
人間の生活とも深く関わりを持つ事項も多く含まれていて,より現実的な事象を易しく解説・考察することで,広範な自然地理学についての正確な知識と理解が身につくようになります。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス,地球誕生初めにガイダンス,そして銀河系・太陽系・地球の誕生などについて取り上げる。
【事前学習】2時間
宇宙の始まり以後の大きな出来事に対して,既得の知識を整理しておくこと。
【事後学習】2時間
授業日程の確認と配付資料を基に地球の歴史に関しての纏めを行うこと。
第2回地球の歴史(海と陸の形成)地球の歴史に関係して,海と陸の形成や生命の誕生の経緯などについて取り扱う。
【事前学習】2時間
地球46億年の主な出来事に対して,既得の知識を整理しておくこと。
【事後学習】2時間
特に海(水)の歴史が重要であり,時系列にそって纏めておくように。
第3回大陸の移動とウェゲナ-超大陸の形成と「大陸移動説」を唱えたウェゲナ-とに関して取り上げる。
【事前学習】2時間
なぜ「大陸が動くのか?」という問いに対して,大陸の形をもとに予想される答えを調べておくこと。
【事後学習】2時間
大陸の配置は時代とともに異なり,時系列にそって纏めておくように。
第4回プレ-トテクトニクス説プレ-トテクトニクス説として確立するまでの考え方の歴史とその概念を取り上げる。
【事前学習】2時間
プレートという剛体について,その分布の状況を予め調べておくこと。
【事後学習】2時間
プレートテクトニクス説が確立するまでのプロセスを纏めておくように。
第5回大山脈と大地溝帯ヒマラヤやアンデス山脈の形成とアフリカ大地溝帯の形成に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
地球表面の大きな凹凸である海嶺・海溝と山脈・地溝について,その分布位置を予め調べておくこと。
【事後学習】2時間
プレートの種類とその境界が重要であり,その違いを把握し纏めておくように。
第6回日本列島の形成日本列島の形成に関連して,その歴史的な経緯と四万十層や付加体堆積物などの事柄について取り上げる。
【事前学習】2時間
日本列島の形状,特に四国地方について地図帳等を基に予め調べておくこと。
【事後学習】2時間
配付資料を基に,四国に分布する四万十帯の地層と沖合の海底の状況については再確認をし纏めておくこと。
第7回火山帯と火山分布火山の分布状況とその特徴に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
「火山とは?」という問いに対して応答できるように予め調べて整理しておくこと。
【事後学習】2時間
火山の分布はプレート境界と関係のあるものや,関係のないものとがあり,その違いを把握し纏めておくこと。
第8回噴火様式と火山地形火山の噴火様式と,それによって形成される火山地形の特徴に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
火山の源としての「マグマ」について,予め調べておくこと。
【事後学習】2時間
マグマの性状によって形成される火山体や噴火様式が異なってくるが,その違いを把握し纏めておくように。
第9回世界の火山海外の火山の中から,代表的ないくつかの火山を選び取り上げる。
【事前学習】2時間
イエローストーン・ハワイ・アイスランドやエトナ火山を取り上げる予定であり,それらの位置的な情報等を把握しておくこと。
【事後学習】2時間
海外の代表的な火山について,噴火様式と地形の違いを把握し纏めておくように。
第10回日本の火山①日本に存在している火山の中から,西南日本に位置する火山のいくつかを取り上げる。
【事前学習】2時間
桜島・阿蘇山・雲仙岳などの火山を取り上げる予定であり,それら火山の位置的な情報等を把握しておくこと。
【事後学習】2時間
九州には活動中の火山もあり,そのハザードマップを含めて特徴を纏めておくように。
第11回日本の火山②日本に存在している火山の中から,東北日本に位置する火山のいくつかを取り上げる。
【事前学習】2時間
伊豆大島・富士山・有珠山などの火山を取り上げる予定で,これら火山の位置的な情報等を把握しておくこと。
【事後学習】2時間
関東地方に近い火山を取り上げたことから,これまでの活動の経緯や現状を纏めておくように。
第12回断層運動と断層地形地震のもととなる地殻運動とそれによって形成された地形の特徴に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
「断層とは?」という問いに応答できるように,既得の知識を整理しておくこと。
【事後学習】2時間
地震・津波のもととなる現象でもあり,活断層に関してはよく把握して纏めておくように。
第13回地震と津波地震と津波,そのものの仕組みや被害の状況などに関して取り上げる。
【事前学習】2時間
近年,大きな地震や津波がたびたび起こっており,それらを整理し把握しておくこと。
【事後学習】2時間
地震の発生直後の行動はどうすべきかについて,配付資料等を参照し,整理して纏めておくように。
第14回災害対策とライフライン火山活動や地震・津波等によって引き起こされた自然災害に対しての対策とライフラインなどに関して事項を取り上げる。
【事前学習】2時間
災害はいかなる地域でも起こる可能性があり,自身が住んでいる地域の地形や気象等の諸状況を把握しておくように。
【事後学習】2時間
自身の住んでいる地域のハザードマップを確認し,ライフラインに関しても再確認しておくこと。
第15回高原と盆地の地形内陸部に位置する高原や盆地という特殊な地形を取り上げる。
【事前学習】2時間
国内外に分布する主な高原や盆地の位置を確認しておくように。
【事後学習】2時間
地形としては特異なものであり,高原盆地という所もあって,それらの違いも把握して纏めておくように。
第16回大気の大循環と気候大気の構造と動き,および気候とその区分法などに関して取り上げる。
【事前学習】2時間
大気の状況の基本は気温と降水量であり,これを基に気候区分がなされている。既得の知識としてケッペンの気候区分図を改めて把握しておくこと。
【事後学習】2時間
大陸と海の配置が気候に及ぼしている点も把握して纏めておくように。
第17回水蒸気と雨・雪対流圏でみられる水の動きとしての水蒸気と降水の過程に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
ここでは「水」そののものの状態の変化を取り扱うが,水の状態変化について既得の知識を整理しておくこと。
【事後学習】2時間
水の循環の過程で生じる変化を再確認して,その影響も纏めておくように。
第18回風化作用地表面で生じている物理的・化学的風化作用に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
風化とは,大きな岩石が小さな土粒子に変化することであり,その要因の一つに太陽が関係している。太陽に関することについて,予め調べ整理しておくこと。
【事後学習】2時間
物理的風化作用の結果,どの様な状況が現れたかを把握して纏めておくように。
第19回沙漠の分布と成因乾燥地域の代表ともいえる沙漠に関連する事項について取り上げる。
【事前学習】2時間
世界に分布する沙漠について,その位置について地図帳等を基に把握しておくこと。
【事後学習】2時間
沙漠は日本には無いので把握しづらいが,授業に見せた映像と配付資料から整理しておくように。
第20回氷河期と氷河地形淡水の多くを占めている「氷」に関して,氷期と間氷期の関係,南極大陸やグリーランドならびに高緯度地域や高山に分布している氷河とその地形について取り上げる。
【事前学習】2時間
「氷」について,いかなる性質があるかを既得の知識として整理しておくこと。
【事後学習】2時間
最近の調査では日本にも氷河が存在しており,山岳氷河の地形について纏めておくように。
第21回永久凍土地域シベリアやカナダ北部などに分布する永久凍土とその地域に生活している人達に関する事項について取り上げる。
【事前学習】2時間
「永久凍土とは?」という問いに対して応答できるように,予め調べておくこと。
【事後学習】2時間
近年,永久凍土での氷の融解が顕著であり大きい,その影響に関して纏めておくように。
第22回溶食とカルスト地形石灰岩地域に特有なカルスト地形に関して取り上げる。そして,一般的には石灰岩地域の水は硬水と呼ばれていますが,硬水と軟水とに関しても言及する。
【事前学習】2時間
わが国におけるカルスト地域について,地図帳等を基に分布域のことなどを把握しておくこと。
【事後学習】2時間
カルストを含めた化学的風化作用に関して,諸事象を纏めておくように。
第23回地下水淡水の多くを占めている地下水に関して取り上げる。地下水については,かなり多くの水量を利用しているが,いろいろと障害も発生しており,それらに関しても言及する。
【事前学習】2時間
目に見えない地下の水を調べるにはどうしたらよいか?,という問いに応答できるように調べておくこと。
【事後学習】2時間
身近にある地下水に関して,見た映像を整理・把握して纏めておくように。
第24回地表水(湖沼水と河川水)地表水としては湖沼水と河川水があるが,ここでは湖沼水を主に取り上げる。人間にとって身近な水ですが,いろいろと問題も起こっており,それらを含めて言及する。
【事前学習】2時間
近年,水量が減ったり,干上がったりする湖が現れているが,どこの湖かを予め調べておくように。
【事後学習】2時間
アラル海とその流域が環境変化で変えられた後の状況がいかなる事であったかを整理して纏めておくように。
第25回川の作用と河川地形川の作用として侵食・運搬・堆積という3作用を取り上げた後,河川によって形成された扇状地・段丘・自然堤防・氾濫原・三角州などの小地形に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
わが国では堆積作用による地形が多く見られるので,身近な地域での一例を把握しておくこと。
【事後学習】2時間
特に扇状地と三角州の違いを整理し纏めておくように。
第26回世界の大河世界の大河として,代表的な河川(アマゾン川・ナイル川・コロラド川・タリム川など)の状況を取り上げる。
【事前学習】2時間
世界の大河は,わが国の河川とはいろんな点で異なるが,それら大河の水源と流路および河口に関して地図帳などを基に把握しておくこと。
【事後学習】2時間
日本の河川との違いを把握し,それぞれの特徴を整理しておくように。
第27回日本の河川日本の河川の全般的な特徴,およびいくつかの代表的な河川(常願寺川・大井川・黒部川・銚子川・牛渡川など)について取り上げる。
【事前学習】2時間
わが国の河川は「短くて急流」という特徴があるが,なぜそうなるか?,についての問いに応答できるように予め調べておくこと。
【事後学習】2時間
日本の河川がいかに地形や地体構造を関連しているかについて整理し纏めておくこと。
第28回水利用について農業用水・工業用水・生活用水という水利用に関して取り上げる。
【事前学習】2時間
生活用水に関連して,1日にどの様なことにどれほどの量の水を使っているのか自身を例に調べておくこと。
【事後学習】2時間
水利用の現状に関して,国や地域によって違いがみられるが,それを整理して纏めておくこと。
第29回海流・潮流と海岸地形海岸部での沿岸流と河口付近での潮流,およびそれらの作用によって形成された海岸部での地形について取り上げる。
【事前学習】2時間
海水浴に行ったこともあろうかと思うが,海辺の地形と海流について既得の知識を整理しておくこと。
【事後学習】2時間
砂浜海岸と岩石海岸の違いを整理し纏めておくように。
第30回確認試験と解説等の授業これまでの授業に対する確認試験(筆記試験,60分)を行います。その後に,出題の意図と解答の解説等の授業(30分)を行います。
授業形式 講義形式で行います。
現実に起こっている複雑な自然現象を数多く取り扱いますので,言葉で説明のしづらい事項も多くあります。そこで,資料の配付やVTRなどの映像を活用して行う予定です。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
50% 30% 0% 0% 20% 100%
評価の特記事項 学年末に確認試験(筆記試験)を行います。そして夏期休業中に「レポ-ト」を課します。提出は夏休み明けの9月です。また,授業時にも小レポ-トを書いてもらいますが,それは「その他」として評価します。
テキスト テキストは使用しませんが,適宜,資料等をプリントして配布します。
参考文献 小池一之ほか『自然地理学事典』朝倉書店
大山正雄・大矢雅彦『自然地理学,上・下巻』古今書院
日本地下水学会・井田徹治『地下水の科学』講談社ブルーバックス
その他は,適宜,授業時に紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 非常勤ですので,授業時(水曜日・4時限)の前後の時間,20分ほどは本館2階講師室にいますので,そこで対応致します。また,メールでも対応しますので,メールアドレスを最初の授業時にお知らせしておきます。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 教職科目ということから,特に授業にはきちんと「出席」するようにして下さい。そして,国内や国外で起きている「地球環境」に関係した出来事には,常日頃から関心を持ってそれらのニュ-スや情報に対処し接してほしい。特に,授業中に見せた映像と配布した資料を基に復習を行うと,さらに学習効果が上がると思います。