講義名 西洋経済史Ⅰ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 金7
単位数 2

担当教員
氏名
山下 雄司

学習目標(到達目標) イギリスの経済衰退に関する諸議論を多面的に把握できる。
古典的な先行研究を学び,それぞれの議論で何が重要と考えられたのか判断できる。
多面的な視点からの諸議論を踏まえ,経済事象の変化を考察する際の裾野を広げる。近年の研究動向をサーベイする方法,ならびに報告作成能力を身につける。
授業概要(教育目的) イギリスの産業衰退は,歴史的な経路依存に規定される様々な視点からの考察が必要である。政策・技術革新・モチベーション・金融との関連・教育制度等々,イギリスの経験をもとに日本をはじめとする他国へのフィードバックは可能であるのか否か、履修者の関心に即して考察する力を養う。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス・報告の進め方についてイギリス経済史を産業衰退から学ぶ目的と成績評価方法について解説する。
【準備学習】1時間
シラバスを熟読しておくこと。高校までの歴史科目との視点の違いがどこにあるのか調べておくこと。
【事後学習】1時間
次回報告分を精読し,論点をまとめておく。
第2回衰退論の概観と文化的アプローチイギリスの衰退とは何か.イギリス衰退論の諸相 / A.ギャンブル,経済衰退を生んだジェントルマン文化 / マーティン・ウィーナー
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
ギャンブルとウィーナーの議論の要点をまとめる。
第3回経済変革を拒むものはなんだったのか逃したチャンス / コレリ・バーネット
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
バーネットの議論の要点をまとめる。
第4回金融業のあり方と産業との関係シティの短期主義に毒された三流国 / ウィル・ハットン
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
イギリスの金融業のありかた、とりわけ産業と金融の関係の特徴と、ハットンの議論をまとめる。
第5回反衰退論の視点「衰退」は共同幻想である / W.D.ルービンステイン
衰退論は世紀末の集団幻想である / ジョナサン・クラーク
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
反衰退論者の根拠をまとめる。
第6回製造業の社会的地位ものづくり蔑視が生んだ工業の衰退 / シドニー・ポラード
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
製造業とりわけ旧産業の発展と同時に,なぜ社会構造の中で製造業がステイタスを獲得できなかったのか、ポラードの議論の要点をまとめる。
第7回新自由主義の開始とその効果サッチャー改革は不徹底である / サミュエル・ブリタン
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
サッチャー改革の主要な施策をまとめる。一方で、労働者層はどのように改革をうけとめたのかまとめること。
第8回国民国家・消極的な開発志向国民的アイデンティティの動揺 / ステュアート・ホール,開発を推進しない国家 / デイヴィド・マーカンド
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
ホールとマーカンドの議論の要点をまとめる。
第9回各政党の産業衰退への対応・理解衰退論の分析.党派イデオロギーと国民の衰退 / R.エクレシャル
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
産業政策の遅れは何にあったのかエクシャルの論考からまとめる。
第10回制度論的視点相対的衰退への制度的アプローチ / M.J.スミス
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
制度論とは何か,またイギリス産業衰退への適用例をスミスの論考からまとめる。
第11回イギリスとEUの関連イギリスの衰退とヨーロッパ統合 / M=T.フェイ, E.ミーハン
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
ブリグジットに直面するイギリスにおいて産業衰退がどのように影響しているのかまとめる。
第12回イギリスと世界経済の有り方グローバリゼイションとイギリスの衰退 / H.オーフェルベーク
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
ブリグジットが進められた場合,グローバリセイションのなかでイギリスはどのような状況に陥るかまとめる。
第13回一国史から帝国概念へ帝国の終焉 / R.オーヴェンデイル
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
大英帝国の終焉とともに,ブリグジットは新たな帝国化を招くのかまとめる。
第14回衰退論に関する総括実態なのか、言説なのか / R.イングリッシュ, M.ケニー
【準備学習】1時間
報告該当章を精読し,論点をまとめておく。
【事後学習】1時間
13回までの議論を踏まえ、衰退論の議論の中心とは何であったのかまとめておく。
第15回まとめ:イギリス産業衰退の事例と各自の問題関心の関連報告履修者の問題関心に即して,イギリスの産業衰退から学んだことが,どのように援用できるのか,またどのようなフィードバックが可能か各自報告する。
【準備学習】1時間
各自の問題関心に即して,イギリス産業衰退との関連や推論を立てておく。

授業形式 履修者による各章の報告をもとに議論を進める。
また、報告章に関連したEconomic History ReviewやBusiness History誌の論文紹介を求める。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 20% 0% 80% 0% 100%
評価の特記事項 履修者による各回の報告とレポートによって評価する。
テキスト R. イングリッシュ他著/川北稔訳『経済衰退の歴史学―イギリス衰退論争の諸相-』ミネルヴァ書房,2008年(原著:Rethinking British Decline).
参考文献 各回のテーマに即して文献を紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 水曜日3限、事前に教員とアポイントメントをとっておくこと。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 報告者以外の参加者も報告回の文献・論文を読んでいないと議論が成立しない。履修者全員がすでに指定文献を読んでいることを前提に進める。