講義名 労働経済論Ⅰ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 月5
単位数 2

担当教員
氏名
安藤 至大

学習目標(到達目標) この講義では,契約と組織の経済学について学びます。安藤が開講する労働経済論IIと連続して受講することで,以下の能力を身に付けることを目指します。
1, この分野の英語で書かれた主な学術論文を読めるようになる。
2, この分野の主要な結果を自分の言葉で説明できるようになる。
3, 自分の研究プランを少なくとも一つは提示し,論文執筆に必要な調査内容を取りまとめることができる。
授業概要(教育目的) この講義では,大学院レベルの契約と組織の経済学について解説します。また学生に教科書等の担当部分を割り当てて,報告をしてもらうことを通じて,理論モデルの読み方と説明の仕方を身につけてもらいます。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション講義の内容,講義の形式,評価方法,履修上の注意点について説明します。
【事前学習】1時間
契約理論が対象となった2016年ノーベル経済学賞に関して公表されている"Scientific Background"をダウンロードし,よく読んでおくこと。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第2回契約理論の概要契約理論で扱われる内容を概観します。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)の最初からp.43までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第3回アドバースセレクションのモデル:スクリーニングアドバースセレクションのモデルとその応用について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.45からp.97までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第4回アドバースセレクションのモデル:シグナリングアドバースセレクションのモデルとその応用について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.99からp.127までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第5回モラルハザードのモデルモラルハザードのモデルとその応用について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.129からp.170までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第6回情報の開示と非開示自主的な情報開示と非開示,また開示義務を法で課すことの意味について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.171からp.198までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第7回私的価値オークション絵画販売などで用いられる私的価値オークションの理論分析について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.239からp.282までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第8回共通価値オークション共通価値オークションの理論分析について学びます。
【事前学習】2時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.282からp.296までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第9回複数エージェントのモラルハザードチームにおけるモラルハザードとトーナメント理論について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.297からp.326までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第10回エージェント間の協力と協調行動複数エージェントのモラルハザードにおける,エージェント間の協力と協調行動について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.326からp.363までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第11回動学的アドバースセレクション動学的なアドバースセレクションについて学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.365からp.418までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第12回動学的モラルハザード動学的なモラルハザードについて学びます。再交渉と関係契約理論も含みます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.419からp.485までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第13回不完備契約理論の基礎不完備契約とは何か,また制度設計について学びます。
【事前学習】4時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.487からp.552までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第14回立証不可能な情報と契約ある情報が立証可能か否かが契約に与える影響について,また遂行理論について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.553からp.600までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第15回市場と契約プリンシパル間の競争など,市場における契約について学びます。
【事前学習】3時間
Bolton and Dewatripont (2005)のp.601からp.644までを読んでくること。
【事後学習】1時間
授業内容をよく復習し,授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
授業形式 毎回,教科書の該当部分を事前に読んでいることを前提として,教員または学生による概略の説明と学生による理解の確認を行います。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 50% 0% 50% 0% 100%
評価の特記事項 少なくとも一回のプレゼンテーションを担当して十分な解説を行うこと(50%)と講義に参加し討議に参加すること(50%)で評価します。
テキスト Bolton and Dewatripont (2005) Contract Theory, MIT Press, (Kindle版8549円)
参考文献 特になし
オフィスアワー(授業相談) 金曜日の3時限をオフィスアワーとします。事前にメールでアポイントメントをとってください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ この講義では,契約と組織の経済学分野の学術論文を読めるようになるため,また研究テーマを考えるための取り組みを行います。履修の前提として,学部上級レベルのゲーム理論と初歩的な数学(微積分と確率)の知識が必要です。教科書は,全てを読み通すことは難しいため,学生と相談の上で範囲を限定します。