講義名 比較経済体制論AⅠ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 月3
単位数 2

担当教員
氏名
栖原 学

学習目標(到達目標) ロシアなどの旧ソ連諸国,ポーランドなどの東欧諸国,そして中国などの国々は,いずれもかつての社会主義経済体制を捨て,市場経済化を進めてきた国々です。今年度の私の授業では,2010年に刊行された市場経済化のついての理論と実証の書である下記のテキストを使って,旧社会主義諸国の市場経済化の問題を考えます。それによって,われわれにとって現在のところ唯一の実行可能な経済体制であると考えられる資本主義(市場経済)について,理解を深めることを目標とします。
授業概要(教育目的) 資本主義(市場経済)とは,どのような経済体制であるか,その成立と順調な機能のためにはどのような条件が必要か,現実の各国における市場経済の差異は,将来消滅するのかそれとも長い未来にわたって存続するのか,経済発展は永続的か,その制約条件は何か,等々の問題について考えることによって,受講者が市場経済についての理解を深めることを目的とします。受講者には,特別の予備知識を要求しません。下記のテキストを,1年間かけてじっくり読んでいくつもりですので,できれば「I」と「II」を通して受講することを希望します。
授業計画表
 
項目内容
第1回はじめに使用するテキストの紹介,これからの授業の進め方や担当者(栖原)の問題意識の説明,受講者の関心と問題意識の聞き取りなどを行います。
第2回体制移行とはテキストの第1章です。体制移行を学ぶ意義について,著者である中兼氏の考え方を,検討します。
第3回体制移行の歴史的背景(1)テキスト第2章「体制移行の歴史的背景」の最初の部分,すなわち頭の中で考えられた資本主義のアンチテーゼとしての社会主義像について学びます。
第4回体制移行の歴史的背景(2)同じく第2章「体制移行の歴史的背景」のなかの,社会主義の理想と現実とのギャップについてのいくつかの節を読み,この問題について考えます。
第5回体制移行の歴史的背景(3)同じく第2章「体制移行の歴史的背景」のなかの,社会主義体制内における改革の試みについて学びます。
第6回関連文献紹介第2章「体制移行の歴史的背景」に関連した文献を紹介し,中兼氏とは異なる見解を学びます。
第7回体制移行の理論的根拠(1)テキスト第3章「体制移行の理論的根拠」のなかの,社会主義体制内改革の失敗について,その理由を考えます。
第8回体制移行の理論的根拠(2)同じく第3章「体制移行の理論的根拠」のなかの,いわゆる社会主義経済計算論争について学びます。
第9回体制移行の理論的根拠(3)同じく第3章「体制移行の理論的根拠」のなかの,いわゆる資本主義・社会主義収斂論について学びます。
第10回関連文献紹介第3章「体制移行の理論的根拠」に関連した文献を紹介し,中兼氏とは異なる見解を学びます。
第11回体制移行の過程(1)テキスト第4章「体制移行の過程」のなかの,二つの体制移行戦略すなわち「ショック療法」と「漸進主義」の比較を学びます。
第12回体制移行の過程(2)同じく第4章「体制移行の過程」のなかの,ショック療法と転換不況を学びます。
第13回体制移行の過程(3)同じく第4章「体制移行の過程」のなかの,政策順序(シークエンシング)の問題を紹介します。
第14回関連文献紹介第4章「体制移行の過程」に関連した文献を紹介し,中兼氏とは異なる見解を学びます。
第15回まとめ前期に読んできた第1章から第4章までを総括します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 20% 0% 80% 0% 100%
テキスト 中兼和津次著『体制移行の政治経済学 なぜ社会主義国は資本主義に向かって脱走するのか』名古屋大学出版会,3360円。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 広い視野から現代の資本主義(市場経済)を再考してみようという学生の受講を希望します。