講義名 経営学AⅠ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 火6
単位数 2

担当教員
氏名
平野 文彦

学習目標(到達目標) 本講義では、以下の能力を身に着けることを目指します。
1.大きく広がっている学問体系の中で、『経営学(business management)』が誇っている存在意義を理解し、説明できるようになる。
2. 経営の世界で日々に起きている様々な事実を、体系的に理解し、説明できるようになる。
3.「経営者」に課せられている基本的な役割と機能を理解できるようになり。同時んL人実際の企業経営の場で貢献できるようになる。
授業概要(教育目的) 本講義では、すでに定着している「経営学のいくつかの基礎理論(theories)」を体系的に確認していくことによって、企業等の経営の実際を分析的に捉えて説明できるだけでなく、企業の維持・発展の基礎となる力を養うことを目指します。
授業計画表
 
項目内容
第1回序 『経営学』とはどのような学問か以下の諸点に関して講義と若干の討議を行い、経営学を学んでいくための基盤を作る。1. 『経営学』が目指す目的は何か。その意義。2.「経営」とは何か。何を、どう理解するか。3.一つの「学問」であるための必須条件など。その上でオーソドックスな経営学のいくつかを紹介し、概要を説明し、各自の自主的で積極的な研究を促す。

[事前学習] 1.5時間
まずは『経営学』という概念について、どのような説明が存在しているか、辞書またはインターネット等を利用して、できるだけ多く(3~5点)を収集し、それぞれについて、「①説明― ⓶その説明者名― ③記載されていた書籍名と所在ページ― ④その出版社名と発行年」をワンセットとして、Excel等を用いて整理してくること。

[事後学習] 1時間
受講を通じて「理解できたこと」と「理解できなかったこと」を、第1回の[事前学習]で整理した各セットに、「⑤ 考察」を追加して書き加えておくこと。
第2回ビジネス(事業)」と、その「経営(management)」について考える(1)
    -ビジネスというものの考え方
経営(management)」とは「事業(business)」そのものが社会の
第1回の「事後学習」で整理された内容をもとに、特に「ビジネス」の概念に焦点を絞って、その意義について解説し、理解を促す。特に、以下の諸点について考察する。
1.「生業」と「ビジネス」のちがい、2. ビジネスの起源とその近代化の流れ、3.ビジネスが追求する「企業の利益」は、どこに、どのように生まれるのか。
[事前学習] 1時間
第1回の「事後学習」の成果を、口頭で発表し、提出できるように用意してくること。
[事後学習] 1時間
日々の新聞報道やネット・ニュースの中から、改めて「ビジネスとは何か」について考えさせられるような記事を、できるだけ多くピックアップして、「①記事、―⓶ニュース・ソース(掲載紙)名とその掲載日付―③ビジネスに対する問題意識」をワンセットにして、整理を試みておくこと
第3回「ビジネス(事業)」とその「経営」について考える(2)-ビジネスの史的理解とビジネスが果たしている機能
第2回の「事後学習」で整理された内容をもとに、特に「ビジネスの競争力」という観点から考察を行う。特に、以下の諸点について、「ビジネスが果たす機能」の考察を進めていく。具体的には、1.伝統的な商取引、2.モノの製造、3. 市場への投入と流通・配送、4.サービス(情報サービスを含んで)の提供、などのビジネスを考察の対象としてとり上げる。さらには、現代のアグリビジネスやネットビジネス、インフラビジネスなどについても考察の対象とする。
[事前学習]  1時間
第2回の「事後学習」の成果を口頭で発表し、提出できるように準備をしてくること。
[事後学習]  1時間
第2回の[事後学習]と同じ。

第4回「ビジネス(事業)」とその「経営」について考える(3)-「顧客の創造」とマーケティング
ビジネスは、一般に、企業等の組織体を通して展開されることから、「企業等」が本来的に目的とすることとの関連において考察することが不可欠となる。ドラッカーによれば、それは「顧客の創造(creation of the customers)」と見る以外にないという。その目的を達成していくために、企業は、マーケティング活動とイノベーション活動を基本として行動するという。
ここでは「顧客の創造」との関係において「マーケティング」の実際について考察し、その意義と方法を確認する。加えて、「マーケット」の意義との関連で「マーケティング」について考察し、その意義と方法を検討する。
[事前学習]  1時間
 「マーケティング」の概念について、インターネット等を利用して大まかに理解してくること。特に「顧客の創造」という考えかたについて、その意義を理解してくること。
[事後学習] 1時間
日々の新聞報道やネット・ニュースの中から、強い関心を抱いた「マーケティング活動」を、できるだけ多く取り上げて、「①記事― ⓶ニュース・ソース(掲載紙)名とその掲載日付- ③学ぶーケテイング活動の特徴」をワンセットとして整理を試みておくこと
第5回ビジネス(事業)とその経営(management)について考える(4)-「顧客の創造」の方法の多様化
第4回の「事後学習」をもとに、それぞれに展開されていた方法について、その特徴と限界、並びに革新の方向を考察する。特に情報化・デジタル化の進展に伴って、マーケティングの手法が変化・変質を遂げつつあることに注目し、「顧客の創造」の方法がどのように変化・変質しているかについて講義を行う。

[事前学習] 1時間
昨今のメディアに登場するコマーシャルに接して、現代企業が発信している「広告」に関して、あなた自身が感じていることを箇条書き(10点ほど)にしてくること。
[事後学習] 1時間
今回の受講を通して改めて気づかされたことを、第4回の「事後学習」で作成した考察のセットに書き加えておくこと。
第6回ビジネス(事業)とその経営(management)について考える(5)―イノベーションの現状と方法
企業を長期的な低迷や停滞から立ち直らせるのも、その後も、企業を持続的な成長に導くのも、偏にイノベーションだと見る考え方がすでに広く定着している。そしてそこで行われているのがイノベーションのマネジメントである。ここでは、その基本的な取り組み方と、その全体的な仕組みがどうなっているかについて、近年における理論にもとづいてその概略を解説する。

[事前学習] 1時間
「イノベーション」の概念について、日々の新聞記事やテレビ・コマーシャルなどに接してあなた自身が思うことをいくつか取り上げて、自由な考察を行い、それらを整理してくること。
[事後学習] 1時間
今回の受講を通して、改めて気づかされたことを、今回の「事前学習」に書き加えておくこと。
第7回「ビジネス(事業)とその経営(management)について考える(6)-「顧客の創造」と「プロダクティビティ(生産性)」
「ビジネスの第3の柱」として位置づけられているのが「生産性(productivity)の改善・向上」である。その方法として、一般には、1.生産・販売コストの引き下げ、2.各種生産資源の有効活用、3.労働密度の強化などが行われることがあるが、それぞれについて様々な、時には傷の深い問題が残されることがある。ここでは、生産性改善の基本的な意義と限界について理解を深める。

[事前学習]  1時間
 企業が進めている生産性の向上策について、いくつかの事例を見つけて、自由に考察してくること。
[事後学習] 1時間
IT(情報技術)やIoT(Internet of Things=あらゆるモノのインターネット化)、ロボット化(RPA=robotic process automation)などを含む現代のオートメーション方式、などを視野に入れて、ビジネスにおけるproductivityについて自分なりの考察を試みること。
第8回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(1)フォ―ド社の過去の盛衰に学ぶ
「経営の第二の機能は「経営陣」をmanageすることである。ここではP.F.ドラッカーの「フォード社の過去の盛衰」に関する古典的な考察を通して考える。それは以下に挙げる幅広い分野に及ぶ。1.人的資源たる経営者(manager)、2.managerの仕事(①仕事、責任、権限、②上司と部下、③リーダーシップ、④雇用、⑤育成など)、3.oneーmanーmanagement の限界、4.誤った人事管理の破綻、などについて解説し、本質的な理解を促す。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定ecolinkでも配信する)の文献資料(に基づいて、アメリカの自動車製造企業フォード社の歴史的経験を整理してくること。
第9回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(2) ―目標設定によるセルフ・コントロール方式
前回における考察を踏まえて、経営問題の改善に当たって、ドラッカーが重視する二つの考え方と手法について解説し、理解を深めさせる。今回は「セルフ・コントロール方式」をとり上げる。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkにも配信する)の、ドラッカーによる「セルフ・コントロール方式」についての論考をよく読み、要点を整理し、理解してくること。

[事後学習] 0時間
第10回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(3)-「組織の精神」とCEO
経営問題の改善に当たって、ドラッカーが重視する二つの考え方と手法のうち、今回は「組織に精神、あるいは文化を育てること」をとり上げる。加えて組織文化に基づく経営者の育成について、考察し、理解を深めさせる。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkでも配信する)の「組織の文化」に関する文献資料をよく読み、マネジメントという人間の行為がもつ優れた性格について考察して
[事後学習] 0時間
 今回の「組織の精神」について、要点を整理し、次回に発表できるよう準備をしておくこと。
第11回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(4)-経営(management)の組織構造
ここでは経営の機能や責任が体系的に果たされていくように、「経営」が「組織的に行われるための構造づくり」の課題について考える。(1)組織原理、(2)「機能別組織」と「連邦型組織」、(3)分権的組織に宿る共同体意識、(4)企業の量的規模と質的規模、(5)企業の成長を決定づけるマネジメントの姿勢など、ドラッカーの見方について考察する。
[事前学習]  2時間
 Ecolinkにあげた検討資料について、要点を整理を試みること。
[事後学習] 1時間
前回と今回に取り上げた二つの方法について、要点を整理して、次回に持参すること。
第12回「働き手(worker)とその仕事(work)」のマネジメントについて考える(1)
     ―過去のIBM社の失敗に学ぶ
ここでは前回に配布した歴史的文献に基づいて講義を進める。特に、「人的資源」の重要性を人間の本質に立ち戻って考察することで、働く人の協力を得ていくには、何が最も重要であるかについて考察する。特に、「人を雇うということ」の本質的意味について、ドラッカーの考え方をもとに総合的な考察を行う。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkにも配信する)の文献資料に基づいて、経営の失敗の原因を整理してくること。

[事後学習] 1時間
第13回「働き手とその仕事」のマネジメントについて考える(2)
    ― 働く人に自己最高の仕事をさせるための組織とモチベーション
ここでは前節での「人を雇うということ」の本質的な理解に立って、「人と仕事」のマネジントのあり方について、(1)集団と個人、(2)人を雇う側と働く人の要求の違い、(3)伝統的な人事管理の考え方からの脱却、(4)人を動かす本質的モティベーションなどについて考察する。

[事前学習] 1時間
 働く人のモッティベーションについて、どのような考え方や理論が存在しているか、インターネットを利用して、概略を知ってくること。
[事後学習] 1時間
経営の責任者にとって、企業が人を雇い入れ、確実に業績を上げていくために最も大切なことは何か、第12回~第14回の授業で学んだことを振り返り、」整理してみること。

持つけいえいn幾多の制か。う」ために必須の考え課Þ内容と配布資料を、[事前学習]で行った整理に反映させて、整理をしておくこと。
第14回「働き手とその仕事」のマネジメントについて考える(3)
―経済的次元の問題
主として働く人に対する賃金等の経済次元の課題について講義する。

[事前学習] 1時間
 働く人の協力を得ていくために必要と考えられる賃金等の制度について、経営学の観点から望ましい、あるいは望ましくないと思われる事例を見つけてくることが望ましい。

[事後学習] 1時間
経営の責任者にとって、企業が人を雇い入れ、確実に業績を上げていくために最も大切なことは何か、第12回~第14回の授業で学んだことを振り返り、次回の最終回における総合的なデスカッションに臨む準備を進めておくこと。
第15回経営学の原理と経営の実践をめぐる総合的検討講義期間中に、日本を含む世界で話題となった「経営(management) 」に関連する経営者の発言や事件を取り上げて、履修生との間でディスカッションを行うことで、経営学研究の今後の課題と方向を明らかにしていく。

[事前学習] 1時間
ディスァッションで取り上げたいテーマを、若干の資料とともに準備してくること。
[事後学習] 0時間
授業形式 通常は教室における演習形式で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 30% 0% 60% 10% 100%
評価の特記事項 主たるレポートは、「事前学習」「事後学習」に示した課題とする。
テキスト 開講時に指示する。
DVD教材を使用することが多い。
参考文献 講義時にその都度、指示する。
オフィスアワー(授業相談) 毎週火曜日17:00:~18:00(履修生の希望により、変更することは可能)
事前にメールでアポをとること。メールアドレスは最初の講義日に伝える。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 規定の時間割が不都合で、別の時間帯での履修を希望する場合には、教務課窓口に相談すること。履修希望者が少数であれば、時間割を変更できる可能性がある。企業の未来や経営者の行動に大きな関心をもつ院生の履修を望む。