講義名 経営学AⅡ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 火6
単位数 2

担当教員
氏名
平野 文彦

学習目標(到達目標) 本講義では、経営学が確立してきたいくつかの基礎理論を踏まえて、近年、世界の先進社会が歩んでいる「第4次産業革命」や「Societyy5.0」への動きを視野に入れて、経営理論の強化に必要な新理論の開発に挑んでいきます。日本の企業と経営(management)にとどまらず、必要に応じてアメリカの巨大成長企業GAFA経営手法などについても、最新の情報を提供して検討する。そのための作業を通して、経営の近未来を拓く実戦力を身に着けることを目指します。
授業概要(教育目的) 現代の企業と経営が直面している世界的に進む大きな環境の変化・変質を的確にとらえる目的で、準備した最新の文献や調査報告、メディアが伝える事実や事件等を分析資料として解説を行うとともに、理論化の可能性を探ります。「ビジネスのグローカル化に挑む経営者の努力」、「企業間競争の高度化の中で進む経営者の淘汰と選別」、「新しい発想をもつ若手経営者が拓く未来の姿」、そして「働く者の地政学的に見た変質」などに着目していきます。
授業計画表
 
項目内容
第1回序 『経営学』とはどのような学問か1. 『経営学』が目指す目的は何か。その意義。2.「経営」とは何か。何を、どう理解するか、の2点について、講義を行う。また今後の授業の進め方、理論開発に必要な議論の進め方、基本的な文献の扱い方等について説明を行う。
[事前学習] 2時間
まずは『経営学』という概念について、どのような説明が存在しているか、辞書またはインターネット検索等を用いて、できるだけ多く(3~5点)を収集し、それぞれについて、「①説明―⓶その説明者名―③記載されていた書籍名と所在ページ―④その出版社名と発行年」をワンセットとして、Excel等を用いて整理してくること。
[事後学習] 0時間
第2回ビジネス(事業)」と、その「経営(management)」について考える(1) -ビジネスというものの考え方
経営(management)」とは「事業(business)」そのものが社会の多方面から支持されて、経済的にも成り立っていくように、その組織内で展開される、人の努力による活動であると考えられている。ドラッカーの場合は、経営(management)が果たすべき機能は、大別すれば、①事業そのもの、⓶経営者(manager)、 ③生産性、という3つ分野だと見る。このことについて講義と理論開発に必要な討議を行う。
今回は特に「ビジネス」そのものについて配布資料に基づいて討議を行う。論点は、1.「生業」と「ビジネス」の違い、2.ビジネスが追求する「企業の利益」は、どこに、どのように生まれるのか。
[事前学習] 2時間
日々の新聞報道やネット・ニュースの中から、改めて「ビジネスとは何か」について考えさせられるような記事を、できるだけ多くピックアップして、「①記事、―⓶ニュース・ソース(掲載紙)名とその掲載日付―③ビジネスに対する問題意識」をワンセットにして整理し、討議に備えてくること。
[事後学習] 0時間
第3回「ビジネス(事業)」とその「経営」について考える(2)-ビジネスの史的理解とビジネスが果たしている機能
第2回の「事後学習」で整理された内容をもとに、特に「ビジネスの競争力」という観点から考察を行うとともに、以下の諸点について講義と理論開発に必要な討議を行う(1)「ビジネスが果たしていく社会的な機能」について、」の考察を進める。
[事前学習]  2時間
 議論医必要な、若干の資料を準備してくること。
[事後学習]  0時間
第4回「ビジネス(事業)」とその「経営」について考える(3)
     -「顧客の創造」とマーケティング
企業の「社会的目的」と「マーケティング活動」との関連について講義と理論開発に必要な討議を行う。主たる論点は、(1)企業の目的としての「顧客の創造」の意義、(2)「顧客の創造」と「マーケティング」との関係、(3)「マーケット」と「マーケティング」との関係性。
[事前学習]  2時間
日々の新聞報道やネット・ニュースの中から、強い疑問や関心を抱いた「マーケティング活動」について、必要な論議のテーマを整理してくること。
[事後学習] 0時間
第5回ビジネス(事業)とその経営(management)について考える(4)-「顧客の創造」とイノベーション
「顧客の創造」と「イノベーション」の関係性と可能性について講義と理論開発に必要な討議を行う。論点は(1)情報化・デジタル化の進展に伴うイノベーションの加速化の問題点。

[事前学習] 2時間
昨今のメディアに登場するコマーシャルに接して、現代企業が発信している「広告」に関して、あなた自身が感じていることを箇条書き(10点ほど)にしてくること。
[事後学習] 0時間
第6回ビジネス(事業)とその経営(management)について考える(5)―イノベーションの現状と方法
企業を長期的な低迷や停滞から立ち直らせるのも、その後も、企業を持続的な成長に導くのも、偏にイノベーションだと見る考え方がすでに広く定着している。そしてそこで行われているのがイノベーションのマネジメントである。ここでは、その基本的なプロセスの妥当性をめぐって講義と理論開発に必要な討議を行う議論を行う。

[事前学習] 1時間
「イノベーション」の概念について、日々の新聞記事やテレビ・コマーシャルなどに接してあなた自身が思うことをいくつか取り上げて、議論の準備をしてくること。
[事後学習] 1時間
世界の各国で5G(次世代通信)への取り組みが急ピッチで進んでいる。このことについて、通信の世界で何が、どのように革新されることになっているのか、加えて、人々の生活にはのような革新がもたらされるのか、大きな関心をもって調べてみること。
第7回「ビジネス(事業)とその経営(management)について考える(6)-「顧客の創造」と「プロダクティビティ(生産性)」
「ビジネスの第3の柱」として位置づけられているのが「生産性(productivity)の改善・向上」である。その方法として、一般には、1.生産・販売コストの引き下げ、2.各種生産資源の有効活用、3.労働密度の強化などが行われることがあるが、それぞれについて、現場で生じている問題点等について講義と理論開発に必要な討議を行う。

[事前学習]  1時間
 企業が進めている生産性に関するいくつかの向上策について、議論に必要な事例を見つけてくること。特にIT(情報技術)やIoT(Internet of Things=あらゆるモノのインターネット化)、ロボット化(RPA=robotic process automation)などについて、現状における問題点を整理してくること。

[事後学習] 0時間
第8回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(1)―フォード社の過去の盛衰に学ぶ
「経営の第二の機能は「経営陣」をmanageすることである。ここではP.F.ドラッカーの「フォード社の過去の盛衰」に関する古典的な考察を通して講義と理論開発に必要な討議を行う。特に以下の諸点に議論の焦点を置く。1.人的資源たる経営者(manager)ということ、2.managerの仕事は何か。3.仕事と責任と権限の望ましくない関係、4.上司と部下との、本来あるべき関係、5.リーダーシップと権限の集中。

⓸雇用、⑤育成など)、3.one man management の限界、4.誤った人事管理の破綻、などである。2回に分けて解説し、本質的な理解を引き出すことにする。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkでも配信する)文献資料に基づいて、議論すべ点を洗い出してくること。
[事後学習] 0時間
「経営の第二の機能は「経営陣」をmanageすることである。ここではP.F.ドラッカーの「フォード社の過去の盛衰」に関する古典的な考察を通して講義と理論開発に必要な討議を行う。特に以下の諸点に議論の焦点を置く。1.人的資源たる経営者(manager)ということ、2.managerの仕事は何か。3.仕事と責任と権限の望ましくない関係、4.上司と部下との、本来あるべき関係、5.リーダーシップと権限の集中。

⓸雇用、⑤育成など)、3.one man management の限界、4.誤った人事管理の破綻、などである。2回に分けて解説し、本質的な理解を引き出すことにする。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkでも配信する)文献資料に基づいて、議論すべ点を洗い出してくること。
[事後学習] 0時間
第9回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(2) ―目標設定によるセルフ・コントロール方式
経営問題の改善に当たって、ドラッカーが重視する二つの考え方と手法について講義と理論開発に必要な討議を行う議論を行う。今回は「目標の設定によるセルフ・コントロール方式」をとり上げる。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkにも配信する)の、ドラッカーによる「セルフ・コントロール方式」についての論考をよく読み、議論すべき点を整理してくること。
[事後学習] 0時間
第10回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(3)-「組織の精神」とCEO
「組織に精神、あるいは文化を育てること」の意義をめぐって講義と理論開発に必要な討議を行う。加えて組織文化に基づく経営者の育成のあり方について議論を行う。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkでも配信する)の「組織の文化」に関する文献資料をよく読み、議論の余地がある点を整理してくること。
[事後学習] 0時間
第11回「マネジャー」の「マネジメント」について考える(4)-経営(management)の組織構造
ここでは経営の機能や責任が体系的に果たされていくように、「経営」が「組織的に行われるための構造づくり」に関して、次の諸点についてに講義と理論開発に必要な討議を行う。(1)組織原理、(2)「機能別組織」と「連邦型組織」の調書・短所、(3)分権的組織に宿る共同体意識の重要性、(4)企業の量的規模と質的規模の捉え方、(5)企業の成長を決定づけるマネジメントの姿勢と行動の重要性。
[事前学習]  2時間
 Ecolinkにあげた検討資料について、要点の整理を試みてくること。
[事後学習] 0時間
前回と今回に取り上げた二つの方法について、要点を整理してくること
第12回「働き手(worker)とその仕事(work)」のマネジメントについて考える(1)
     ― 過去のIBM社の失敗に学ぶ
ここでは前回に配布した歴史的文献に基づいて、特に、「人を雇うということ」をめぐるドラッカーの考え方の意義と限界について講義と理論開発に必要な討議を行う。

[事前学習] 1時間
前回の講義時に配布予定(ecolinkにも配信する)の文献資料に基づいて、経営の失敗の原因を整理してくること。
[事後学習] 0時間
第13回「働き手とその仕事」のマネジメントについて考える(2)― 働く人に自己最高の仕事をさせるための組織とモチベーション
ここでは前回に行った「人を雇うということ」の本質的な理解を確認するとともに、「人と仕事」のマネジントのあり方についてについて講義と理論開発に必要な討議を行う。議論の焦点を以下の諸点にあてる。
(1)集団と個人、(2)人を雇う側と働く人の要求の違い、(3)伝統的な人事管理の考え方からの脱却、(4)人を動かす本質的モティベーションは何か。

[事前学習] 1時間
 働く人のモッティベーションについて、どのような考え方や理論が存在しているか、インターネットを利用して、概略を知ってくること。
[事後学習] 0時間
第14回「働き手とその仕事」のマネジメントについて考える(3)―経済的次元の問題
主として働く人に対する賃金等の経済次元の問題点と課題について講義と理論開発に必要な討議を行う。

[事前学習] 1時間
 働く人の協力を得ていくために必要と考えられる賃金等の制度について、経営学の観点から望ましい、あるいは望ましくないと思われる事例を見つけてくること。
[事後学習] 0時間
第15回経営学の原理と経営の実践をめぐる総合的検討講義期間中に、日本を含む世界で話題となった「経営(management) 」に関連する経営者の発言や事件を取り上げて、履修生との間でディスカッションを行うことで、経営学研究の今後の課題と方向を明らかにしていく。

[事前学習] 1時間
経営の責任者にとって、企業が人を雇い入れ、確実に業績を上げていくために最も大切なことは何か、第12回~第14回の授業で学んだことを振り返り、最終回における総合的なディスカッションに臨む準備を進めてくること。
[事後学習] 0時間
授業形式 通常は教室における演習形式で行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 30% 0% 60% 10% 100%
評価の特記事項 主たるレポートは、議論の成果をまとめたものとする予定。
テキスト 開講時に指示する。
DVD教材を使用することが多い。
参考文献 P.F.ドラッカー『現代の経営』ダイヤモンド社
永野健二『経営者』新潮社、2018年
稲盛和夫『行き方』サンマーク出版、2004年
稲盛和夫『京セラフィロソフィ』サンマーク出版、2014年
J.F・コッター『幸之助論』ダイヤモンド社、2008』
その他、講義時にその都度、指示する。
オフィスアワー(授業相談) 毎週火曜日17:00:~18:00(履修生の希望により、変更することは可能)
事前にメールでアポをとること。メールアドレスは最初の講義日に伝える。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 決められた時間割が不都合で、別の時間帯での履修を希望する場合には、教務課窓口に相談すること。講義時間帯を調整・変更できることがある。