講義名 経済政策論AⅡ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 火6
単位数 2

担当教員
氏名
常木 淳

学習目標(到達目標) 経済政策についてのミクロ経済学に基づく数理モデルによる分析ができるようになるところまで、理論的な基礎を身につけることができます。
授業概要(教育目的) 一般社会人のレベルではなく、研究者や専門職業人として社会的に通用する水準まで、経済政策分析のための基礎理論を数理的に理解してもらうことを目的しています。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション市場の失敗に関する概括的な展望を行い、参加者の関心や知識のレベルをチェックする。
第2回外部性(1)-騒音問題外部不経済の代表例として騒音の問題を取り上げ、数値例や図解を利用して理解を深める。
第3回外部性(2)-騒音問題の理論的分析前回に引き続き、余剰分析を用いて騒音問題を解決するための様々な制度的工夫とそれらの限界について検討する。
第4回外部性(3)-金銭的外部性現実の政策イッシュウとしては、政策介入が市場の価格や所得の変化をもたらすことによる金銭的外部性が重要になる。鉄道の例を取り上げて、問題の解決法を探る。
第5回外部性(4)-鉄道とインフラ鉄道などの交通機関の場合、民間企業と公共部門の活動との間の線引きや協力の在り方が問題になる。この問題に対する理論的な解法を検討する。
第6回公共財(1)公共財の概念について検討し、効率的供給の条件とその意味とを分析する。
第7回公共財(2)公共財の自発的供給に伴う弊害として、フリーライダー問題の構造を分析する。
第8回公共財(3)フリーライダー問題を解決するための手法として、ヴィカリーによる封印競争入札の理論とメカニズムデザイン論の基礎を学ぶ。
第9回公共財(4)現実の公共財の供給において重要な、費用便益分析の基礎理論を学ぶ。
第10回公共財(5)民主的な政治的意思決定過程を導入して、公共財が効率的に供給されるかどうかを検討し、「政府の失敗」の意味を明らかにする。
第11回地球温暖化問題外部性、公共財の事例として地球温暖化問題を取り上げ、これまで取り上げて来た解決法を利用して、どのような政策介入が可能かを詳しく検討する。
第12回不確実性と情報(1)不確実性が存在する場合における主体選択の理論である期待効用理論について、詳しく理論的な構造を検討する。
第13回不確実性と情報(2)モラル・ハザードの概念を明らかにして、エイジェンシー理論の基礎を学ぶ。
第14回不確実性と情報(3)逆選択の概念を明確に定義し、中古車市場の例を挙げて、その現実的な意味を説明する。
第15回不確実性と情報(4)逆選択を解決する行動として、シグナリングについて研究し、その意義と限界、それを適正に作動させるための制度について考察する。
授業形式 毎回、参加者に課題を出し、次回までに回答を用意してもらう。授業で担当者が回答を発表し、教員がその内容についてコメントして、必要に応じて補足説明を加える。次に、他の参加者との討論に基づいて内容の理解を深める。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 70% 0% 30% 0% 100%
評価の特記事項 毎回の授業における発表とコメントの内容によって、理解度を確認し評価する。
テキスト Mas Collel, A., M.Whinston and J. Green, Microeconomic Theory, MIT Pres 1995.
参考文献 授業時に指示する。
オフィスアワー(授業相談) 授業時に指示する。事前のメール(授業時に指示)によるアポイントメントが必要。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 論文の作成を目的とする大学院の学生を対象とする講義であるので、直接の政策イッシューを口語的に解説するものではない。参加者は、経済政策の数学的な分析に関心を持ち、毎回、課題に取り組んで発表する準備をすることが求められる。