講義名 特殊講義Ⅰ(企業取引課税) ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 土5
単位数 2

担当教員
氏名
坂本 雅士

学習目標(到達目標)  企業会計と法人税法との関係はどのようにあるべきか。わが国において、かねて俎上に載せられてきた議論ではあるが、近年、企業会計側の変容を背景にあらためて関心を集めている。ここで企業会計の変容とは国際財務報告基準(IFRS)導入を端緒とする会計基準の複線化に他ならない。これまで法人税制は是々非々で対応してきたが、今後、個別財務諸表に適用される会計基準について、さらにコンバージェンスが進むか、あるいはIFRSの適用が認められた場合、どのような問題が生じるのであろうか。
 本講義では、会計基準の複線化に係る税務上の論点を明らかにし、税務対応の考え方を身につける。
授業概要(教育目的)  2000年以降、各国の会計ルールをIFRSに統合しようとする世界的な動きが起こり、日本もその奔流に飲み込まれたが、現状は「統合」とは程遠いものである。このような企業会計の混迷は、会計の世界のみならず隣接する学問領域にも大きなインパクトを与えている。もちろん法人税法もその1つである。利益を計算するためのルールが変われば法人税法にもその影響が及ぶは当然といえよう。
 本講義では、会計基準複線化の状況を整理した上で、税務上の課題を立法論と解釈論の双方の観点から検討する。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス授業の進め方を説明し、授業を受けるために必要な会計、法人税法の知識を学ぶ
第2回会計基準の国際的統合化の動向①EU諸国の動向について学ぶ。
第3回会計基準の国際的統合化の動向②アメリカの動向について学ぶ。
第4回会計基準の国際的統合化の動向③日本の動向について学ぶ。ここでは2005年のコンバージェンスプロジェクトから東京合意(2007)までを取り上げる。
第5回会計基準の国際的統合化の動向④日本の動向について学ぶ。ここでは2010年のIFRS任意適用開始から現在までを取り上げる。
第6回会計基準の国際的統合化と会計基準の複線化会計基準の複線化の状況(いつから、どのような形で生じたのか)を学ぶ。
第7回会計基準の複線化と法人税法の対応①中小企業向け会計ルールの複線化と法人税法の対応について学ぶ。
第8回会計基準の複線化と法人税法の対応②大企業向け会計ルールの複線化と法人税法の対応について学ぶ。
第9回会計基準の複線化と法人税法の対応③ ‐立法論上の課題‐これまでの税制改正について、会計基準との調和・乖離といった観点から整理・検討する。
第10回会計基準の複線化と法人税法の対応④ ‐立法論上の課題‐税制上の対応について、租税原則の観点から検討する。
第11回会計基準の複線化と法人税法の対応⑤ ‐解釈論上の課題‐解釈論上の課題として、法人税法上の個別規定の解釈について検討する。
第12回会計基準の複線化と法人税法の対応⑥ ‐解釈論上の課題‐解釈論上の課題として、法人税法22条4項の公正処理基準の解釈について検討する。
第13回会計基準の複線化と法人税法の対応⑦ ‐解釈論上の課題‐公正処理基準の解釈について大竹貿易事件(1993)を中心に、裁判例の検討をおこなう。
第14回諸外国の対応諸外国における、会計基準の国際的統合化への法人税法の対応について検討する。
第15回新たな収益認識準と法人税法最新のテーマとして、収益認識基準を取り上げ、法人税法上の論点について検討する。
授業形式 テキストと配布資料を輪読しながら、講義をすすめる。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
0% 40% 0% 60% 0% 100%
テキスト 成道秀雄監修、坂本雅士編著『現代税務会計論 第二版』(中央経済社、2019年)
オフィスアワー(授業相談) オフィスアワーの時間については、初回授業時に伝えます。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 初学者であることを前提にわかりやすく説明するので、積極的に受講してほしい。