講義名 論理学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水5
単位数 4

担当教員
氏名
長谷川 武雄

学習目標(到達目標) 「ことば」を用いることは、私たちが生きている証の一つである。その用い方を会得することで、「ことば」の本来の意義をより発現せしめることもできるのではないか。そして、私達は、学問をも含んだ生活の(生きている)中で「ことば」を用いるのである。以上の点からこの講義では、「論理(学)」を含む「ことば」が、全生活分野で私達と関係していることを再確認し、「ことば・論理・生活」の関係と、特に論理的に表現する(対話する)こととはどういうことかを自覚できるようになり、同時に、論理的「思考」(表現以前)をも反省することができるようになるら。
対応DP及びCP:1,2、8
授業概要(教育目的) 「人間とは<ことば>を操る動物である」と言われるように、「ことば」は私達自身の本質の一部に属している、と言える。ことばの「背後」には、つねに「論理」というものが見え隠れしていることについては、日常的にはあまり反省されていない(「なんとなく」そう言うとしっくりする)。そんな中で特に学問の世界で「ことば」を用いる場合には、この「論理や論証」を常に意識していなければならない。この意識は一方で自分の思考の確実性を、他方では聞き手への説得性を担保するものである。日常生活における「意思伝達」のみではなく、更に行動へと誘う力を発揮するものとして実践してもらう。
授業計画表
 
項目内容
第1回講義について/言語について・シラバスの説明(シラバスにそって)と質問受け付け。
・思考(思想)とその表現の関係(「思考(思想)」を<見える化>する言語表現)。
・言語学からみた言語表現について(①意味論、②語用論)。
【事前学習】1時間
シラバスに目を通し、内容を確認し、不明な点をチェックしておくこと。
【事後学習】1時間
授業の中での説明とシラバスの内容を再度確認すること。
第2回詭弁と論証・「詭弁」の実際とその本質(詭弁は論証を含む)
・「論証」の実際とその本質(論証は詭弁を排除する)
【事前学習】1時間
100字程度で、経済(関係)についてまとめ、どのような筋立てで書いているか自己分析してみる。
【事後学習】1時間
その中に「詭弁や論証」があった場合、その部分を抽出し、その構造を確認する。
第3回論証の分析具体的に論述された思考(思想)を表現したものとしての「文章」を分析し、その形式的構造(論述の関係性や流れ)を見る。
【事前学習】1時間
「詭弁と論証」の違いを整理しておくこと。。
【事後学習】1時間
前回「事前学修」でまとめた「論述文」を分析し、よりよい論証文に直せるか自己添削してみる。
第4回現代論理学「真/事実」を表現する言語表現について(①「自然言語」と「人工言語」、②「対象言語」と「メタ言語」、③「命題」と言われるものと、それらを結び付けるもの「論理的結合子」)。
【事前学習】1時間
「論証の分析」を参考に、新聞をはじめ、教科書、日常対話などの「表現」を「単一意味内容(1文ではない)」ごとに区別してみる。
【事後学習】1時間
日常表現の文が「命題」と「論理的結合子」の関係として、どのように分解できるか、実際に区分してみる。
第5回命題論理学の命題「論証の学」としての「論理学」によって、日常表現をどのように表現するのか、その分析と記号による再構成の方法について。
【事前学習】1時間
「命題と論理的結合子」、日常表現の対応関係を復習しておくこと。
【事後学習】1時間
日常表現の短い単文・複文を用いて命題化してみる(日常表現と命題の違いを理解するために)。
第6回日常表現の命題化・記号化練習問題(前回の説明を参考に、各自「命題化・記号化」を行ってもらう)。
【事前学習】1時間
命題化の方法を理解し、例題等を復習しておくこと。
【事後学習】1時間
他授業の教科書や配布プリントの一部分の「文」を、練習として命題化してみる。
第7回日常表現の命題化・記号化(続き)練習問題(前回の続き。各自「命題化」を行ってもらう)。
【事前学習】1時間
命題化の方法を理解し、例題等を復習しておくこと。
【事後学習】1時間
他授業の教科書や配布プリントの一部分の「文」を、練習として命題化してみる。
第8回命題・真理・真理値表「命題」には「正しいことを表している命題(真なる命題)」と「間違ったことを表している命題(偽なる命題)」が存在する。それを様々に組み合わせたら「正しい」・「間違っている」どちらの命題になるのか。その判定方法について。
【事前学習】1時間
論理学における「正しい表現」「誤った表現」と日常表現におけるそれらの意味の違い考えてみる。
【事後学習】1時間
論理学上の「正しさ」と日常の「正しさ」を比較し、相違点・共通点を整理し再確認する。
第9回命題の真偽判定練習問題(前回の「真理値」「真理値表」を用いて、命題の「真偽」を判定する)。
【事前学習】1時間
前回の真理値表の書き方、見方を理解しておくこと。
【事後学習】1時間
日常表現の命題化、その真理値表の書き方等を復習する。
第10回命題の真偽判定(続き)練習問題(前回の「真理値」「真理値表」を用いて、命題の「真偽」を判定する)。
【事前学習】1時間
前回の真理値表の書き方、見方を理解しておくこと。
【事後学習】1時間
日常表現の命題化、その真理値表の書き方等を復習する。
第11回2つの複合命題の関係2つの要素命題を論理的結合子を用いて複合命題したとき、いくつかの可能な複合命題の関係について、その真理値関係を見る。一般に「逆・裏・対偶」と呼ばれる関係である。
【事前学習】1時間
日常生活における「逆・裏・対偶」の関係にある具体的表現(事象)を考えて見る。
【事後学習】継続的
経済学関係の書籍・論文の中に、そのような表現があるか探してみる(継続的に)。
第12回推論の妥当性判定(1)論理学的表現による「推論」とその「妥当性」(論理学の主要目的は「正しい推論」)を明らかにすることである。ではどのような推論が正しい推論(妥当な推論)なのか、その判定方法を説明する)。
【事前学習】1時間
日常生活における正しい「推論(推理)」の本質はどこにあるか、確認しておくこと。
【事後学習】1時間
論理学上の「妥当」の範囲、限界を理解しておくこと。
第13回推論の妥当性判定(1)(続き)練習問題(前回の説明を参考に、具体的な推論の「妥当性・非妥当性」を実際に判定する)。
【事前学習】1時間
判定法、その手順を理解しておくこと。
【事後学習】1時間
この判定から、何が言えるか、考えてみる。
第14回推論の妥当性判定(2)「真理値表」による妥当性判定法は、要素命題の数が多くなれば、実質的に不可能(困難)になる。そこでもう一つの「妥当性判定法」としての「真理値割り当て法」について説明する。
【事前学習】1時間
判定法を再度確認し、その限界を考えてみる。
【事後学習】1時間
もう一つの判定法でさえ、同様に限界があることを確認するため、何が限界か明らかにしておくこと。
第15回確認試験と解説前期で説明した命題論理学の基本的立場、その適用範囲の確認試験(60分)および整理・解説(30分)を行う。
【事前学習】2時間
特に「推論」とは何かを再度整理し、日常表現(特に大学で接する書籍)の中での思考(推論)との関わりを明確にしておくこと(確実に理解できるまで)。
【事後学習】1時間
身の回りの「推論」を抽出し、論理学的判定を行ってみる。
第16回推論の実践日常表現における「推論」の実践(妥当な推論が明らかになれば、どのように推論すれば、真なる命題を導出できるか、その方法を説明する)。
【事前学習】1時間
先に見たように、「妥当性判定法」にはいくつかあることを再確認し、実際に判定できるようにしておくこと。
【事後学習】1時間
今まで練習した推論を、「前提」のみからこの方法で「結論」を導出してみる。
第17回推論の実践(続き)練習問題(前回の導出法を参考に、具体的な推論を行う)。
【事前学習】1時間
前回の方法を理解し、手順に従った推論が行えるようにしておくこと。
【事後学習】1時間
推論の「結論」と現実の「事実」とを比較し、論理学的推論は、決して「事実そのもの(事実自体)」ではないことを理解しておくこと。
第18回名辞論理学について歴史上最初にアリストテレスがまとめた『オルガノン(論理学)』を基礎に発展してきた「名辞論理学」について説明する。そこで重要な要素である「名辞(名前)<概念>、命題(文)<判断>について説明する>
【事前学習】1時間
「モノ・コト」の「名前(例えば「机・経済学」)」、また文「経済学はおもしろい」、それぞれ何を表現しているのか考えてみる。
【事後学習】1時間
論理学における「名辞」「命題」と、文法における「名詞」「文」の関係を考えてみる。
第19回対当関係名辞論理学で扱える命題はどのようなものか(図を利用する)。またそれらの関係を、命題論理学の「逆・裏・対偶」と比較する。
【事前学習】1時間
命題論理学の「逆・裏・対偶」について再度意味内容を確認しておくこと。
【事後学習】1時間
両論理学おける2命題の関係を比較し、日常生活における具体的表現(命題)を考ええみる。
第20回名辞論理学の推論(定言三段論法)名辞論理学の「推論」について。その中心的推論である「定言三段論法」について。
【事前学習】1時間
いわゆる「三段論法」という推論はどのようなものか、概略を調べておくこと。
【事後学習】1時間
定言三段論法の「形式の練習」のため、簡単な推論を自分で構成してみる。
第21回推論の妥当性判定定言三段論法の正しさ(妥当性)をいかに判定するか、その方法について(オイラーの図とヴェンの図による方法)。
【事前学習】1時間
一般に「推論(推理)」が「正しい(妥当である)」ということについて、前期の命題論理学における場合を確認しておくこと。
【事後学習】1時間
「オイラーの図」、「ヴェンの図」の使い方、その表現の意味(論理的意味!)を正しく理解する。
第22回推論の妥当性判定(続き)練習問題(定言三段論法の妥当性を両図を用いて判定する)。
【事前学習】1時間
前回の判定方法を十分活用できるよう復習しておくこと。
【事後学習】1時間
自分で三段論法をつくり判定方法を十分使いこなせるようにする。
第23回推論の妥当性判定(続き)練習問題(定言三段論法の妥当性を両図を用いて判定する。)。
【事前学習】1時間
前回の判定方法を十分活用できるよう復習しておくこと。
【事後学習】1時間
り判定方法を十分使いこなせるようにする。また自分で三段論法をつくり判定してみる。
第24回名辞論理学と命題論理学両論理学の基本的枠組・立場を比較し、「名辞論理学」の存在意義を明らかにする。
【事前学習】1時間
前期の命題論理学(命題・論理的結合子・推論・妥当性等)を再確認しておくこと。
【事後学習】1時間
「論理」学は一つではなく、各々の論理学には「条件・枠組・立場」があることを理解し、それらを比較・整理しておくこと。
第25回名辞論理学から述語論理学へ命題論理学を基礎とし、「名辞論理学」を再解釈し、後者の限界を切り開く「述語論理学」とはどういうものか。その基本的考え方、立場を「命題論理学」「名辞論理学」と比較しながら説明する。
【事前学習】1時間
命題論理学の全体を復習しておくこと(特にその立場について)。
【事後学習】1時間
命題論理学のどの部分が述語論理学で見られるか確認する。
第26回述語論理学名辞論理学における「命題」表現と、述語論理学における「命題」表現を比較・解釈する(どのように命題を解釈し表現するか)。
【事前学習】1時間
名辞論理学の「命題」及び命題の「構成要素」を確認しておくこと。
【事後学習】1時間
述語論理学における「命題の捉え方」を理解する。
第27回日常表現の命題化練習問題(日常表現の命題化を名辞論理学の命題化と比較しながら)。
【事前学習】1時間
述語論理学における命題の解釈及び記号化の確認。。
【事後学習】1時間
より複雑な表現の「命題化」を行ってみる。
第28回日常表現の命題化(続き)練習問題(日常表現の命題化を名辞論理学の命題化と比較しながら)。
【事前学習】1時間
述語論理学における命題の解釈及び記号化の確認。。
【事後学習】1時間
より複雑な表現の「命題化」を行ってみる。
第29回後期授業の確認授業全体のまとめ(命題論理学・名辞論理学・述語論理学の対応について)。
【事前学習】3時間
3論理学の関係と特色を整理しておくこと。
【事後学習】2時間
各々の論理学が、「論理」をどの程度明確にしてくれるか比較・整理しておくこと。
第30回確認試験と解説前期(命題論理学)・後期(名辞論理学・述語論理学)で説明した基本的立場、その適用の確認試験(60分)および整理・解説(30分)を行う。
【事前学習】1時間
3論理学の対象・方法を整理し、それらの「基本的考え方(枠組み)」を再確認にしておくこと。
【事後学習】
常に推論の正しさ(妥当性)と結論の正しさ(真偽)を、日常生活の中で意識的に区別できるように心がける。
授業形式 講義内容に従って二つの作業をもって進める。まずその原理や法則を説明し(講義・質疑応答)、その後に実際にその原理や法則を用いた具体的「思考・思想の論理的表現」を行ってもらう(質疑応答・小テスト等)。授業時の「配布プリント」は必ず理解し、いつでも使用(応用)できねばならないものである。授業はそれを踏まえたものである。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
60% 0% 15% 20% 5% 100%
評価の特記事項 主な評価対象は中間・学年末の「定期試験」で行う。その他に、授業時に「理解」を確認するために、授業時に簡単な「小テスト」、「質問」などを実施し、それらによって総合的に評価する。
テキスト 特に指定はしない(適宜プリントを配布。これは必ず理解し、実際に適用・応用できるようにしておくもので、授業で利用するものです)。
参考文献 講義内容のより詳細な説明(一部異なるが)、更なる探求の参考となるものです。各自必要に応じて参照し理解を確実なものとしてください。
  ・近藤洋逸・好並英司『論理学入門』岩波書店, 2300円, 岩波全書311.
  ・飯田賢一他『論理学の基礎』昭和堂,2000円.
オフィスアワー(授業相談) 本授業終了後、本館2階講師室にて20分間は対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 日常生活における自分の「表現」に注意を払い、その意味について自覚的であるよう心がける(表現が不十分、うまく伝達できない等)。「教科書」を指定しないので、欠席等で受講できなかった場合は、各自適切に対応処理すること。