講義名 ミクロ経済学Ⅱ　≪◇学部≫
講義開講時期 前期
曜日･時限 月５
単位数 2

担当教員
氏名
陸　亦群

学習目標(到達目標) 「ミクロ経済学Ⅰ」において，完全競争市場の下では最も効率的な資源配分が達成されることを学んだが，現実にはさまざまな理由から「市場の失敗」が発生し，必ずしも効率的な資源配分が保証されるとは限らない。「ミクロ経済学Ⅱ」では，こうした「市場の失敗」を生む諸要因を中心に学び，市場メカニズムの限界を認識すると同時に，それをどのように克服していくかについての理解を深める。この講義を通じて，（１）ミクロ経済学全般の幅広い「基礎知識」を習得し，（２）現実の経済現象に対して「経済学的な考え方」を理解し，「ミクロ経済学Ⅰ」より幅広い「分析手法」を身につけることができる。
対応ＤＰ及びＣＰ：1，2，3，4，5，8
授業概要(教育目的) 「ミクロ経済学Ⅱ」は，不完全競争市場における経済主体の行動，資源配分の効率性及び市場の限界に関する問題の学習を主とする。応用・展開科目を学ぶ土台を築く。
下記の共通テキスト（「ミクロ経済学Ⅰ」と同一のテキスト）を用い，7章～10章を講義範囲として，半期の授業を通じて学ぶ。

定期試験で実施される共通試験が，評価の５０％となる。
共通試験は，下記の共通テキストの
7章～10章（但し，除く部分は下記の通りとする）
① 各Column
② P.182～186 「（2）投票による公共財生産量の決定」と「（3）リンダールの方法」
③ P.195～199 「（4）純粋戦略と混合戦略」
④ P.226～232 「４ 情報の非対称性」

なお，講義範囲が共通試験範囲を超える部分の扱いについては各担当教員のシラバスに従う。また，「ミクロ経済学Ⅱ」の履修は「ミクロ経済学Ⅰ」の単位取得を前提としている。高校までの数学の基礎知識の復習を強く勧める。
授業計画表
 
回項目内容
第1回授業のガイダンス，ミクロ経済学Ⅰの復習（１）講義の範囲・内容・計画を説明する。経済学とは何か，ミクロ経済学の分析視点，消費者行動の理論について復習する。
【事前学習】2時間
この授業のシラバスに目を通しておくこと。ミクロⅠの内容，特に消費者行動の理論を復習しておくこと。
【キーワード】効用関数，予算線，無差別曲線，主体的均衡点，利潤最大化，所得効果，代替効果
【事後学習】2時間
授業内で指示する。
第2回ミクロ経済学Ⅰの復習（２）企業行動の理論と完全競争市場と効率性について復習する。
【事前学習】2時間
ミクロⅠの内容，特に企業行動の理論と完全競争市場について復習しておくこと。
【キーワード】生産関数，等生産量曲線，等費用曲線，最適点，費用関数，利潤最大化，完全競争，価格調整，数量調整
【事後学習】2時間
授業内で指示する。
第3回不完全競争：独占(1)市場の分類を説明し，完全競争市場と独占市場を比較する。独占市場での企業の利潤最大化行動を学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第７章１の(1)，(2)，(3)を予め読んでおくこと。
【キーワード】不完全競争市場，独占市場，売り独占，買い手独占
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第4回不完全競争：独占(2)独占企業の行動とその利潤最大化条件，独占の弊害について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第７章１の(4)，(5)を予め読んでおくこと。
【キーワード】限界収入，限界費用，独占企業の利潤最大化条件，独占度，独占の弊害
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第5回不完全競争：独占的競争製品差別化，独占的競争について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第７章の２を予め読んでおくこと。
【キーワード】，製品差別化，価格支配力，独占的競争，長期均衡
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第6回不完全競争：寡占寡占市場の特徴，寡占モデル，クールノー均衡について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第７章の３を予め読んでおくこと。
【キーワード】寡占，反応曲線，クールノー均衡
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第7回不完全競争：産業規制自然独占と政府の規制や政策について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第７章４を予め読んでおくこと。
【キーワード】自然独占，限界費用価格形成，平均費用価格形成，セットアップ・コスト，X非効率性，2部料金制度
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第8回外部性と環境問題市場の失敗，外部性，外部不経済と環境問題について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第８章の１を予め読んでおくこと。
【キーワード】外部効果，外部経済，外部不経済，私的費用，社会界費用，市場の失敗
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第9回当事者間交渉と環境対策当事者間交渉，コースの定理と環境対策について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第８章の２を予め読んでおくこと。
【キーワード】コースの定理，数量規制，ピグー税，補助金，市場の創設
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第10回公共財公共財と公共財の供給メカニズム，公共財の最適な供給水準について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第８章の３と４を予め読んでおくこと。
【キーワード】競合性，排除可能性，サミュエルソン条件，リンダール均衡，フリーライター（ただ乗り）問題
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第11回ゲームの理論(1)ゲーム理論の考え方，囚人のディレンマ，ナッシュ均衡について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第９章の１と２を予め読んでおくこと。
【キーワード】プレーヤーと戦略，戦略型ゲーム，最適反応，囚人のディレンマ，ナッシュ均衡
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第12回ゲームの理論(2)ゲームの木，展開型ゲームと繰り返しゲームについて学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第９章の３と４と５を予め読んでおくこと。
【キーワード】ゲームの木，繰り返しゲーム，トリガー戦略，部分ゲーム完全均衡
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第13回不確実性と意思決定不確実性，サンクト・ペテルブルクの逆説，期待効用仮説，保険市場について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキスト第１０章の１と２と３を予め読んでおくこと。
【キーワード】期待値，期待効用，危険に対する態度，大数の法則
【事後学習】2時間
授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第14回情報の非対称性情報の非対称性， アドバース・セレクション(逆選択)，モラル・ハザード，について学ぶ。
【事前学習】2時間
テキストの第１０章の４を予め読んでおくこと。
【キーワード】アドバース・セレクション(逆選択)，モラル・ハザード，モニタリング
【事後学習】2時間
演習問題を解くことと，授業内容をよく復習し，授業中に出てきたキーワードを説明できるようにしておくこと。
第15回まとめミクロ経済Ⅱで学ぶ不完全競争の全体内容をまとめる。
【事前学習】2時間
ミクロ経済学Ⅱのシラバスおよびテキスト各章にある「本章の内容」とキーワードに目を通しておくこと。
【事後学習】2時間
演習問題を解くこと。
本講義の内容を復習し，不完全競争，外部性，公共財，ゲーム理論，不確実性と情報の非対称性の基礎を確かめよう。
授業形式 講義形式
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度 		その他 合計
80% 0% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験（60分）で，共通試験と個別試験が同時に実施される。成績評価については，50％は共通試験，残り50％は定期試験での個別試験及び各教員の配点とする。
テキスト 嶋村紘輝・佐々木宏夫・横山将義・片岡孝夫・高瀬浩一著『入門ミクロ経済学』，中央経済社，２００２年，3,200円（税別）
参考文献 井堀利宏『入門ミクロ経済学』第2版，新世社
西村和雄『ミクロ経済学（現代経済学入門）』第3版，岩波書店
オフィスアワー(授業相談) オフィスアワー：火曜日12：00～13：00
必ず事前にアポイントを取ること。
事前学習の内容など，学生へのメッセージ 必ず毎回の授業に出席すること。
授業前には，テキストの該当部分の内容をよく読み，授業後には，ノートを復習し，練習問題を解くこと。
地道な努力でミクロ経済学に対応した学力を定着させることがポイントとなる。