講義名 比較経済体制論 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月3
単位数 4

担当教員
氏名
池本 修一

学習目標(到達目標) 本講義の目標は,履修者が,世界各国の経済制度をサーベイし,各国の経済制度がどのようなものであるかを理解し,共通の経済制度がどのようなものであるかを歴史的,制度的に理解・把握出来るようになることが学習目標である。そのために,同じ資本主義体制でも英国・米国などのアングロサクソン型資本主義諸国と,大陸欧州諸国,そして日本,韓国などのアジア諸国では,異なる制度やメカニズムが存在するのはなぜか,度々のような点が共通し,どのような点が異なるのであろうかという視点に立って,各国の経済制度を理論的,歴史的,制度的に分析する。

対応DPおよびCPは2,3,4,5,8
授業概要(教育目的) 上記の目標のためにはまず分析の視点となる新制度学派の制度の考え方,各国の比較のため基礎理論のひとつとなる比較制度分析に関して検討する。また各国の経済制度の成立の前提条件として,歴史的に各国の経済制度を検討する必要がある。さらに各国の経済制度の基盤となる資本主義の特性についても,欧州で市場メカニズムが生成したプロセスを出発点としてから検討する。と同時に,前述のように20世紀に成立した社会主義経済体制,現存する中国の社会主義経済体制についても検討する。
授業計画表
 
項目内容
第1回前期イントロダクション本講義の概要,授業の進め方などを説明する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第2回新制度学派なぜ新制度学派の考え方が注目されるのか,を念頭に新制度学派が考える制度の考え方を説明する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第3回比較制度分析1新制度学派の一つである比較制度分析の考え方やその基礎概念について説明する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第4回比較制度分析2比較制度分析の考え方を,日本(J)とアメリカ(A)の経済制度の比較を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第5回資本主義の特性1定義が難しい資本主義とは何かという問題について,歴史,経済学史の視点から検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第6回資本主義の特性2マックスウェーバーの考え方をもとに欧州で資本主義が成立したプロセスを検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第7回アングロサクソン型資本主義英国、米国などで発達した市場メカニズムを基盤としたアングロサクソン型資本主義の特色について検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第8回大陸欧州型資本主義(ドイツ)労働組合を重視した社会市場経済とよばれる経済制度が発達したドイツの経済システムを検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第9回北欧、南欧、中欧の資本主義社会書証制度が充実した北欧、家族制度を重視した南欧、社会主義体制が崩壊して資本主義に移行中の中欧の経済制度を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第10回日本型資本主義1940年代に成立したとされる日本型資本主義成立プロセスを検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第11回社会主義体制旧ソビエト連邦で成立した体制以外に中欧や現存する中国,ベトナムの社会主義体制を比較検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第12回体制移行1989年の東欧を契機に欧州での社会主義体制は崩壊した。なぜ崩壊したのか,どのようなメカニズムが麻痺していたのか,各国はどのような体制を目指しているのかを検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第13回国家資本主義中国やロシアなど権威主義的で国家主導による経済運営を行う資本主義が存在する。これを国家資本主義とよぶ。この特色を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第14回グローバリゼーション東西冷戦が終焉し,モノ,マネーが世界各国に移動している。グローバリゼーションの意味,それが各国の経済にどのように影響しているか検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第15回前期のまとめと試験経済制度を比較分析するための,理論,歴史,現状についてこれまでの講義をまとめて講義の理解度を深める。また前期の理解度を試験で評価する。
(準備学習)
エコリンクにアップロードした講義資料を事前にダウンロードして読んでおくこと。資料に関しては事前に指定する。
第16回イギリス経済産業革命以降,世界経済をリードしてきたイギリスの経済制度を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第17回大陸欧州経済ドイツ,フランスを中心にアングロサクソン型と異なる経済制度を有する地域の歴史を神聖ローマ帝国時代から検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第18回アメリカ経済アングロサクソン型経済の典型とされるアメリカ経済制度を大衆資本主義、金融資本主義の視点から検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第19回日本経済1アングロサクソン型と異なる資本主義体制と位置づけられる日本経済制度を明治以降,第2次世界大戦前後まで検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第20回日本経済2第2次世界大戦後から現在までの日本経済制度の変容について検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第21回日本経済3企業レベルから,すなわち「ものづくり」の視点から日本,世界の経済制度を検討する。特にトヨタ生産方式に注目する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第22回中国経済1第2次世界大戦後から鄧小平改革までの中国の経済改革史を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第23回中国経済2GDP世界2位にまで発展した中国経済制度の特色と問題点を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第24回キャッチアップ経済アジアNIESなど輸出新興、外資導入などによって経済発展した経済戦略を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第25回中所得の罠とその回避ある程度発展しても先進国にまでキャッチアップできない中所得国の罠に陥る新興国が多い中で、それを回避した韓国、台湾の戦略を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第26回第4次産業革命インダストリー4.0IT,5G,AI,EVなどのイノベーションによって世界が急速に変化している。第4次産業革命のさなかにある現代の状況、特にイノベーションを活性化させる企業と制度の問題を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第27回コーポレートガバナンス各国は経済制度はだけでなく、企業内の制度もそれぞれ異なる。そこで米、独、日の企業統治構造の比較を検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第28回欧州の政治経済思想1欧州で第2次世界大戦後に広がった福祉国家論、それに対抗するかのように1980年代に広がったネオリベラリズムについて検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第29回欧州の政治経済思想2移民・難民問題を契機に、民主主義、ナショナリズム、福祉国家論などの問題が再び提起される。ポピュリスト政権や政党が各国で成立するようになり、これまでの伝統的な欧州の価値観が根本的に問われている。これらの問題について検討する。
[事前学習]2時間。エコリンクから資料をダウンロードしてよく読んでおくこと。
[事後学習]2時間。授業内容をよく復習し授業に出てきた重要項目やキーワードを説明できるようにしておくこと。
第30回後期まとめと試験・解説各国の経済制度をサーベイすることから,資本主義の多様を検討するための重要な視は何なのか,講義全体の復習のなかから学生に考えさせる。最後に後期の理解度を試験60分、解説30分を行う。
授業形式 原則的にパワーポイントを使用して講義形式で授業をすすめる。必要に応じてビデオやDVDなど視聴覚資料を使用する。質問などのフィードバックは翌週行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 授業への
参画度
その他 合計
80% 20% 0% 0% 0% 100%
評価の特記事項 前期・後期の最後に試験を行う。前期試験未受験者は単位取得は難しい。
テキスト 講義資料は随時ECOLINKにアップする予定である。それをもとに予習・復習をするよう指導する。
参考文献 池本修一『体制移行プロセスとチェコ経済』梓出版,2200円.
池本・岩崎・杉浦編著『グローバリゼーションと体制移行の経済学』文眞堂,2900円.
池本・田中『欧州新興市場国への日系企業の進出』文眞堂,2800円.
池本・松澤『チェコ・スロバキア経済図説』東洋書店,800円
オフィスアワー(授業相談) 時間:火曜日6時限目,場所:8号館7階池本研究室。
授業後またはメールでアポを取ること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 講義資料は,内容が多岐にわたため参考文献も多数あり,講義の内容を深く理解するためには予習はもとより,復習が必要となる。理解を深めるためにオフィスアワーの利用を推奨する。